ウクライナの狂気!「コナゴナに分割された路面電車のプラモデル」を見よ!!

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「路面電車のプラモデル」というのが稀有なのに、柵とかフィギュアとかベンチも全部入ったドリームなプラモデルを紹介します。
MiniArt (ウクライナのメーカー)のEUROPEAN TRAMCAR (StraBenbahn Triebwagen 641) w/CREW & PASSENGERSです。
店頭でめちゃめちゃに「安い」と感じたので、うっかり入手しようと箱を手に取りましたところ、異様に重たい。鉛でも入ってるんだろうか。
(今微妙に高値になっていますが、再入荷があればけっこう安くなりそうな気配。予約しとくのがおすすめです。)


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▲箱の大きさは345x240x100 mm。ずしりと重たい。石畳の地面がレジンのカタマリなのだろうかと思うくらい重たい。とにかく、重たいのです。


こちらは以前発売されていた路面電車単体と、別売りされていた乗客と、乗車待ちの人々と、ストラクチャー類が一箱に収まった
言ってみりゃガンダムとアムロと武器セットみたいなのがセットになったア・バオア・クーなのであります。
で、開封しましたところ、尋常じゃない量のランナーがびっちりとやっています。
この時点でランナー狂のワタクシは「ハァアアアン」という気持ちでございまして、一枚一枚ねぶるように味わうわけです。




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▲異常な量のランナーと、異常な量のパーツです。路面電車をここまで粉々に分割して、この人達はいったいどうしようというのでしょうか。パーツ総数は810個だそうです。よかったですね。


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▲石畳の地面はレジン製ではなく、プラスチックパーツでありました。平面性も高く、モールドもパキパキです。下に敷いてあるのはモデルグラフィックスなのでA4よりデカい。


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▲ベンチとか柵とかのパーツっぽい。地面パーツにマンホールをハメる穴がなかった気がしますが、説明書には「気合でやっていけ」と書いてありました。やりましょう。


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▲架線柱のパーツっぽいです。異様に繊細です。そして説明書には「架線はパッションでどうにかしろ」と書いてありました。このプラモ、モデラーに任せまくりです。


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▲路面電車のパーツっぽいです。とにかくなんか異様に細かく、組めんのか性が高いです。


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▲当然パーツ分割は箱組みになりますよね。カーモデルならスライド一体バチーンで終わると思いますが、全部板です。板を組めと。工員になるしかありません。


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▲ひたすらに手すりなどがあり、組んでいると発狂するだろうなぁという気持ちになってきます。とにかく、あらゆるものを粉々に分割して再現するタイプの模型です。


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▲パンタグラフというかトロリーというか、なんというかまあ、集電装置でありましょう。右下になんかイカレたパーツが見えます。


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▲スライド型で「バネ」が来るという狂気。しかも脱型に失敗して歪んでます。東急ハンズで買ってくれば秒殺ですが、プラでありたい、という叫びが聞こえます。バカじゃん!


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▲床です。板張りなんでしょうが、モールドが強すぎてハイヒールの女の子が脱出できないのではないかと心配になります。


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▲もはやどれが何のパーツだかわかりませんが、組むと分かるのでしょう。プラモが資料で資料がプラモで……という宇宙的プラモであります。


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▲金型の中にプラスチックがちゃんと回るかどうか不安で不安で仕方ないのか、執拗にゲートが付けられたスノコ状のパーツ。それこそユーザーに組ませればいいのでは?


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▲突然工業製品然としたモーターっぽいパーツがあります。「割り切りポイント」の設定が謎です。


_DSC8459▲路面電車はCAD/CAMで製造してるっぽいですが、フィギュアは原型そのまま簡易型でドーンという感じになり、圧倒的に風情が異なります。丁寧に塗りましょう。


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▲説明書にはいい感じのカンバンがいっぱい印刷してあり、「切って貼ってね!」ということのようです。古いカンバンの再現は難しいのでうれしい配慮です。


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▲塗装図もいろんなバリエーションが示してありテンションが上がります。ヤレた感じの色合いが図示されているのは珍しいのではないでしょうか。


このプラモデル、とにかく徹底的な分割で路面電車の構造をまるまる再現しようという気概に満ちており、箱の中に怨念がギッチリ詰まっております。
これに似た感じ、どこかで味わったなーと思ったらアレです、アオシマのDD51です。
あれもまた、「とにかく分割した!あとは好きにしてくれ!」という感じのプラモデルであります。

実際組めるのか、どういう手順で塗ればいいのか、言われるがままの情景を作るだけでいいのか(オリジナリティをどこに込めればいいのか)というのを
めちゃくちゃ考え込んでしまい、おいそれと手を出すことが出来ないのですが
「1/35といえば戦闘装甲車両のスケールでしょ」というのをシカトして、おそらくメーカーの中の人(強度の路面電車オタク)が暴走した結果
こうしたジャンルレスな、ブラックホールのようなプラモデルが登場するというのがプラモデルの面白いところです。

▲メーカー完成見本の出来が良すぎる。これ見ちゃうと「俺が作る意味とは……」ってなりませんか。「お仕着せの情景」と「俺のオリジナリティ」の狭間で葛藤。


このノリで札幌市電とか都バスとか東京モノレールとか「なんつうことはない景色」というのがバンバンプラモデルになれば
「ジャンル」という意味不明な縛りからプラモデルは解き放たれ、自由に、万物をプラスチックのパーツに還元できると思うと鼻血が止まりません。

1/35だから、戦車だから、次はどの戦車を(重箱の隅をつつきながら)模型にしようか、と考えるメーカーばっかりですが
香港の屋台を再現してみました」みたいなわけわからんメーカーとか、こういう路面電車とか、とにかくいろんなスケールでいろんなものを模型にして
そういうパッションが「当たり前」になれば、「お、ちょっと景色でも作ってみるか」というのが不思議なことじゃなくなるのになぁ、と思うわけですよ。
(少なくとも今はジオラマとかを作ろうとすると素材が硬直化しすぎていて「戦車と兵士!」みたいな組み合わせ以外、圧倒的に難易度が上がります。)

なんだか最後はダダッ子みたいになってしまいましたが、こういう宇宙みたいなプラモデルが結構安く売られているので、応援してあげましょう、という感じです。
ではでは。





by kala-pattar | 2016-11-23 18:20 | プラモデル