それでもまだ、バンダイのプラモデルが技術力で作られていると信じますか?

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いやはや、とんでもない問題作が発売されました。
「プラモデルってなんだろう」という問いに、あくまで工学的に、真っ向勝負を仕掛けてくるニクい奴、

まず親に向かって何だそのスケールは。1/2って。半分ですよ。実物の半分。事実上何も縮んでないし、ホンモノの大きさ知らんし。
そこを許したとしても、このプロダクト然とした、あくまでプラスチッキーなBB-8というメカをプラモデルという方法で再現する。そんなバカがあるか、と。
鉄や木やガンダリウム合金ならまだしも、あのスター・ウォーズに出てきたドロイドをプラスチックで、1/2で再現する。
プラモデル的な切る貼る削る塗るというお作法を全部無視して、ドーンとそこにある、樹脂っぽい質感のロボットの復元模型。
それを、我々が組む理由。これはもう、BB-8というキャラクターグッズが欲しい人にしか、刺さらない。
しかしここは超音速備忘録ですから、何がどう分割されて、どう復元されているのか、それを記録し、広く伝えなければならないのです。



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▲例によってランナーです。頭部のパーツの裏側。ランナーやダボの大きさから「あ、これはアカン大きさのやつだな」というのが伝わってきます。


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▲巨大なパーツですが、実物のパネルラインに合わせて分割されています。ガンダムのように「プラモ的都合」ではなく、あくまで実物に合わせたライン。


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▲この場合の実物とは何でしょうか。プロップでしょうか。あの映画の世界の中の何か、なのでしょうか。


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▲巨大なパーツを見ていると、これこそが実物で、これが画面の奥で動いていたのではないかという錯覚が生じます。


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▲しかし、銀のパーツの表面に走るウェルド(プラスチックが冷え固まる過程で生じるマーブル模様)を見ると、これが模型であることに気づきます。


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▲笑ってしまうくらいに大きく、同じようなカタチをしたパーツが大量に入っております。


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▲同じようなカタチのパーツが寄せ集まったランナーは、幾何学的にランナーフェチの脳髄を揺さぶります。


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▲突如クリアーブルーの細かなエフェクトパーツが発見されるかと思えば


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▲ひたすらに色分けを再現するためだけに設計されたパーツが出現し


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▲黒いパーツは円を描くために4分割され


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▲クリアーブラックのパーツはハコの中で傷つけられないよう白い壁に護られており


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▲赤いクリアーパーツは細部の色分けのために存在します。


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▲硬質で黒い成型色の微細なディテールが入ったパーツが有ったかと思えば


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▲軟質で白いアンテナ用のパーツ(7番はマジで折れやすいので予備が入ってました)があり


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▲丸いメカなのにこういう地獄みたいな形状のパーツが突如として現れたりして


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▲シルバーのパーツも球体を予見される分割で鎮座しております。


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▲とにかくひとつひとつのパーツが巨大で、同じようなカタチをしており、それぞれが全部違うというスター・ウォーズ的な悪夢が展開します。


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▲透明パーツの台座に入れられたSTAR WARSのエンブレムにうっとりしましょう。約束ですよ。



とにもかくにもプラモデルらしからぬ巨大なパーツの集合体を目の当たりにしたアナタは、きっと気づくはずです。
それらはなんの変哲もない、上下に噛み合う金型によって作り出されたプラスチックの塊にすぎないことを。

もっと言ってしまうと、このプラモデル、あの球体とそれよりも少し小さな半球が組み合わさったメカを
プラスチックで、しかもトリッキーなことをいっさいやらずに組み立てられるように設計されたものにすぎないのです。

まだわかりづらいかもしれません。

プラモデルで球体を組み立てるには、それを最低でも半球に分割しなければいけません。
しかし、バンダイのプラモデルですから、そこに色分けや分割線の処理を不要にするパーツ割りが必要になってきます。
つまるところ、「球体を再現しつつ、各部の色や実物(?)のパネルラインに合わせた分割線」を考慮して、パーツを設計することになります。
さらに、どのパネルがどこに来るかを間違えないよう、実物どおりに組み立てられる必要がある。ユーザーが接着剤を使わずに、間違えないで組める設計が求められます。


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▲そうすると、こういう奇っ怪な、様々な形状のダボが所定の位置に設けられた、「芯」になるフレームが出現するのです。


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▲色分けを再現するために色とりどりのパーツを組み合わせ


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▲内部に入る細かいパーツを組み立てることもありながら


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▲あらゆる場所に間違えないよう設けられた異なる形状のダボにパーツをハメることで、巨大な球体が出来上がっていきます。


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▲実物の構造的な問題をすべてさておき、形状と色彩を再現するためだけに、実物の半分の大きさの何かを組むという、極めて奇妙な体験。



この太陽を盗んだ男に出てくる爆弾みたいなプロダクトがいったいなんなのか。
とにかく、組んでみればわかります。
こんな奇妙な体験は、プラモデルという世界に限れば、他にないかもしれません。

1/2って、「実物の半分」と考えればずいぶん小さいかもしれませんが、スケール表記として考えれば極めて大きい。
で、それをがんばってユーザーが再現するために、メーカーが死ぬほど頑張って分割し、間違って組めないようにダボの形状を設計する。
フールプルーフ(ユーザーの誤認や誤った行動を回避するための設計)の塊です。
ぶっちゃけ、ボールを作ってから工場で塗装したほうが、安くなるんじゃないでしょうか。

ユーザーの創意工夫が入り込む余地は「組み立ての過程」にはおそらくありません。
組んだ後に、ウェザリングするとか、そういうのは「できる人」に残された創意工夫の余地なのかもしれませんけども、
しかし「大きなBB-8のフィギュア」を自分で組むという体験のために、コストがかけられている。
これはもう、突拍子もない技術じゃなくて、球体を分割するための思考であり、それを実現するための根性です。
特別なテクニックが使われているのではなく、ひたすらにアイディアの勝利。
BB-8をプラモデルとして実現せねばならん、と思ったら、そのために必要なのは、分割して、組めるように設計する、思考力です。

プラモデルを組む人は、やはり自分で組むことでしか満たされない欲求のために、プラモデルを買うのだ、という思念がこのプラモデルには詰まっています。
おもちゃでいいじゃん。完成品でいいじゃん。風船でも、ラジコンでも、いいじゃん。
そういう気持ちに抗いたい人たちが、プラモデルにすがるんだとしたら、このBB-8はプラモデルとして極めて本質的な「組まれる」ということに特化しています。
そこに、BB-8というメカの内部的な構造や「手軽に入手できる雰囲気」とかは盛り込まれていないかわりに、
組み立てるという体験がただ厳然と存在している。けっこう衝撃的です。

「ただひたすら組まれるために、組めるように作られたプラモデル」というのがどんなもんか。
これは組まないとわからないと思います。あとめっちゃデカい。


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▲別売りの電飾キットも突っ込んで、バシーっと光るBB-8が完成しました。塗ってない。組んだだけ。


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▲恐ろしいプラモデルです。我々は、どうしてプラモデルが好きなのか?というのを考えるために、一度は組んでみてください。ぜひ。




追記/そこそこ読解力のある人達から「いや、これを実現しているのは技術力でしょう」というコメントが来たりしています。
おっしゃるとおり、これはもちろん一定の「技術力」がなければできないプロダクトであります。
それはわかっていますが、超絶設計ではあるものの、そこにあるのは"変態技術"でも"超絶技術"でもなく、
きわめてノーマルなプラモデルの製造技術に則ったプロダクトであるからして、
面白いものが発売されるとすぐに「出た―!バンダイの変態技術!!」とか書いちゃう思考停止気味な物言いはやめようぜ、という提案です。






Commented by 永遠の中二モデラー at 2017-04-24 13:44 x
私は、他に「1/2スケール」というプラモデルを知りません。
おそらく未来永劫「昔、1/2スケールっていうプラモデルがあったんだぜ!」って語り継がれるコトでしょう・
そう、昔「扇風機」のプラモデルがあったことが未だに語り継がれているように。

しかもランナーだけ見れば、これがBB-8である事に気がつかないと思います。
今回、バンダイは総力を挙げてStarWarsのプラモデルを開発していますが、このキットは「その頂点の一つ」に君臨するものではないでしょうか。
Commented by 763 at 2017-04-24 14:57 x
今回の記事はつまんなかったな
煽った割には内容が無さすぎた
変なあおりとか無くていいですよ
いつもどおりの記事が一番楽しめてます
Commented by 7C at 2017-04-24 15:10 x
技術力とは何か
射出成型とは何かを知らない人が書くと
こうなるんだなぁ
という記事ですね
Commented by 近藤義一 at 2017-04-24 15:15 x
長年にわたる「愛」だと思う。
Commented by M at 2017-04-24 15:51 x
>> Commented by 7C at 2017-04-24 15:10 x
>>技術力とは何か
射出成型とは何かを知らない人が書くと
こうなるんだなぁ
という記事ですね


お爺ちゃんこの記事よく読んでみよ!(><)
あなたが褒めたいこと、貶したいことに概ね沿った内容だよ(><)

「斜に構えて、それっぽく嘆息したいだけじゃんw」って若い子に内心笑われるのは辛いでしょ...
Commented by ワタリガラス at 2017-04-24 16:16 x
キットは素晴らしいし記事も面白かったです。
ただ大きさ比較にタバコを出すのは不適切で時代遅れな気もします。
今の時代タバコの有害性は知れ渡り触れたことも無い人や嫌悪する人も多く、そんなものではサイズが分からなく比較用として様相を呈してないのでは。
大きさ比較ならDVDなどのディスクや500mlペットボトルなどのほうが余程適切な気もします。
Commented by 7753 at 2017-04-24 16:30 x
バンダイの企業努力には敬意を表しますが
個人的にはこのような製品をプラモデルとは呼んでいません。
自分の中では立体パズルのカテゴリーに入れています。
組立ての過程において創意工夫の入る余地は無い
と言い切っている時点でもう無理です。

そうです。
私はパズルが苦手なのです。
Commented by 8 at 2017-04-24 19:20 x
凄く読みづらく分かりづらい文章
もうちょっと普通の表現にしてみては
Commented by しまじろう at 2017-04-24 22:24 x
射出成型と設計の技術革新と言えるものはプラモデルの国内生産開始以来どのタイミングで行われ、どの製品に反映されてきた、今後紹介して頂けると助かります。
Commented by B2 at 2017-04-24 23:09 x
別に問題作というほどではない。

組み立てること自体を目的にプラモデルを見ていると、このブログの様な感想になるのか?
好きなキャラ(ガンダムやSW、飛行機や戦車等)の模型(ミニチュア)が欲しい。が目的だと、
高額な完成品と安価な代わりに自分で組み立てる手間が発生する組立キット(プラモデル)の違いでしかない。

このバンダイのBB-6は大きくて存在感は十分だが、それなりに高額で大きさの割にギミックがほとんど無くて少々残念な仕様。
素体のキットは今のままでいいから、もっと別売りオプションで色々なギミックを付けて欲しかった。
Commented by 00i at 2017-04-25 01:00 x
>組み立てること自体を目的にプラモデルを見ていると、このブログの様な感想になるのか?

え?その目的でなんか悪いことが?
あんたが記事書いてもつまんなそーだなと思わせる意見だわ

こんなに熱意があってスピード感もある記事読んで、少なくとも俺は興味のなかった組み立てプラモデルの良さを感じたぞ
Commented by 通りすがり at 2017-04-25 09:39 x
パーツが用意されていて、切り離して、マニュアル通りに組み立てて、飾って、ボタン押したら光るだけ、それの何が楽しいの?と自分は思うけど、それが楽しい人がいる事も理解できるよ。
Commented by 昭和のおっさん at 2017-04-25 12:22 x
かつて日本には1/1ハンディファンの単三電池で実働するプラモデルが存在した。
Commented by 永遠の中二モデラー at 2017-04-25 13:22 x
> かつて日本には1/1ハンディファンの単三電池で実働するプラモデルが存在した。

私も作りました。けどあまり涼しくはなかった記憶があります。
1/1のスケールであれば、モデルガンのプラモデルもありましたよね。

今回のBB-8は、既に1/1のBB-8のトイが出ているにもかかわらず、しかも出来の良い1/12のBB-8のプラモデルが出ているにもかかわらず、あえて「1/2」というスケールを選択したところが「潔い」と、私は思うのです。
Commented by 通りすがり at 2017-04-27 11:35 x
愛だな。
Commented by YSK at 2017-04-30 18:05 x
現代のプラモデルが「どんな体験を楽しめるのか」をベースに高度にプロダクトデザインされたものであり、技術やスタイリングはそのための要素なんだという事が良くわかる良記事でした。
Commented by Umami at 2017-05-03 09:22 x
変態技術だって技術のうちだと思います。
特にバンダイはガンプラで塗装不要のプロダクツを発売しながらその技を磨いてきました。
それは単に技術偏重の自己満足ではなく、子供たちがプラモデルにとっつきやすくなるための、模型離れを食い止めようとする方策です。
by kala-pattar | 2017-04-23 23:29 |  →SPRUE CRAZY | Comments(17)