【超音速漫遊記 その0】前口上

ずっと逃げ回っていた。
転職も、引っ越しも、結婚も、考えたくないから考えないようにしてきた。
どれも相手があってはじめて成立するものだから、なるようになると思っていた。
真面目に考えないから、それらはなるようにしかならないし、それでいいと信じていた。
考えようにも考えられないのは、そのための判断材料を集めてこなかった自分に責任があった。
これまでずっと、自分の運の良さに甘えていた。

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「出たとこ勝負でなるようにしかならない人生」は、
仕事も遊びも結局なるようにしかならず、可能な範囲でいちばん面白く転がればよかった。
そこから一歩踏み出すには、自分で判断して、自分で自分の背中を押す必要がある。
その判断力を養う過程が世に言う"勉強"であり"自立"であり、それを怠けまくっていた自分は
言ってみれば、「自活していなかった」ということになる。
自分の人生の可能性を広げるには、結局自分で自分を律して、判断して、自分の背中を押すこと以外ない。

たかだか一ヶ月の旅行にここまで大仰な考えを持ち出す必要はないように思える人も多いかもしれないけど、
自分にとってはそれくらいの覚悟と勇気が必要だったし、旅行を終えたいまもヒリヒリしているのは
すなわち自分で自分のことを少しでも考えることを始めたからなんだ、と思える。

2013年の夏、仕事を変える決断をして、一人で家に住むことを決めて、航空券を予約して、
たくさんの人のサポートを受けながら、俺はちょっとだけ長い旅に出ることにした。

12月4日の夕方、引っ越したばかりのマンションを出て成田空港へ向かい、
そこからエミレーツ航空319便に乗って、まずはドバイへと向かった。



by kala-pattar | 2014-01-17 15:01 | 行ってきた