穂高連峰同伴出勤の旅 その4

朝4時半起床。相変わらず外は真っ暗で、ザンザン降り。
こちらもヤケになって、缶ビールを飲みながらウナギの肝を食らう。
朝からアルコールである。
このまま天候が回復しなければ稜線に出るどころか
外に出るのも嫌な感じの天気。

しかし、M嬢と朝飯をボソボソと食べつつ
コーヒーを湧かしたりなんだりかんだりしていたら
雨脚が弱まってきた。

あげくの果てに雲間から光が射してくる。
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これ幸いとばかりに装備を整え、
一気に晴天のザイテングラードを登る……とか
そんなうまい話はなく、
霧雨のなかをじりじりと登って行く。
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レインウェアを着るにはあまりにも暑く、
かといって行動を止めると異常に寒い。
これだから秋山は恐ろしい。
もし足でもくじいた単独行のビギナーなんぞがいようものなら、
瞬間的に体温を奪われて数時間で死んでしまうのではないだろうか。
それくらい寒い。
あと高いから空気が薄い。
空気が薄いのでモーローとする。

モーローとしながら社長令嬢の尻を追いかける。
2時間半のモーローウォークを終え、ついに白出のコルにたどり着く。

視程は15m。飛騨側から吹き付ける風は風速20m/sくらい。
水とも氷ともつかぬ固い飛沫がびしばしと顔に当たる。
要は最悪の天候。

社長令嬢はこれにて出勤完了。
暇なのはワタクシである。
朝9時半にその日やるべき事を終えてしまうなんて
日常生活でそうそうないので、きわめて挙動不審になる。
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とりあえず喰ったり飲んだり寝たり起きたりして
この10年くらいで一番暇な一日を過ごす。
暇といっても喰ったり飲んだり寝たり起きたりで意外と忙しい。

なにより楽しかったのは岐阜県警のエリートたちである。
先頃ジャンダルム付近で発生したヘリの墜落事故のため
現場検証やら捜査やらで山に入った県警エリートが
ゴニョゴニョでチョメチョメな事情から山荘に釘付け。
全員暇を持て余し、永久に飲んで食べて喋って、
いろいろと面白かったのだが、諸般の事情で書けないのが悔しい!

とりあえずまあそんな感じで夜まで粘り、
天候は回復しないまま再び寝ることに。

それにしても山荘でもスタッフのみなさまにはたいへんお世話になりました。
ありがとうございました……。

つづく
by kala-pattar | 2009-09-21 21:11 | Mountain