小さくても動かなくても、ヨーダのプラモデルは"オマケ"こそが本体なのだ。

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あのですね、オレ、スター・ウォーズのなかでもヨーダがとびっきり嫌いなんですよ。
だってなんかクソ眠い森の中のシーンでクソジジイが出てきて、適当なこと言ってルークが仁義のために頑張ろうとしてるのに
ガタガタガタガタ説教して、フィジカル全然ダメそうで、速攻死ぬじゃないですか。
そんでプリークェル(ep.1-3)見たらなんつーの、コイツがフォースの調和を乱す老害じゃないですか。
ほんとに。なんでみんなヨーダ好きなの?意味分かんないんですけど。

でもですね。
バンダイのスター・ウォーズシリーズで、可動フィギュアの組み立てモデルとして、ヨーダが出ちゃった、となれば買うしかないんですよ。
もうモチーフが嫌いでも、確認せざるを得ない。
あのミレニアム・ファルコンを、あのAT-ATをプラモデルにした会社が、どうやってヨーダをプラモデルにするんだ、と。




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▲ダース・ベイダーとか、ストーム・トルーパーじゃなくて、ナマモノをプラモにするという。バンダイSWシリーズ初の試み。


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▲なんかやばくないですか。モヤモヤした薄緑のパーツがランナーにぶら下がっているの、耐えられますか。


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▲なんかすごい老人の股間の布がプラスチックのパーツになってるんですよ。フォースを感じるんですよ。


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▲煮染めた柔道着みたいな色のパーツがガンプラみたいに整然と並んでいるの、耐えられますか。


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▲よく見ると、布地の荒い織り目がモールドされているんですよ……。こういう仕事がこの世にはある。新入社員よ、恐れるでない。


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▲このへんはあとで説明しますね。


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▲禿げてない頃のヨーダ、ロクなことしてないすよね。アナキンがグレたのもこいつのせいっすよ。


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▲軟質素材で作られたローブ。クニャックニャ。もつ焼屋でシロのタレを頼んだら美味い。オレはだいたいシロのタレでその店の実力を測るね。


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▲ライトセーバーにも小刀という概念があるのか、杖は削り出したかのようなポリゴン感。CAD設計なのか、わざとなのか。眺めながら、シロのタレを噛み締めます。


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▲組んでみればその構造は従来の人型アイテムと同じで、ガンプラ的構造が現出します。ヨーダの股間の断面に出会う人生を、あなたは想像できましたか?


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▲ジジイの股間と胴体を、ガンプラ的構造によって組み立てて眺める瞬間。メカニカルな工業的サーフェスと、偶発的なシワのエミュレートが断層をなす。


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▲頭部の断面に白目と虹彩を形作るパーツを重層的にはめ込んでいくとき、フォースとは何か?という問に向き合うことになります。


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▲組んだジジイの顔を表から眺めると「バンダイのフォースはんぱねえな」という気づきを得て、PDCAサイクルが12パーセクで回り始めます。


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▲顔面が2種入っており、ハゲとフサを選べます。視線の方向もパーツで選択できるので、4種類の顔面を作ることができます。わかりましたね?


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▲流し目はエロすぎたので真正面を向いたハゲ頭をチョイスし、胴体を組み上げます。


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▲完成しました。左にいるちっさいおじさんは、オマケの1/12スケールモデルです。


正直言いまして、可動モデルである1/6の「本体」はストーム・トルーパーやダース・ベイダーとほとんど同じ設計で、
単に「小さいおじさんに可動ギミックを詰め込みました」という老体にムチ打ち系の設計なんです。
それが悪い、というのではなく、「ヨーダが好き!」という人にとって、動くヨーダのプラモデルは唯一無二ですから、すごく価値のあるものです。

しかしワタシはバカなので、常に食ったことのないメシを頬張っては驚きたい。
なぜこんなものが、こんな分割でパーツになっているのか!と、打ちひしがれたい。

今回バンダイが見せてくれたのは、「ダース・ベイダーでも、ヨーダでも、同じ技術で同じようにプラモデルにできるんですよ」という
横綱の懐の深さといいますか、モチーフがなんであれ同じ技を繰り出し、土俵にねじ伏せてしまう「後の先」とも言うべき立ち回り方のように思えます。
(瞳がパーツ状態で色分けされているのも、豊かな曲面をパーツに還元するのも、フィギュアライズバストやドラゴンボールでしっかり稽古してきた技です。)

だから、これを技術だと言うのではなく、「バンダイの余裕」であるということにみんな気づいてほしいんですね。
そして気にするべきはオマケである「動かない、1/12のヨーダ」だと思うのです。
このヨーダはハゲ頭しか選べないんですが、ダース・ベイダーと対峙するために1/12でモデライズされています。
そして、あくまでオマケだから、可動を廃して、最低限のパーツで最高のディテールを再現しようという謎の気合に満ちている。
ワタシはこれこそがプラモデルであり、制限の中で何を発揮するかという本質に迫っていると思うんです。


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▲ちっさいおじさんは目がモールドだけなんですが、こっちのほうが「プラモデル」であるように感じられます。オレはフォースの持ち主ではないからね。


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▲小さい方は無可動で、こんなに小さい。でも、プラモデルって、動くことが必須じゃないし、オレにとってはこっちのほうがクレバーなんです。


ということで、みなさんはヨーダのプラモデルを買ってきて、いますぐにオマケの1/12の小さいヨーダを組んでみてください。
「え、こんな小さいのにこんなにディテールフルなヨーダが、こんなに少ないパーツで完成するのかよ!」と驚くこと必至です。
ワキワキ動くヨーダと、小さいけどすごく確かな彫刻でじっと動かないヨーダとを、同時に組んで比べられるアイテムは、ここにしかないのだから。








by kala-pattar | 2017-04-04 00:30 |  →SPRUE CRAZY