「オタクが好きな本2016」のトップは『南極建築1957-2016』に決定しました。
2016年 12月 31日
表紙からして最高です。ブルーの箔押しドン。字体も写真もデザインもタイトルも豪速球の165km/hだ。
買わないとやってられません。こんな本。出してくれてありがとう。
極寒と強風の地、南極。過酷な環境下で観測隊の暮らしを支える建築物はどのようにつくられてきたのか。
一番の課題が雪の吹き溜まり(スノードリフト)だ。数年で建物を埋没させる。
四代にわたる観測船の大型化に伴い、形状等が模索され、快適さも飛躍的に向上していった。
本書では、日本初のプレファブ建築が誕生した第一次観測隊の1957年から現代の2016年までを5期に分け、
観測船の代替わりと重なるエポックメイキング的な建築物の変遷を追う。
実録レポ的絵本『築地市場』の作者モリナガ・ヨウが緻密なディテール描写で基地を図解する大画面イラストを目玉にした図版構成。
さらに論考で、スノードリフト対策や実体験から得たノウハウなどを専門家、元越冬隊長らが披露する。
10か所以上の海外基地も図版・解説付きで紹介する。各国の工夫とデザインが見どころ。建築と住環境に特化した初の南極本となる。
タロじゃない、ジロじゃない。人が極地に進出し、そこに居を構え、生きていくことがどれだけヤバイことなのかを
写真と図面とイラストと文章で綴りまくっためちゃくちゃおもしろい本です。
だってミサワホームでふつうに大工やってた人がいきなり「おい、南極行かないか」って言われて
南極でプレハブのすげえやつとかを作らされるんですよ……。すごくないですか……。
まあ中身は読んだら面白いの確定だしみんな南極の建築とか好きじゃないですか。
白いところに鮮やかでへんてこなカタチの建物が建ってて、空は茜色で……みたいなの、好きでしょ……。
しかしこの本はさらにデザインとフォントとレイアウトと構成と装丁が全部やばい。
正直1800円でこんなニッチなテーマでここまで「モノとしての本」に力入れちゃってるの、やばいっす。
ADは祖父江慎さん、デザインはcozfishの鯉沼恵一さん。盤石すぎ。
▲見よ、この巨大なノンブル!ジャンプ率!レイアウト!フォントチョイス!!!!開いた瞬間「ウッソだろ!」って叫んじゃったもん。
▲偉い人の証言もいっぱい。偉い人の証言は紙が違うしそもそもサイズが変わるしシアンで刷ってある!印刷所、製本所、お疲れ様です!!!
▲見てよこのクッソ地味な折込! 図面! しかも持っていった荷物を箱のまま積み上げることで断熱防風の壁にしてベニヤでコーティングとかするらしいよ。やばくね?
▲もちろんイラストはオタクメカを噛み砕かせたら世界イチのモリナガ・ヨウさんですよ……。最高におもしれえ……。
もうオタクの好きなもの全部入り、ニンニクヤサイカラメアブラっつう感じで数え役満なんですよ。
載ってるものがオタク受けする、というのとデザインオタクや出版オタクが泡吹くような装丁/デザインが合体してしまっているので
みなさん絶対に買ったほうがいいです。いやー、本一冊買っただけでこんなに興奮したのひさびさだわ……。
ぜひ。
by kala-pattar
| 2016-12-31 15:39
| Movie&Books