TAMIYA 1/48 Scale Grumman F-14A Tomcat
2016年 11月 18日

いやはや、大変なプラモデルです。まだ買ってないなんて言わせませんよ。
組んでいて、気絶しそうになります。あまりにも精度が高く、あまりにもホスピタリティに溢れていて、その優しさに包まれて昇天してしまいそうになるのです。
飛行機模型でこんな経験をしたことはないかもしれない。ああ、タミヤはやっぱりタミヤなのだった、という。
「トムキャットがこんなに簡単に組み立てられるはずがない」というのが感想です。それくらい、信じられない体験なんです。
■レビュー
概念的な話をしてもしょうがないので、例によって例のごとく、ランナーです。

▲胴体下面。これだけ空隙だらけの巨大なパーツですが、縦横にランナーが走っていて歪みが抑えられている上、成形精度が異常に高いです。

▲胴体上面。エッジの前方は別パーツでヒケないように配慮されており、機首からつながるラインもバチピタ。組んだら驚愕しますよ。

▲胴体上面後半部。主翼付け根のシーリングパネルは別パーツで、可変翼の動作に合わせて差し替えるという仕様。合わせ目にベロが出ていて噛み合うところにも注目です。

▲インテークはスライド金型でサイドに脚収納庫のディテールが彫られています。胴体下面にスパーンと吸い付いて一切ぐらつかないのに驚きます(驚いてばっかし)
▲インテークの中に収まるダクトは竹割りなのに精度がめちゃくちゃ高く、インテークに組み込んだあともギャップがまったく見えません。どうなってんの……。
▲インテークリップ下半分の金属地むき出しの部分は塗装とディテールの両面を考えてわざわざ別パーツに。地味にこのキット最大の特徴かもしれません。

▲主翼を取り付けるための基部には剛性確保のリブが。ギアで左右が連動する可変翼は垂れ下がらないよう上から押さえるパーツ(ネジ留め)も入っております。「ネジってタミヤ!」だよね。

▲ベントラルフィンの面構成も最高に正確で、そこに彫られたNACAダクトだけでご飯3杯食えます。胴体への接着シロも大きく角度バッチリ強度バッチリ。

▲エンジンはD型へのバリエーション展開を考慮しているのかランナーが独立しています。コクピットのコンソールパネル類も同様。

▲ノズルの内部は「あとでディテールアップパーツ出るのかな?」と思わせる一体成型。まあ覗き込まなきゃ見えませんし、ディテールもしっかりしてるので塗り分ければカッコいいでしょう。
▲コンソールパネルはハセガワ同様各面がバラバラになっているのですが、とにかくカチーンカチーンと組み合わさって位置決めビターンです。ここを組むだけでも超楽しい。
▲コクピットのバスタブ。コンソールパネルがハマるダボが彫られています。下にちらっと見えるコクピットの蓋的なパーツも隙間が出ずシュパーンとハマって感動です。すごい。
▲前脚収納庫のディテールも立体的。パイプ類を塗り分けてスミ入れすると、模型がうまくなったような錯覚に陥ります。サイドの出っ張り(棒)は胴体内部と噛み合って位置が完璧にキマります。
▲ディテール再現のために比較的トリッキーな分割となったランディングギア周り。細かいパーツもダボが大きめにとられているので角度強度ともにバッチリ組み立てられます。
▲箱組みの主脚収納庫壁も切り欠きをカチカチと組み合わせれば角度がビターンとキマります。なんなら接着剤いりません。ジェット機のプラモは全部こうであってほしい。
▲男の子ならみんな大好きフェニックスミサイル。ディテール再現のために中央部外板が別パーツになっています。ランナーの盛り上がりはスライド型じゃなくてパーツが脱落しないためのバンパーなんだな!
▲スパローやサイドワインダーも1/48スケールとしては随一のディテールと分割だと思います。姿勢制御板の角度がビシーッと出るだけでうれしいのです。

▲パイロットとRIOは胴体頭部共通ですが腕パーツで演技させます。前後割りでこの間延びしないシワの表現しているのはさすが(パーティングラインどうなってんだ……)
▲可変翼の作動に合わせて差し替えるエアバッグパーツの裏には状態と左右を示す記号が彫られています。こういうのが「タミヤ」なんだよな〜。ここだけでビール飲めます。
▲キャノピーです。ゲートは一箇所。このランナー!このΩ型断面!ありがとう!おめでとう!!
▲風防は機首上面までつながって成形。このランナーのカタチ!!!!!!キャノピー同様側面のリベットまでがちーんと成形するためにスライド型使ってます。このちっこいパーツに金型4面ですよ。泣けます。
▲主翼の機構はこんな感じです。ネジの長さ間違えやすい(俺は間違えた)ので気をつけよう。それにしても剛性感の高い模型です。すっごいです。
▲キャノピーマスクがないとキャノピー塗れないマンのみんなに。
▲イラン空軍のトムキャットも再現できるデカールに感涙。厚み、発色ともに上々です。
▲ハイビジのバウンティハンターズとジョリーロジャースが再現できます。機首側面のステップ開閉が選択式なので、そのへんのデカールはこまかく分割されておりますね。
▲159番のレーダーのデカールだけインクが薄く刷られていて、クリアーパーツに貼るとまるで本物。これは水に浮かべて初めて分かるので感動してください。
とにかくもう、どこをとってもプラモデルの組み立てという体験についてはパーフェクトと言える内容です。
トムキャットの模型にありがちな歪みや合わせの難しさも難なくクリアしてしまい、剛性感も高く、組んでいて何のストレスもありません。
機首と胴体が組み合わさる瞬間など、「ああっ」と変な声が出てしまいました。
設計も巧みですが、それ以上にパーツの成形精度がとんでもなく高く、接着のための糊代のとり方には本当に感激します。
塗らないで貼るだけでも、塗ってから貼っても、とにかくなんでもいいので人生に3度は組んだほうがいいです。ホント。
これ、10年に一度の模型ですよ。冗談抜きで。(完成したらまた書きます)
by kala-pattar
| 2016-11-18 09:39
| →SPRUE CRAZY