アラサー独身男がコロコロアニキを読んで号泣した理由について書かせてくれ

最初に言っておく。『コロコロアニキ』をもし見つけたら、全力で買うんだ。
じつはもう、どこにも売ってないんだ。店頭在庫を確保するんだ。
もしあなたがアラサー男子で、こんなに素晴らしいコンテンツに巡り会えないのだとしたら、それは不幸だ。

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先月、年に何度か発作のように訪れる「ラジコン欲」の赴くままタミヤのサイトを眺めていら、
ニュースのコーナーに「コロコロ卒業生に贈る大の大人のコロコロコミック」という煽り文句が書いてあった。
小学生時代、ボンボンよりもコロコロ派だった自分にそのコピーは深く刺さって、発売日に本屋へ走った。
あの分厚い紙の塊は、自分でガシッと掴んでレジでお金を払わなきゃいけない気がしたからね。

ツルツルの表紙にこれでもかと詰め込まれた全掲載コンテンツのイラストとキャッチ。
特色の金。こしたてつひろ先生の描く新しいキャラクター。
何もかもがコロコロコミックで、嬉しくなってそのまま表紙をめくる。

ソシャゲのレアアイテムがゲットできるシリアルコードが付録だったりミニ四駆やモンハンのステッカーがあったり、
とにかく最初の綴じ込みがガチャガチャとうるさくて、思わず頬がゆるむ。

あの頃を思い出しながらカラーページを読み進める。
ギトギトしたデザイン、小さなルビ。あのころのままだ。
小学生のときと違うのは、掲載されているものだけだ。
ジバニャンがいて、島崎遥香がいて、セルレギオスがいて、真壁刀義がいる。

そして始まるのは連載一本目、『爆走兄弟レッツ&ゴー Return Racers』だ。
こしたてつひろ先生のタッチもそのままに、大人になった星馬豪がF1マシンを駆る。
さぞかし強いレーサーなのだろうと。あの星馬豪だと。そう思うだろう。

豪は負ける。圧倒的に負ける。惨敗だ。
荒れる豪。腹いせにアードベッグをラッパ飲みし、放り投げ、家の床にはアードベッグの瓶が散乱する。アル中だ。
息子をよろしく頼む、という女からのビデオレターと共にダンボールに詰めこまれた男児が登場し、
豪には婚姻関係のない元レースクイーンとの間に子供が居ることが示される。

衝撃。あまりにも強い衝撃。

漫画は展開し、父子の活躍へとつながっていく。
「いくぜ!! レースはこれからだ!!」というセリフとダイナミックな見開きで幕切れ。
連載二回、なにやるんだ。大丈夫か。大丈夫に決まってるんだが、心がざわつく。

そして間髪を入れず始まる武井宏之先生の『拝啓、徳田ザウルス先生』。
これについては駄文で紹介することなどできない。
夢があり、出会いがあり、希望があり、志があり、病があり、死があり、
人は人へと何かを伝えて生きていくというストーリーは、ぜひとも実際に読んでほしい。
私は途中でとめどなく涙が溢れてページをめくる手を止め、嗚咽した。

たたみかけるようにのむらしんぼ先生の恐ろしい連載『コロコロ創刊伝説』が来る。
挫折があり、失敗があり、別れがあり、再起への渇望があり、立ち上がれない男がいる。
私はこの実話を読んでまた号泣し、なんてものを買ってしまったんだ、と震えた。

このハードなパンチ三連発のあとは比較的読みやすい作品が続く。
まさにコロコロのキャッチフレーズどおり「ガッツな笑いとド迫力!!」でグイグイ引っ張り、
このまま読み進められるかと思ったところに放り込まれる『かっとばせキヨハラくん』である。

さらにビッグコミックへの誘導を促す大人向け漫画を挟み、ホームラン級の下ネタ漫画で〆。
続くコラムコーナーは完全に小学生には理解不能な大人向け理不尽エンタメが満載で、アンケートコーナーの構成も完璧。
最後のページにはあのドラゴンがまるまる印刷されていて、僕らに「また、遊ぼうぜ!!」と語りかける。

いまこうしてブログを書きながらまたコロコロアニキを読み返して目に涙を浮かべている自分がいる。
"出戻りコンテンツ"というものがあるとしたら、「昔はよかった」だけが正解じゃないんだとこの本は教えてくれている。

昔小学生だったアラサー男子はいま何にときめいているか。結婚したか。子供はいるか。それとも独身か。ビジネスは成功しているか。
かつてオモチャや野球やヒーローや下ネタで小学生を全力で楽しませていたスター漫画家やスター編集者は、
あれからジェットコースターみたいなリアルな人生を歩んで、君たちと同じだけ歳をとったんだ、と言っている気がする。
コロコロコミックというルックとフィールをそのままに、僕らの人生についてえぐるように問いかけてくる。

2014年。
俺はなににときめいているか。俺の笑顔は卑屈じゃないか。俺は決して間違っていないか。
尾崎の歌詞みたいなことを考えながら、ウイスキーをロックでやりながら、もう何度かこのコロコロアニキを読みなおすと思う。
人生は残酷で、とてもつらくて、ビターだ。だからこそ、ガッツな笑いとド迫力で生きていかなきゃいけないんだ。

また、遊ぼうぜ。

コロコロアニキ 2014年 11月号 [雑誌]

by kala-pattar | 2014-10-22 21:47 | Movie&Books | Comments(0)