STAR WARS ep.7で昔のメカがバンバン出てくるシーンがかっこいい理由を考えた

もう見ましたね。TFAのティーザー第2弾。


もう言うことなし、最高。のヒトコトなんですけども、
やっぱりどの世代も口を揃えて言っているのは「昔のメカ最高!」なんですよね。
俺もそう思うし。最高、というか、それしか理解できないからそこにすがりたくなる。

で、その描き方についてこないだ酒を飲みながらタラタラと考えていたんです。
つまり旧三部作(トリロジー)に出演していたメカをどう登場させているのか?という分析です。

■地面にいるのがすげえ


冒頭カット。朽ちデストロイヤー、朽ちXウイング。
最後のカット、朽ちエグゼクターのノズルに飛び込むミレニアム・ファルコンとTIEファイター。

これ、どっちもトリロジー放映当時に成し得なかったカットなんだと思うんですよね。
プロップとマットスクリーンもしくはロケした映像との合成を使って撮影していた当時、
「そもそもなんで宇宙戦争なのか」って、そりゃリアルな地面作るのが大変だからだし、合成も簡単だから。
宇宙空間って合成しやすくて余計なもん作らなくて良くて目新しい画が作りやすいので特撮の舞台として好都合なんだけど、
逆に言うと速度や距離、大きさの対比が非常に演出しづらい。
しかも音や燃焼といった馴染みのある現象で大嘘をつかなければならない。でもこれは過去の話。

思い出してみりゃ、地面が出てくるのって雪とか砂漠というロケでもミニチュアでもイケる場所か
ミニチュア作ってもリアリティがある程度担保できるデス・スターの表面とか、そんなとこばっかり。
クラウドシティだってダゴバだって一応地面だけど、メカは実物大プロップが大道具として置いてあるか、
遠くをピーッと飛んで行くのがちょろっと描かれるだけ。

巨大なもの、空を飛ぶメカが地面や水面とどういう位置関係にあって、お互いがどういうふうに動いているのか
それを何度も何度も再現しながら撮影して、最終的に合成して違和感をなくすことができるのか、という意味では
(宇宙以外のシーンでは)当時の技術が足りなかったのだろう、と思うわけです。

それがTFAのティーザー(第1弾含む)を見ると、
ミレニアム・ファルコンが裏返ったりヴェイパー(ひこうき雲)を引くのをカメラごとぐるりと回して見せたり、
Xウイング(新デザインのほう)がその衝撃波で水面を波立たせていたり。

■デカイもんをデカく見せるのむずい


さらに言うならば、「砂漠に落ちているスター・デストロイヤー」って「巨大なものが遠くにあって霞んでいる」わけです。
(もし砂漠ごとミニチュアで再現しても、ああいう距離感は出せない。当時の技術じゃ合成したら違和感バリバリ)

もっともっと言うと、エグゼクターがいくらデカいと言っても、ノズルにミレニアム・ファルコンが飛び込むなんて
やっぱりものすごくデカいプロップを作るしか方法がなかっただろうとも思うわけですよ。

だからトリロジー当時「エグゼクターが死ぬほどデカイ!」っていうのは「スター・デストロイヤーがこんなにちっこい!」とか
「デス・スターに墜落するとこんなことになる!」という方法でしか演出できなかった。

ということで、TFAにおけるいわゆるトリロジーメカの出演のさせ方を見て
「そうそうそうそう!そういうの見たかったんだよ!」ってオレたちが強力に頷いてしまうのって
「昔見た超かっこいいメカが超かっこよくそこに存在している!」ということであり
その「かっこいい」をきちんと紐解くならば、
「トリロジーではできなかった大きさや動きの演出、周囲にあるアトモスフィアとの呼応」にあるのではないか、と。


■"見せ方"が変えられないところはデザインを変える


逆に「舞台として昔のままでいいところ(=宇宙とか港の中とか)」ではメカをことごとく刷新、リデザインしている。
(新しいTIEの背中とか、ストームトルーパーのヘルメットとか、インペリアル・シャトル風の二枚翼のビークルとか
顎が突き出たスター・デストロイヤーっぽいやつとか、そのへんが全部きちんとリスペクトのあるデザインで嬉しい)

見たことのない映像を作ることがSWのワンダーなところだとするならば
昔のメカは昔できなかった舞台の中に出して、きちんとその大きさや挙動を描きなおす。
逆に舞台が昔と変わらないところではメカのデザインを変える。
そんな配慮が全編を貫き通しているんだとすれば、こりゃ最高映画だなーJJがんばれーと思うのでした。


■メカと景色の解像度


ガンダムセンチネルで言われていたような気がするけど
「戦車や飛行機やSFメカを模型としてリアルに作る方法はあっても、
"地面"をそれと同じ解像度で作って合成して違和感なく仕上げるのは死ぬほど難しい」
というのがCGの進歩によって可能になったからこそ、「宇宙にいないメカ」がグッと来るんだなーみたいな。
「古いメカ」にリアリティを与えて(おおまかに言うと大きさと挙動と距離感をしっかり感じられる絵作りの中に登場させて
その実在感を補強してあげるという作業が行われているように見える)、
「古典的だが残しておきたい画」には新しいメカを登場させてそのバランスをとる、
というのがTFAでやろうとしていることなんじゃないでしょうか。

そういうことを考えながらティーザーを見ると5倍くらい美味しくなると思うのです。

楽しみだね。

追記/ちなみに舌っ足らずだから書き足しておくと、
「朽ちているのがかっこいい」のではなく、地上とか空とか水面とメカを合成して
大きさとか空気遠近法とかまで含めて描ききるとトリロジーメカでも「見たことのない画」になるのだなー
という感動についてのエントリーでした。

by kala-pattar | 2015-04-19 18:41 | STAR WARS