【GNH】ゼロ年代終わりのブータンを旅行してきた。【その2】
2010年 01月 11日
いつ何時CAに中国語で話しかけられるかわからん緊張感から
一睡もできないままエアバスは中国へと飛んでいく。
新型インフルエンザにかかっていないかどうかの問診票を書き、
アライバルのカードを書くと、
ぐんぐんと高度を下げた機体は見たこともないほど美しい滑走路に降り立った。
写真は撮れない。
上海浦東国際空港は日本の金を使って作り、1999年に開港した。
3レターコードはPVG。4000mのオープンパラレルが3本。
アホみたいに広い敷地に、アホみたいにタキシーウェイが張り巡らされ、
めまいがするほど大きなターミナルに、尋常じゃない数の飛行機が駐機している。
トランジットなのかトランスファーなのか、
地上の係員もイマイチ分かっていないので、ここで初めて英語を使う。
そしたら、とりあえず入国審査を受けろ、と言われる。
話が違うけど、めんどくさいのでいったん入国し、ターミナルをぐるりと回ってから
もう一度出国する。


▲消失点が見えるほど巨大なターミナル。

もちろん中国元など用意していないので、ベンチで暇をもてあます。
やることがない。タバコを吸うスペースもない。寒い。
夜中なので人もいない。かなり絶望的な気分になる。
バンコク行きの定刻が来てもアナウンスがない。
どうしたことかと搭乗口に行くと、搭乗口変更の張り紙。
走る。
飛び乗る。

▲あ、写真撮っちゃった。
成田から上海はさすがにサービスもそこそこだったが、
上海からバンコクとなると、機内の様子はもう完全にテキトーそのもの。
ぎゃあぎゃあ騒ぐ中国人ツアー客、
空席から空席へと移動し、シートベルトも無視する
ビーチサンダル着用の北欧系バックパッカー集団、
無言のサラリーマン。
中国東方航空のCAも態度がアホみたいに悪い。
そして緊張さめやらぬ自分。
深夜の便なので、機内食は謎のお菓子盛り合わせ。
これが強烈にマズい。
また一睡も出来ないまま、とにかくひたすら機内放送を凝視する。
レディ=ガガのパチモンが必死でバラードを歌う中国の歌番組。
今時信じられないほどクオリティの低いアクシデント系ホームビデオの詰め合わせ。
音楽チャンネルにスイッチを変えて、音の悪さにゲンナリしつつ
窓を見やればそこはタイランド。
ぐんぐんと高度を下げ、これまた大きくて美しいスワンナプームに降り立った。
着地の瞬間全員シートベルトを外し、立ち上がり、騒ぎ、
枕やブランケットを床に蹴散らしたまま我先に降機していく。
こいつらはバカなのか?
と、一瞬思ったけども、そうではなくて、こういうお国柄なんだろうね。
そう気づいてからなんとなくいろんなことが飲み込めるようになって
今考えてみれば「あ、海外旅行してるんだな」というのは
ここで感じたのかもしれない。
深夜1時のスワンナプーム。
空港の電光掲示板に輝くタイ語が、あたりまえながら読めない。
読めるのは英語だけ。ここで異常なテンションになる。
イミグレを通過し、ダウンジャケットを着たまま空港の外に出る。
とにかくタバコを吸いたい。
自動ドアをくぐると……
そこは完全なる熱帯であった。


携帯電話の設定をいじる。
3G回線がないので、GSMに切り替える。
と、簡単に書いたけれど、これに気づくのに1時間以上かかった。
で、ついに先行組3名と合流。
空港内のレストランでシンハーを呑み、フォーを喰らう。



ドゥク・エア(ロイヤルブータン航空)のカウンターでブータン行きのチケットを引き換え、
またも三脚を規定外扱いにされ、一路バグドグラへ……
あれ、ブータンじゃないの?



搭乗口からバスでめちゃくちゃな距離を走り、沖留めされたA319へ。
垂直尾翼のドラゴンがまぶしい。

小さな機体がバンコクを離れ、インドを目指して飛んでいく。
もはや現実感はなくなっていて、あまりの疲労でまぶたが勝手に落ちる。
起きたらそこはきっとバグドグラ空港。
つづく。
by kala-pattar
| 2010-01-11 15:58
| 行ってきた