昏睡と年越のマレー半島漫遊記 【その3】

僕は結局「バックパッカー」っていう概念があまり好きじゃないし
幸いにして沢木耕太郎にハマることもなかった。
しょせんはウスラ海外旅行してみたいおっさんだし、鉄道オタクワナビーの中途半端野郎だ。
だけど、「マレー鉄道」という言葉が発するオーラみたいなもんには人並みに憧れるし
それに乗ってゴトゴトとマレー半島を北上できれば、それはそれで楽しいに違いなかった。

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▲KLセントラル駅。近代的で、とても清潔な駅。


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▲ムスリムの女の子はブルカをかぶり、駅構内にはブルカを売るブティックもある。


夜のKLセントラルは渋谷駅や新宿駅と同じような雑踏があって、
これから長旅に出る人々はコンビニエンスストアで飲み物や食べ物を買い揃えていた。

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▲少しだけ余らせていたマレーシアリンギットで飲み物とスナックを買う。


寝台特急のチケットは後輩に手配してもらっていた。
みどりの窓口に相当するカウンターに行くも、バウチャーがあれば特に引き換える必要もなく
とりあえずホームで列車を待て、という指示を受ける。

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▲地下ホームに、果たしてマレー国鉄の寝台特急は入線していた。


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▲古びたディーゼルが重連で12輛ほどの客車を牽く。


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▲客車はいつか見たはやぶさのそれと同じく、サビと剥落と補修を繰り返してボコボコの肌を見せていた。


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▲車両によっては窓ガラスが割れている。その理由が飛び石か、投石かを知る術はない。


僕らにあてがわれたのは2等寝台。
通路を挟んでレールと同じ向きのベッドが2段重ねになっており、それぞれはカーテンで仕切られる。
日本だと583系とかに近い……のかな(僕は開放B寝台と北斗星の個室でしか寝たことがない)。

一般的なガイドブックには「鉄道は乗車日の一週間前に予約をとること」と書いてあるが
それもそのはず、車両は老若男女、旅人や現地人で満員。
騒がしいような、心地良いようなおしゃべりが車両に響く中、発車時刻を過ぎても列車は動かない。
僕と後輩はLowerのベッドに陣取っていたが、Upperのベッドを予約していた親父と談笑したりした。

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▲窓は広く、ベッドの長さは少し短い。


ディーゼル機関車の吐息ででもうもうと煙る地下ホームに駅員だか車掌だかのホイッスルが鳴り響き
手動のドアが閉まったのか開いたままなのかもわからないまま、
音もなくKTM intercity 20号は北に向けてするすると動き出したのだった……・
by kala-pattar | 2013-01-11 03:33 | 行ってきた