【いきなり週末】マレー半島を南下せよ【弾丸旅行】
2014年 07月 15日

なんとなく、こんなことになるのは分かっていたのだ。
写真を撮ることも、それを人に見せることも、人と付き合うことも、自分で自分の暮らしを規定することも、全部こんがらがってしまった。
どれが正解で、どれが正解じゃないのかを決めるのは自分なのだけど、それはとてもむずかしいことだ。
だからまた、同じくこんがらがっている女友達にそそのかされて、俺はマレーシアに飛んだのだった。

クアラルンプールに降り立つことの無感動さと言ったらなかった。
ついこの間落成したKLIA2は新鮮だったけども、それはただ建物が新しいということに対する興味であって、
結局のところ、俺は外国に行くとか知らない街に行くとかそういうことに対して恐ろしく鈍感になっていて、驚いた。

KLからひとりバスに乗って、マラッカに向かった。
マラッカについての予備知識もなく、ただバスターミナルに着いて、ただホテルを予約して、
適当なWi-Fiを捕まえてGoogle MapsをiPhoneのRAMにある程度キャッシュしてから、適当に街を歩いた。

世界遺産に指定された町並みも、その来歴を知らなければありきたりな東南アジアの下町だった。
暑くてヌルヌルする空気の中を一人で歩きまわって、ひとしきり飽きたところでホテルのプールサイドで転がり、ひたすら読書した。

ティオマン島に沈没していた女友達が約束よりも数時間遅れてホテルにやってきたときも、
うまく対応できずに、ふたりで適当にチャイナタウンに出て、そぞろ歩きながら中身の無い話をしていた。

狂ったように光る痛リキシャを鼻で笑いながら、通り一遍の飯と通り一遍の酒を食らって、プールに浸かって、
また適当な話をして、すべてがこんがらがったまま各々グースカ寝て、次の宿を予約したりキャンセルしたりして、
ふたりともさして考えずにシンガポール行きのバスに飛び乗った。

シンガポールはドバイよりもなんだか地についたきらびやかさで、たいそう俺の心を打った。
大学の先輩と、こんがらがった女友達と、俺と、思い思いに腹の中にこんがらがったものを抱えたまま
シェントンウェイのビルを眺めて、マーライオンが水を吐き出すのを諦めるまで缶ビールを呷って、
タクシーを飛ばして、肉骨茶を啜って、テキトーに寝た。
シンガポールからクアラルンプールへ、クアラルンプールから羽田へ。
ほぐしに行ったのか、こんがらがりに行ったのか、なんだかよくわからないけど、また東京で暮らしが続く。
ひとつ言えるのは、引越し先も、仕事も、人との付き合いも、決めてから動かなきゃいけなくて、
それにはとてもエネルギーが必要で、それには切り捨てるものとかもあって、でもそれはとても面倒くさいということだ。
みんな、それを知ってやってるのか知らずにやっているのかよくわからないけど、
面倒がっていればやがて人生は闇に飲み込まれて、どっちに向いてどれくらいのスピードで進んでるのかもわからなくなるはずだ。
見て、書いて、撮って、仕事して、食べて、寝て。
あたりまえだけど、すげー難しいな、と思った。
この歳になってこんなことで改めておっかなびっくりになるのはとてもダサいけど、それだけ甘ったれてたな、とも思ったりする。
甘ったれてたぶん、他人にもなにもしてこなかったな、とも思う。
なので、帰りの飛行機で本を読みながら一人ですすり泣いてみたりもした(それは次の記事で)。
by kala-pattar
| 2014-07-15 01:17
| 行ってきた