ハイテク砂場遊びを見て全モデラーはちょっとビビったほうがいいかも、と思った

たまたまTwitterで知り合いが実機を見たと呟いていたので、なんのことだかググって仰天。
未来はすでにショッピングモールのなかに存在していたのであります。
一も二もなく、まずはこの動画をみてほしいっちゅう話。

▲なんだこりゃ、すごすぎる!としか言いようがない。

これ、SEGAのえ〜でる すなばというアーケードゲームの一種のようであります。

■なんですかこれ


簡単に説明すると、
キネティックサンド(最近流行りの汚れない砂遊び用人工砂っぽいマテリアル)で満たされたフィールドをリアルタイムで距離解析して
そこからフィードバックしたプロジェクションマッピングでインタラクティブな遊びを提供するというもの(たぶん)。
海抜ゼロメートルに設定されたところよりも深いところには水が出現して、高いところには草木が生えて楽しい!
たまに掘った所から虫が出現したり、日本地図を作ろう!とか、ハート型の島を作ろう!とか、
特定の虫を探そう!みたいなのがゲーム性になっている。すごい。
(ヘリのシルエットが飛んでくるところとか鳥肌立つし、なんなら虫を囲ったり誘導したり季節が変わったりして死にそう)。

ハイテク玩具というか「俺的2015年びっくりしたオブジイヤー」をすでに獲得して揺るがぬ1位となったしヤバすぎ。すごすぎ。


■どこをすごいとおもったか


どれもこれもまだ枯れてない技術だし、公共の場でキネティックサンドの扱いとかかなりリスキーだと思うんだけど、
(汚れるし盗まれるし手にくっついたぶんは目減りするし補充は必要だし異物混入する奴いるだろうし……)
これをプロダクトにして実際送り出してしまったSEGAには頭が下がる。すばらしい。ホントに仰天した。

ガキの頃にやった砂場遊びって「砂を掘ったら海とか川が出現して魚が泳いでほしい」とか
「山作ったら草木が生えてほしいし、なんなら上の方が森林限界になったりしてほしい」みたいな願望あったし
これがリアルタイムで処理されて(映像的にでも)再現されるとか、砂場遊びの行き着く先というか夢見た景色だと思う。

すごいのは「発明!」みたいなことではなくて、
いま流行りつつある要素を組み合わせて全く新しい体験を生み出したことにあると思っていて
たとえばプリクラは単なるデジカメとフォトショのようなものとプリンタが合体した物体だけども
それがゲームセンターのありかたそのものを変えてしまったのは御存知の通り。

この「え〜でる すなば」も(それなりに発展途上ながら)それぞれの要素は新しいものではないけど
合体してプロダクトにして誰でも遊べるようにしちゃいました!という胆力とか上司との交渉力とか置き場との交渉力とかに驚く。
会社員がコレ作ってるんですよ。研究所とかじゃない(SEGAだから"研究所"なのかもしれないのがヤバい)。
こんなもん部下が持ってきてハンコ押して下さいっつって、あなたOK出せますかっつの。俺だったら笑っちゃうっつの。

こういう「理論的には作れるけど作ろうと思わないし実際作ってるし、さらに誰でも遊べるようにしちゃいました」みたいなのって
めっちゃ幸運なめぐり合わせだよね。そういう意味であまりにも幸せかつ面白い製品だと思うんですよね。

■逆タンジブルユーザインターフェース


で、聞いた話では「情報を操作するときにキーボードやマウスに頼るのではなく、実体として触れるものを
いじくり回すことで直感的能動的にコントロールしちゃう」みたいなのを
タンジブルユーザインタフェースと言うらしいんですね。

どっこい、ですよ。この場合子供は砂をイジってるだけで魔法のように景色が現出するわけです。
だからまあ、子供は「いまボクは情報をいじっている」とは思わない。
オトナはタッチパネルで「あちら側(=デバイスの向こう側にあるパラメータ)」をどうにか操作しようとしているけど、
砂をカタチにして「こっち側」をイジってると思い込む。そういう逆説的なインターフェイスがスンバラシイのではないでしょうか。
砂がゲームで言うコントローラーなんだけど、しかしコントローラーだとは認識させないぜ、みたいな。
いわば「逆タンジブルユーザインターフェース」とでも捉えられましょうか。ああ恐ろしい。

■もっといろんな昔ながらの遊びに応用したいなー


今回選ばれた「砂場」という遊びが子供じみてると直感的に思うかもしれませんけども、
これを応用すればたとえばカシミール(3Dで地形をグリグリ見られるソフト)的なものとかと組み合わせて
「家で江戸城の周りのお堀の時代ごとの変遷を再現してそれを年代ごとに愛でる」みたいなアカデミックな遊びも可能になるだろうし、
将来的に真っ白な鉄道模型のレイアウトとかに四季や日時をプロジェクションして変化を楽しむみたいなこともできる。
(どっかの鉄道模型屋さんに真っ白い石膏でコーティングした東京のレイアウト作って
もりもり東京タワーができたり夏が来て冬が来て夕暮れとか朝焼けとかビルの窓が光ったりするのがプロジェクションされて
そのなかを自分の鉄道が走ったり、さらに鉄道の周りにかっこいいエフェクトがびゃーっと出たりしたら死ぬほど儲かるのでは)

とにかくまあ、「ジオラマ」というものを作るときにひとつの選択肢として考えていいんじゃないかな。
(いまあるものの代替品として、ではなくて、入門編として、だけど。)
実際に素材を塗ったりして水をどうやって表現するのか、山肌をどう表現するのか、みたいな面白さは当然あるけども
「単にマテリアルを盛り上げたら山っぽくなってくれるし掘り下げたら池っぽくなる」っていう光学的アプローチ!
子供が積み木をビルに見立てたりするのも、見立てじゃなくて「そのもの」にしてくれる技術かも。
モデラー、ちょっとビビったほうがいいかもしれないな、と思ったりします。もちろんプロジェクションマッピングは万能ではない、けれども。
誰でも簡単にジオラマが作れる!というのがもしかしたらこういう技術で実現するかもしれないよね。
あとほら、イーガンの量子サッカーもどきとかもできそうじゃん。ミニ四駆のレースとか!コマとかメンコとかも楽しくなるね!

いやもう、とにかく妄想が止まらない!というわけです。
プラモデルだってもう塗らなくていいんじゃないか。白くていいんじゃないか、と。
その日の気分でサンド系の迷彩になったり三食迷彩になったりグレーになったり錆びたり穴あいたりしたら面白いじゃないか、と。
そりゃ解像度とか位置合わせとかどうすんだ、みたいな課題はあるかもしれないけど、
三次元計測の精度とプロジェクタのディフィニションが向上すればけっこうあっという間に実現するかもしれん。
(もっと進めば立体物に合わせ込んで造られたスキンをガンガン売りまくる、みたいな商売もできるし)

で、思い至るのは
「3Dプリンタよりもえーでるすなばの構成要素(砂以外)を爆発させたほうが
コスト的にもイノベーション的にも人類のためになるのではないか」
という悪魔的なアイディアだったりして。3Dプリンタ、家庭に必要ですかね。仕事では便利だけどさ。
毎日模様替えできますよ。家のなかに置いてあるものの色とか、買うときに悩まくて済むんですよ。壁紙の柄や窓の位置だって!

■プロジェクションマッピングもどき殺しだ!!!


……と、まあなんだか書きなぐってしまいましたが、
現状プロジェクションマッピングが安売りされてて、
でっかい建物に適当な歴史っぽい映像をダーッと映写するのがイカす!みたいな風潮が個人的にはすごく嫌で
やっぱり「センシングとフィードバックによって形状と映像をマッチさせて、誰も見たことがないような体験をさせること」という意味では
この「え〜でる すなば」こそが正しくプロジェクションマッピングなんじゃねーの、と。

しかもですよ、「砂場遊び」という超プリミティブな体験からドラスティックにひっくり返っていく様子というのが
極めて面白すぎますし悔しいし俺もこれ見ちゃったらやってみたいことたくさんあるわ!と思いましたゆえ
みなさんはどう思われますか、といったところで本日はお開きとさせていただきたく思います。
ご清聴ありがとうございました。

追記/2014秋から稼働してるところがあったというのを知って驚愕してる。アンテナ低いわ私。精進します。
追記2/「手の動きや砂の形状を感知するのに使用されているのが、マイクロソフトのKinect(v1 センサー)」とのこと。
枯れてた。枯れてる技術使ってた。っていうかKinectすごい。
追記3/このインタビューが秀逸なので是非。

by kala-pattar | 2015-01-16 02:36 | これほちい | Comments(0)
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