「この映像を見ずに死ねるか」と心から言いたい

まずこれを見れ(画質は1080pに設定すれ)。



Zepを知っている人は読み飛ばしてもいいです。ただ、知らなかったら騙されたと思って読んで。

Led Zeppelinというバンドがいましてですね。
世界で最も売れたヘヴィメタルロックバンドとしてギネスに記録されています。
これがまあ、本当にかっこいいわけです。
まずどうかっこいいのかは『レッド・ツェッペリン 狂熱のライヴ』を見てください。
いま安定して手に入る彼らのライヴ映像ってこれしかないですから、そりゃもう何度となく見ました。
音は悪いしモノラルだし、映像ボッサボサだし意味分かんない演出入るしひどい映画です。
しかし、4人の若造がアホみたいにかっこいい音楽をぶち鳴らす様は筆舌に尽くしがたい。

そんでまあ、Zepというバンドはドラムのジョン・ボーナムが寝ゲロに溺れて死んでしまい、1980年に解散。
"ボンゾ"と呼ばれたそのドラマーはありえないリズム感覚の持ち主であったため
「彼抜きでのZepはありえない」という理由により、再結成とかはありえないこととされていました。

どっこい、2007年、突如として彼らは1日限りの復活ライブをやります。
ドラムにはジョンの息子、ジェイソン・ボーナムを迎え、イギリスO2アリーナで行われたライブは
チケット1枚がオークションで1900万円とかいうアホみたいな額になったりして話題になりました。
んで、その映像がようやくソフト化されたんで、買ったんですよ。



あのですね、ボーカルが64歳。ギター68歳。ベース66歳。
ジジイですよ。完全に。
そもそも演奏だって超絶技巧とか精密機械とか
そういうものから最もかけ離れたところにいるバンドでしたから、
「再結成」なんて所詮遊びだろう、と。ちょっとした金儲けのための余興だろう、と。

ブルーレイディスク、PS3に入れて、一曲目の最初の音。
そこでもう、脳みそバッコーンて吹き飛ばされました。
もうどう見てもジジイな3人と、あの伝説のドラマーの息子が、
完全に現役のときのプレイを上回る信じられないプレイを次から次から……。
最初はボーカルも声がなじんでないのですが、3曲程で調子を掴んだのか、もう震えるレベル。

これだけ書いてもまだ何にも伝わらないと思うんですが、
もうどんどん顔とかも若返ったような幻影が見えるんですよ。信じられないと思いますけど。
声もプレイも若い時のそれのグルーヴを醸し出しつつ、円熟の極みなのよ。
伝説の、ギネスのバンドの、Zepっていう神々の、その「あるべき続き」が見れるの。おかしいの。

息子ボーナム、どんなドラムかと思ったら、完璧に途中から親父が乗り移って、半泣きで叩いてるんですよ。
そして音質もこれまでの音源で最高なんじゃねえのってレベル。
これだったのか、これがZepの本当の音だったのか。そんなことを思いながら聞くわけです。
床がバリバリ言うほどの音で、Zepの名曲が蘇るんじゃなくて、そこで完璧に生成されるっていう。

画質も果てしなくて、ギター弾いてるペイジの指のシワ、
KORGのキーボードを弾くジョン・ポール・ジョーンズの指のシワまでシャッキリ。泣ける。

カット割りも最高だし、カメラワークも抜群だし、ステージに余計な演出もなし。
ただの小さなステージで、3人のジジイとその仲間だったドラムの息子が
お互い超いい顔して楽器をぶん回すだけで、世界観がモリモリ立ち上がっていく。すごい。

この多幸感はですね、例えるならファミコンのマリオを30年やってた人が、
いきなりスーファミのスーパーマリオワールド渡されたような状態。
マリオなのに解像度上がってて新しい要素あるし音いいし、でもルールは同じだしマリオ!みたいな。
よくわかんない。俺も何を言ってるのかよくわからない。

だめだ、ここまで書いてもなんにも伝えられていない……。
とにかく、「音楽が好きです」という人、もしくはPS3を持っている人、
何も考えずに絶対に見るべき。見たら確実に驚き呆れ、笑って泣ける、そういうライブです。
そうだなー、俺はもう、これ以外のブルーレイ全部捨ててもいいよ、ってくらい感動しました。
今まで見た家で味わえるソフトによる愉悦の最高値、叩いてしまいました。そんな感じです。
買った人、かたっぱしから家に呼んで、ねえどんな気持ち?いまどんな気持ち?って聞きながら一緒に見たい。

あ、そうそう、見る前にセットリストも何も見ないのがおすすめだなー。

祭典の日(奇跡のライヴ)デラックス・エディション(2CD+BD+ボーナスDVD)


by kala-pattar | 2012-12-04 00:46 | Music