バンダイ製ナウシカのプラモに見る、世にも珍しい「金型魔改造」の世界

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▲箱開けて「ウェッ!」って声出ました。


あの、ナウシカのプラモデルってのがこの世にはあるんですよね。
で、最近はウォーハンマーの造形物とかシタデルカラーにそうとうハマってしまっている自分なので、
国内産のナマモノ系プラモデルもいっちょ買うか〜と模型店をうろついていたら、バンダイからひさびさにナウシカのプラモが再販されてました。
買いました。で、箱開けたら「どう見てもバンダイのプラモデル」という顔したランナーが鎮座していたので、びっくりしたんですよ。
だって最初の写真、1枚のランナーに3色入ってますよね。これができるの、世界でもバンダイだけです。




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▲おまえ、スライド金型で嵌合が設けられてるじゃねーかよ!と。


この人何言ってんだ、バンダイのプラモデルなんだから中身もバンダイだろそりゃ、と思うのは正しいんですが、
もともとナウシカのプラモデルを売っていたのはツクダなんですよね。
で、オレのうろ覚え情報だとツクダの金型をバンダイが引き継いでパッケージ変えて売ってる、という認識だったんですよ。
だからすんげー昔の、接着剤必須の、色分けなんてされてない、朴訥なフィギュアが入ったヤツだと勝手に思い込んでいたんですよね。
だってパッケージの完成写真、昔のやつと全く同じに見えるもん。


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▲どう見ても現代のプラモデルの顔ですよこの造形は。


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▲メーヴェのエンジンもシャキシャキじゃないですか……


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▲でもちょっとまってほしい。この肌色のランナーにはパーツが付いてないですよね


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▲しかもなんかこれ、接着剤不要のスナップフィットらしいんですよね……


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▲裏返すと2004年の刻印が。


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▲地面の造形はツクダ版と変わらない気がするし……


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▲ここは2004年にしちゃモールドがニュルッとしている気がするし


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▲ランナータグの文字が明朝体でギクッとしたり(あと左下の黄色い盲腸ランナーがマジでグッとくる)


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▲このドライブラシをしたら気持ちよさそうなモールドもツクダ版と変わらない気がする……


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▲だんだん謎が深まってまいりました


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▲唐突にこの2つのパーツだけがランナーから仲間はずれになっていたり


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▲接着剤を使う指示がところどころにあるんですよね……


インターネットをウロウロすると、「2004年リニューアルしたんだよ!」というのがいっぱい書いてあるので
単純にオレがそれを知らなかったんですよ。はい、バンダイすごいね。で終わりなんですが、話は単純じゃなさそうです。
つまり、バンダイはツクダの金型をパーツごとにバラして、一部は合体し、ごく一部は新規に造形し直し、というキメラ的改造をしたのではないか、と。
みなさん簡単に「金型改修」という言葉を使ったりしますが、上記のような作業はそうとうイレギュラーなんじゃないでしょうか……。
少なくともオレはあんまり知らんぞ、そういうプラモデルの出世魚。

キットを組んでみるとだいたいスナップフィットなんですが、2004年に新規に作った金型とは思えないディテールの不連続があったり
いきなり接着指示が出てきたりと、結構不思議な体験が楽しめます(2004年にバンダイが接着必須のキット作らないもんね……)。
かと思えば記憶よりもずっとかわいいナウシカの顔が出現したり、色分けされた部分があったり、
さらには「色ごとにプラスチックの硬さが違う(説明書には全部同一の「PS」という素材表記があるのに!)」という憎い演出も……。


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▲ほら、「あのカタチ」だけど、色プラでバンダイっぽい姿でしょ!?


ツクダが得た原型が金型になり、その金型がバンダイに渡り、バンダイがツクダのオリジナルのモールドをそのままにしながら、
ユーザーが組む過程で直接経験する「パーツの裏側」とか「色分け」という部分だけをいじって「2000年代のプラモデル」に魔改造する。

金型を魔改造することで現代的な組み味を無理矢理に実現しつつ、出現するものは懐かしいモールドの、懐かしいあの姿。
そう、原型と完成品は同じ形なのに、その途中の経過がほぼ完全にリニューアルされてるんですよ。
やっぱりプラモデルは過程だよ。ランナーだよおっかさん。

ということで、「ナウシカのプラモ?ああ、ツクダのやつね」という人も、「ナウシカのプラモ、2004年にリニューアルしたよね」というのを知ってる人も
いま再販されてるやつを買って、ランナーを眺めてみてください。
21世紀の技術で建て増しされた老舗旅館の女将が、メーヴェに乗って80年代からやってきます。肩にテトを乗せて……。
明日、王蟲とかガンシップも買ってこよう……。んで、シタデルカラーで塗りたい……。めっちゃ楽しそう……。
しかし、なんですかこのフランケンシュタインのようなプラモデルは……。めっちゃおもろいやんけ……。

追記/「これ金型がない、もしくは破損してたから商品を原型にして金型つくりなおしたんじゃなかったっけ。メビウスみたいな。
だからちょっと小さいんだったよね元のより。(無責任発言)」という識者からのコメントが。
そのセンは考えてなかったしどこかで読んでいたとしても覚えていない……。
もし情報お持ちの方いましたら、ぜひ教えてください。
何にせよ、プラモデルをそのままプラモデルにしなおしているのだとしたら、それでも充分ストレンジな製品だとは思います。







Commented by もっちー at 2017-05-16 00:38 x
これ金型がない、もしくは破損してたから商品を原型にして金型つくりなおしたんじゃなかったっけ。メビウスみたいな。だからちょっと小さいんだったよね元のより。(無責任発言)
Commented by kala-pattar at 2017-05-16 00:55
あ〜〜〜〜それはあるのかもしれない……。
でもどこかで読んだとしても忘れてます!!
誰か〜ホントのこと教えて〜〜。
Commented by MACK at 2017-05-16 02:54 x
いつも楽しく拝見してます!
聞きかじりなのですが、バンダイが商品化の際、ツクダの造形、ポーズを基本的に変えないのが条件?ルール?だったそうです
発売当時中身を見てビックリしたことを思い出しました、ツクダのを一通り作ってたので作りやすさ、ディテールのクッキリしゃっきり感が、すごかったです、フラップターは可動ブースターの追加まであったり、他キットも新規でベースが追加されてたり、ツクダでは一切なかった瞳を含むデカール、それだけやっててお値段もリーズナブルなんですよね、ありがたいです
ツクダとのランナー比較すると面白いかもです、いえ、リクエストというわけではないです(^o^;
また興味深い記事を楽しみにしてます!
Commented by アンコ at 2017-05-16 11:48 x
駿氏がバンダイ嫌いで
最初はツクダが作ってたけど
プラモデル部門の廃止で
バンダイが権利を買い取って
一部を作りなおしたってきいたな
中古屋でツクダのナウシカ見たときに
?、全然違うなって思ったもん
Commented by 永遠の中二モデラー at 2017-05-16 17:42 x
私も今回の再販で、ナウシカのキットが改修(?)されているのを初めて知りました。

さっそく購入しようとランナーを見たら、「王蟲とナウシカ」の王蟲の裏側がリアルすぎて。。。。

Commented by zen at 2017-05-17 19:02 x
バンダイが発売するにあたってスナップフィット化するんで金型を改修しただか作り起こしただか的な事を当時のMG誌で読んだような気がします。
by kala-pattar | 2017-05-16 00:21 |  →SPRUE CRAZY | Comments(6)