山岳界のいきなりステーキこと木曽駒ヶ岳に登った話



北アルプスの奥穂高岳、南アルプスの北岳に次いで
いつかはやらなきゃいかんと思っていた中央アルプスの盟主、木曽駒ヶ岳。
ギリギリ3000m峰ではないし山脈の規模としても南北にやや劣る中央アルプス、
そして東京からのアプローチがあんまりよろしくない……ということで敬遠してたのですが
せっかくクルマを得たことだし冬山にいけないこともない装備が整ってきたこともあり
この連休を使って行ってしまおう、と3人パーティーで伊那谷へと赴いたのでありました。

前日は伊那の知り合いに教えてもらった居酒屋へ。
ここがとんでもないクオリティとコストパフォーマンスだったのですが
それは次回行った時にでも書こうと思います(なにせ美味すぎて写真撮り忘れた)。

翌日朝、菅の台バスセンターを経てロープウェイで千畳敷へ。
このロープウェイこそが"いきなりステーキ"とタイトルに記した理由であります。

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▲べらぼうな長さ、べらぼうな高低差。


高低差じつに950m、歩くことなく2611mの高みに到達してしまうのです。
いきなり1月の日本アルプス、9合目までワープ。気温はマイナス10℃近辺。低酸素。紫外線強力。
ダイヤモンドダストきらめく厳冬期登山のどまんなかに放り込まれるこの興奮!!
いきなりステーキ1kgくらいのインパクト! ベリーレアの肉塊を眼前に突きつけられる感覚!

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▲ロープウェイから見る稜線。雪が吹き上げられている。風が強い証左だ。


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▲千畳敷カールを直登!


バシッと登ってはい山頂。

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▲途中写真ナシ。


午前中こそ好天に恵まれましたが、正午前から一体が雲に包まれ視程30mほどに。
なにより風が強い。気温も低い。肌が露出しているところが数秒でビリビリするほど寒い。
当たり前ですがハイドレーションのチューブが30分ほどで凍結(だよね)。
おにぎり凍結。カメラのバッテリーは満充電から10枚撮らずにダウン。
稜線では全身を押すような風、顔に突き刺さる雪の結晶。
自分のコンディションをキープしつつ、滑落したら死ぬところを歩く。
こりゃ危ない。こりゃ楽しい。

そうだ、冬山というのは危ないのだ。少なくとも裸ではすぐに死んでしまう。コケたら死んでしまう。
着込んでいればいいというものでもなく、動いてかいた汗が命取りになる。
適切な衣服のコントロール、風速25mの稜線での装備着脱。休憩で一気に下がる表面体温。
瞬間瞬間に「この装備がなかったらヤバイな」というシチュエーションが次々現れる。
正直装備のありがたさというのは「この装備がなかったら死ぬな(or怪我するな)」ということを
自分のリアルな感覚として直面してみないと分からなかったっす。

しかしまあ、めっちゃおもしろいですね。尋常じゃない。景色、歩行、安堵。
そして「自分が金をかけて手に入れた持ち物がいかんなくその機能を発揮している」という状況。
山の面白さというのはいろいろあると思うけど、こちらの有形無形の投資に対して
実直に(時には理不尽に)結果を返してくれるというところにあるのじゃないかなー、と。

今年は大小合わせて20回くらいの山行を目標にしたいです。がんばろ。
by kala-pattar | 2016-01-11 19:29 | Mountain