Kindleで読む初音ミクとニコニコ動画と宇宙と人間の終わりと始まりの話

とある理由でKindle Paperwhiteを買った。
電子書籍クソ食らえ、と思っていたのだけど。

結果として、3日で慣れた。2週間で手放せなくなった。
30秒だろうが、2分だろうが、5分だろうが、カバーを開くだけで読み始められて、カバーを閉じるだけで読み終えられて、
自分が前回どこまで読んだか考えなくてよくて、でも全体のどれくらい読んだか教えてくれて、
ラーメン食いながらでもページがめくれて、軽くて、小さくて、充電しなくていいデバイス。
画面がザラザラしていてかっこいいし、ページめくりの時に生じる電子ペーパー特有の書き換え動作もSFチックで良い。
とにもかくにも、読書体験がちょっとだけ変わる。
欲しい本は買えばいいけど、「このさいだから読んどくか!」というタイプの本はこれからKindleで読むことにしたよ。

んで、最初に読んだのは南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)である。
刊行当時、表紙がこんなんだったので、書店でドン引きしたのを覚えている。

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初音ミクに乗りきれなかった自分には厳しい表紙、そしてニコニコ動画に擦り寄ったかのようなタイトル。
野尻さんとはTwitterで絡んだり、仕事で一緒になったりしたこともあったのだけど、
これがガチンコSFだということを知らなくて(というか表紙から判断できないよね)、
しかしまあ、いまとなっては初音ミクから教わることもたくさんあって、ニコニコ動画を取り巻く環境も変わっていて
そしてなにより、「電子書籍で読むとなんだか良さそうだ」という直感が働いた。



スローな始まりでどうなることかと思ったら、めちゃくちゃテンポいい。
そして短篇集なのかと思ったら全部つながっていた。
そして最後はもう涙がドビドビ出てきて読み進めるのが大変だった。

初音ミクとはなにか、ニコニコ動画(というかUGC)とはなにか、そして、人間とはなにか。
ハチャメチャストーリーなのに、宇宙、海洋、バイオが多重奏になって、最後に驚くべき展開が待ち受ける。
(とくに海洋ものにめちゃんこ感激した。ナチュンを並行して読んだりしているのも効いてる。)

いやー野尻さん、表紙で毛嫌いしてごめん。
超ストレートなガチンコSFでした。泣いちゃった。
映画化したらめちゃんこヒットしそうだけど、どうだろうねえ。

by kala-pattar | 2015-01-09 23:14 | Movie&Books