かわいいデフォルメ戦車プラモに秘められた「タミヤへのリスペクト」に驚くべし!
2017年 04月 05日

こんなにセンスのいいプラモデルがポーンと出されてしまうと、参っちゃいますね。
今日みなさんに見せるのはMENGモデル(「モンモデル」と読む)のデフォルメされたティーガー戦車です。
これはStudio Roqovanという会社がリリースしているデフォルメされたメカとキャラによる二次大戦モノFPSゲームに登場する
ドイツの戦車、ティーガーを香港のプラモデルメーカー、MENGモデルが立体化したもんです。
何がビビるってこれ、まず実売で2000円しないんですね。超安い。
そんでもってスナップフィット。接着剤いりません。で、箱開けて30分くらいでピャーっと組めます。




MENGモデルというメーカーは新進気鋭の香港系プラモメーカーの中でもかなりクレバーな存在で、
アイテムチョイスは王道とキワモノを行ったり来たりしながら、戦略的な価格設定でマニアもビギナーもとっつきやすいパーツ分割を実現しています。
新興プラモメーカーはどうしても「実物どおりバラバラに分割して再現性高めました」という方向性(じつは設計的に頭使わなくて済む)をとりがちなんですが、
ここはとにかく「一体化の妙」についてじっくり考えていることがビンビン伝わってくる(これにはセンスや想像力が必要です)のが特徴。
タミヤの「少ないパーツ数なのに実感ある形状とディテールが楽しめる」ということにきちんとリスペクトの気持ちを持っているのが
成型色やランナーへの美しいパーツ配置からも伝わってきます。
我らはタミヤの子。だから、タミヤを崇拝するものに共鳴してしまうのは仕方のないことなのです。



デフォルメというのは省略や誇張という模型のいちばん大事なところを思いっきりブーストした形態だと思っていて、
例えばたくさんある転輪を「省略」するときに、数を減らして大きくするのか、数をそのままに小さくするのかをジャッジしなければいけない。
ここのディテールはうるさいから削ろう、なのか、ここはキャラクター性を表現する上で大事なモールドだからあえて強調しよう、なのか。
そういう意味において、このティーガーはものすごくちゃんとティーガーに見えるし、
小さなボディ乗せるディテールを取捨選択し、ギュッと凝縮することで、実物が持っている「間延び感」を軽減することにも成功しています。
いや、ホントに可愛いし、ティーガーらしさも残している。
これって、一朝一夕でできるもんじゃないっすよ。
少なくとも、普段から「模型は省略と誇張の競技である」ということを意識している人たちでないと、出来ないことです。
(「いや、ゲーム中に出てくるデザインがそうなんすよ」という見方もできるので、MENGモデルだけがエラいわけじゃないのかも。)
とにもかくにも、MENGモデルのプラスチックの質感とかランナーの配置とか成型色とかと、
こういうキッチュでクレバーなデザインが融合しているのを見ているだけでなんだかワクワクしちゃいますよね。

精度的にはもう一つですが、あとはフィギュアが付属していれば本当に驚異的なバリューがあるんじゃないでしょうか。
「デフォルメモデル」「接着剤いらず」「新興メーカー」というところでちょっとナメた見方をしてしまいそうなこのアイテム、
実際手にとって組んでみたら「いやいや、このセンスとこの価格で製品が作れるって、すごいことじゃない?」となりましたので
みなさんも機会があったら息抜きに作ってみてはどうでしょうか。
息抜きに、と言いましたが、これだけ「本気で遊んだ設計」を実際に目の当たりにすると、あなたもきっと本気を出したくなりますよ。
タミヤへのリスペクトが端々から滲むこのアイテム、今後の展開も楽しみだし、シャーマンも出てますけど、それは後日。ではでは。
by kala-pattar
| 2017-04-05 00:52
| →SPRUE CRAZY