1965年のイギリス製プラモデルをストレートで味わう話

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たまには中古プラモデル屋さんを覗いていみるのもいいな、と思い立ってギュウギュウの店内を見渡す。
自分がプラモデルにドップリになったあとの製品はどうせいつでも買えるしどれもそこそこ出来が良いのはわかっている。
それならうんと昔のプラモデルを買うのはどうか、と古そうなアイテムを丹念に吟味する。




……プラモデルというのは不思議なもので、昨日発売のものも50年前に発売されたものも、同じ顔をして棚に並んでいます。
こんなことがまかり通るのは、小説やCD(当時はレコードだったかもしれないが)くらいのもんでしょう。
だからプラモデルは自分が作るものであると同時に、ハコの状態ですでに、「誰かが残した作品」でもあるのではないか、と思うわけです。

エアフィックスが1965年にリリースした1/72スケール、B-25のハコはなかなかコンパクトなサイズで、ここに爆撃機が入っているのはちょっと不思議な感じがします。
いまならいろんなスケールのシャープでかっこよくて組みやすいB-25のプラモデルが多くのメーカーから発売されていますけど、
あえてエアフィックスの、凸モールドの、バリだらけの、正確さも怪しいプラモデルをいま買うのであれば
「それを今風に仕上げるぞ!」という根性ではなくて、頭をすっからかんにして1965年の子供に戻るのがオツというものでしょう。

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▲このパッケージは1990年に発売されたもの。中身は1965年からおそらくなんにも変わっておりません。


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▲ランナーは四角くなくて、パーツが飛び出ていて、バリがすごくて、ゲートの幅が1cmくらいある。すごい。


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▲全身にリベットがバリバリ入っていて、動翼は全部動くように分割されている。すごい。


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▲胴体のクローズアップ。このリベット、銀のプラスチック。なんて素敵なの。


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▲仲良く同じポーズのフィギュアがはいっていて、プロペラのランナーが奇天烈なカタチをしている。


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▲タイヤは左右分割で、機関銃手は可動軸の筒ごと一体成型されていて、温かみがすごい。


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▲クリアーパーツは思ったよりキレイ。こういうところがエアフィックスの強いところなのかも。


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▲デカールは当然黄ばんでいて、おそらく死んでいるでしょう。


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▲貼っている途中。爆撃機の中って、こうなっているのか……という。正座した人とか、座ってる人とか。


何も考えずにニッパーでパーツを切り離し、接着剤でペタペタと貼ること1時間半くらい。
最低限の中身が再現されていて、動翼がペコペコと動き、機関銃が上下左右に動かせるB-25が現れる(めんどいから全部固定したけど)。
合わせ目を消すためにヤスリを当てたらリベットが消えてしまうし、そもそもきれいに作りたければより新しく設計されたプラモを買ったほうが話は早い。
こういうのはもう、刺し身というか素うどんというか、そのまま「素材の味〜〜〜〜」みたいな感じで丸呑みする他ない。

当然「美味いか?」と聞かれると「いやまあ、昔の人はこういうのを食べていたんだなあ」という気持ちがまず最初に出てくるけど
「動くところがあるって、ワクワクするなぁ」とか、「銀のプラスチックはモールドがよく見えてシズル感があるなぁ」とか、
「爆撃機って、こういう人員配置なのか!」とか、けっこういろんな学びとか、「なるほど、これはこれで美味しいなぁ」と思えるところがあるわけです。


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古いプラモばかり作っていると、儲かるのは中古プラモデル屋さんだけ、ということになっちゃいそうでアレですが、
たまにはこうして50年前のプラモデルを作って、「今のプラモってすげえんだなぁ」とか「昔でもすげえところはすげえんだなぁ」と感じるのがイイですね。
ま、気が向いたら筆で銀色をペタペタ塗って、別売りデカール(このミッチェルのためにわざわざ購入した)を貼って、そのへんに置いときたいですね。
塗りたくなったら塗る、貼りたくなったら貼る。そういうことをやってもあんまり罪悪感がないのが、昔の安いプラモデルかもしれません。

「海外製の古いキットなんて、難しいんでしょう?」という人、よく見かけますが、そりゃキレイに作ろうと思ったら難しいでしょう。
でも「古いからこんなもんすよ!昔の人はこれをちゃんと直してて、エラいっすね!」という開き直りがあっても良い気がします。
若い人には特に。だって、今のプラモデルどれもこれもすげえイイもんね。……とか書くと、先輩モデラーから怒られそうですが。
しかしまあ、組み上がってみると可愛いもんです。素敵です。手間をかけるプラモもいいもんですが、こうして生で喰うのもいいですな。
ではでは。




by kala-pattar | 2017-02-05 21:24 |  →SPRUE CRAZY | Comments(0)