【映画】 GRAVITY

人生で観た中でいちばんいい映画だった。
正確に言えばそれは「映画」ではなくて、少なくとも俺にとっては経典とか聖書のようなものに近い存在だった。
おそらくこれから死ぬまで、他のどんな映画とも比べず、この作品を心にしまって生きていくはずだ。

人間は「これがほしい」とか「これを見たい」ということをすぐに口にしてしまうけど、
本当にほしかったものとか、本当に見たかったものというのは
自分の想像の埒外からやってくることがほとんどであって、だから「ニーズ」というのは常に潜在的なのだ。

俺は人類の宇宙開発(宇宙探査や宇宙の広がりにはあまり興味がない)というテーマに心奪われて
趣味と仕事の両面からそれに触れることを幸せに思って生きてきた。
だけど、結局その核心(もしくは本質)……つまり、どこに心奪う要素があるのかについて
ハッキリとした輪郭を描こうとしたことはなかった。
それは結局人間が宇宙で使うために作り出した機械のディテールであったかもしれないし
それを運用する人々の知性や勇気のようなものであったかもしれない。
上記したことは「重力に縛られた地面の上では体得し得ない運動の法則」といかに仲良くして、
その上でいかに人間が知見を広げていくかというトライアルの結果、生まれるのである。

『GRAVITY』は、宇宙に人間が出て行くという行為そのものだけにフォーカスして、
観客にその欠片を分け与えるための装置であった。

宇宙に行けずに死ぬかもしれない俺には、この映画がある。ただそれだけでいいのだ。

想像力の外側からやってきて、渇望していたと錯覚させてくれるもの、これが見たかったんだと心の底から叫ばせてくれるもの。
そういう映像が、人間の手で作られて、街の映画館で観られるということ。
奇跡だ。




追記/まだ見ていない人はIMAX3Dで観ましょう。
2Dで見ても、吹き替えで観ても、意味がまったくないと思うから。
by kala-pattar | 2014-01-11 13:32 | Movie&Books | Comments(0)