プラモデルが好きだけど、ちょっと離れてる人にラヴ・レターを書きました。
2016年 08月 08日

コンビニでも書店でもよく見かけるGOODS PRESSの最新号はミリタリー特集です。
>GOODS PRESS(グッズプレス) 2016年 09 月号 [雑誌]ワタクシは全体の構成案や一部記事のライティングなどで協力しております。
モノ系の雑誌がプラモデルの特集をすることはよくありますが、
陥りがちな「専門誌に求められていること」をダイジェスト化してしまい、結果的に薄くなってしまう現象ってありますよね。
どんな趣味でもそうですが、「専門誌を買う人」というのはその趣味特有の用語や雰囲気を理解している人たちです。
もちろんあらゆる専門誌の購買層には「初めて買う人」も含まれるわけですが、それはとても少なく、
いわゆる世の中から「初心者」と呼ばれる人たちを毎号毎号完璧フォローすることはとても大変で、コストに見合いません。
ですから専門誌にもいくつかのセグメントがあって、ディープなもの、ライトなもの、カッコつけたもの……と棲み分けが成立しています。
プラモデルというのは気軽に楽しめる趣味が故に「なんとなく知っている/興味がある」という人がとても多い世界でもあります。
反面、その奥深さ故に「自分の思うとおりの成果物を得ようとするとたくさんの鍛錬や投資が必要になる」という遊びでもあります。
そんななかで、グッズプレスという"雑誌"(=専門誌ではない)を気軽に手にとるような人たちに対し、本当に鍛錬や投資を迫っていいだろうか、
というのがワタクシと廣田恵介氏(この企画に引っ張り込んでくれた「我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか」の著者)の考えでした。
「かつてはみんな模型少年だった」という中年男性に話を聞くと、その殆どのエピソードは野蛮で粗野な遊び方に終始します。
プラモデルはかつて、殆どの少年にとっては「買って組んでその日のうちに消費してしまう遊び」だったのではないか?
そして、キレイに組み立て、本物に合わせて細部を改造し、美しく塗装してコレクションするというのは「ハイクラスな遊び」だったのではないか?
今回の特集はもちろんそのどちらを否定するわけでもなく、ワタクシもその両方の楽しさを知っているからこそ、
グッズプレスをコンビニで見かけて「おっ、戦車模型だ。懐かしいなぁ」と思う人に対しては
「ハイクラスな遊び」ではなく、その名の通り"グッズ"として戦車模型を再び手にとってもらうことを主眼に置いてもらいたかったのです。
ということで、本特集では「コレを買おう、まずはこうしよう、次にこうしよう、さあプロと同じものを作ろう」という構成にしたくない、とダダをこねました。
あくまで全体の骨子についてのアイディア出しだったので、個々の記事は本ができてから初めて読みましたが、その方向性は間違っていなかったと思います。

ゴリゴリのモデラーにとっては噛みごたえのない中身かもしれません。
だけど、"ミリタリープラモデル"の懐の深さ、買ってくるだけ、中身を見るだけ、組んでみるだけ、ちょっと汚すだけ……
「マジメに作る」を実践せずとも、いろんな美味しいところのあるプラモデルたちを楽しげに遊んでいる様子、
そしてそれを取り巻く工具やマテリアルがちょっと「イイもの」に思える、
つまり「ああ、昔と同じだけど、昔と違うところもあるのか。ちょっと、気になるな。」と思ってもらえる画作りが実現していて、ちょっと嬉しいです。
(もちろん、専門誌でないが故に足りないところや些細なミステイクはいくつかあるのですが、それはあえて云々しません。)
ということで、「プラモデルをきちんとグッズとして紹介するなら、どうするだろう」という思考で作られたグッズプレス最新号、
モデラーじゃないあなたに、プラモデルを昔作ったぞ、というあなたに。とってもオススメです。ぜひお買い求めください。
by kala-pattar
| 2016-08-08 21:36
| プラモデル