桃太郎電鉄をリアルにプラモデルで再現しないと、明日地球が滅ぶとしたら。

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16bit Models FCという模型展示会が4/15にコトブキヤ秋葉原館で催されまして、それに出場するために模型を作りました。
「FC」とあるとおり、製作する模型のテーマがファミコンのソフト縛りなのです。
82年生まれ(4/15が誕生日なのでなんかください)の私はファミコンにわりと馴染んだ世代ではあると思うのですが、
やはり世の中のアニキ達よりは後発組に類する人種だと思います。

はてさて。

こういう展示会というのは別に賞がもらえるとかじゃないので、目標は「出品して、自分なりの目的を達成する」ということだと思います。
簡単に言い換えると、「来場者にモテて、自分は新しい表現にチャレンジしてみる」ということなんじゃないかと。

いや、結局自分の好みだけで模型を選んで買って作っていると、「自分の得意な何か」に偏るじゃないですか。
展示会はテーマと締め切りを規定してくれるので、その中でどんだけ自分がやったことのないことに体当りするか、で楽しむべきだ、とオレは思います。

とか偉そうなこと言いましたけど、要は模型屋さんに行って、作ったことのないカテゴリのアイテムに手を出す口実っすよ。
で、今回はSLです。
オオタキ(その後のアリイであり、マイクロエースで扱われている)のC53を「SUPER桃太郎電鉄だ」と言い張って作る。
これが最初の動機です。そもそもC53である理由も、桃鉄である理由も、後付けでいいと思うのです。
組んだことのない模型を、誰かのせいにして作る。こういうことができるのが「テーマと締め切り」の美徳だと思います。

C53というのは本線蒸気(今で言う幹線を客車ガシガシ引っ張って走る蒸気機関車)であり、3シリンダーの超複雑機構がメカメカしいところが魅力。
D51とかC62を超メジャーなΖガンダムとかダブルゼータガンダムに例えるなら、C53はガンダムなんすよね。RX-78って感じ。




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▲SLというのは石炭と水で走ります。このプラパーツ、マジでイカす。燃料のプラモデル。


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▲スライド金型で抜かれたシャーシ。めちゃくちゃかっこいい。


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▲胴体(釜)はワンパーツ。表面の鋳造表現が鉄鍋の様相を呈しています。


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▲見てくださいこのバリ!バリだらけ!バリまみれのスポーク転輪。たぶん40年くらい前のプラモなんですが、そういうところが、メリークリスマス。


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▲塗装を拒絶するかのような、メッキされたパーツたち。本当にハードコアですよ、この模型。


このC53はオオタキ、アリイ、マイクロエースとブランドを替えていまもシレーッと模型屋さんの棚に並んでいるシロモノ。
40年の時を超えて、当時の設計のまま、バリの目立つパーツが精度も取り付け位置もアヤフヤなまま売られています。
それを責めるべきなのか、「いや、これはこれでかっけーすよ!」と言うべきなのか、ジャッジするにはある種の勇気がいる。
そういうときに、お題と締め切りのある展示会やコンペというのは非常に有用な言い訳になります。
よし、この際だから買ってみよう、組んでみようという気持ちが盛り上がる。

ということで、組みました。塗りました。


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▲3秒しか見ちゃダメです。それ以上見ると、どんどん雑なところが見えてきます。


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▲もう一度言いますが、この画像も3秒以上見ると大変な事になります。


いや正直この模型めっちゃくちゃ「古い!」という感じで、パーツの取り付け位置とか可動とか全部曖昧すぎてもう死にそうになりました。
ただ、蒸気機関車というのは形状がそのまま機能でもあるので、組んでいて異常に面白い。
そういう事情によって、メカに興味がある人ならば「SLの模型がどうしてもパーフェクトグレードにならざるをえない事情」というのがわかるはずで、
指先がスチームパンク(ただのスチームという説もある)になっていくさまに感動を禁じ得ないと想います。

組んで、水色に塗る。これだけで桃太郎電鉄だと言い張るのはさすがのワタシもどうかと思いますので、
桃太郎電鉄っぽさを出すために土台を作る必要に駆られました。


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 ▲はい、もう桃太郎電鉄ですね。


ということで、B2の木製ボード(ベニヤパネル)を画材屋さんで買ってきて、ビルと木を植え込みました。
木製ボードはサイズが選べて強度のある木の土台なんですが、そのままだとレイアウト的にぺったんこになるのが弱点です。

で、まずビルですが、こちらはあえてファミコン(つーかPCエンジン)以降のすべての桃鉄の車体とだいたい同じマス目感で収まるようジオクレイパーを使いました。
ジオクレイパーはだいたい1/2500でビルがめっちゃシャープに成形されてますので、非常にかっこいい東京が瞬時に手に入ります。
8個入りブラインドボックスで4800円とかしますが、今回はカネですべてを解決するために2BOXを投入いたしました。
ただワタシはチキンなのでベースへ両面テープに貼るにとどめ、再利用のチャンスを伺う方式としましたことをお詫びいたします。

そして無数に、かつピクセル的な意味で均等に生えた木です。
これまでは鉄道模型用とか建築模型用の木を調達するのがメジャーなアレだったと思うのですが、
近年は中国における建設ブーム(に伴うプレゼンブーム)のおかげか、非常に安価に大量の木が得られるので皆様にも知っておいてほしいです。
こういう模型的な木は画一的な枝ぶりと葉の付き方が写実的でないというか人工的な景色になってしまうためガチのジオラマビルダーには嫌われがちですが
「ファミコンの情景をいかに再現するか」という意味においては最高にコピペ性が高まるのでむしろ有用という言い訳が成立します。
あと、ファミコンにおける画一的に緑色な地面をどう再現するかについては「ジオラママット」というカテゴリがあるため、こちらを何も考えずに貼ります。

こうして、省力化され、解像度が落とされた日本の情景を、微妙に解像度の上がった量産品に置換して幾何学的に配置することにより
「ファミコンによって描画されたピクセルの中に分け入ったときに見えるかもしれないもの」を立体的に描写することができる、というのが今回のテーマとなりました。
いや、結果論ですけど。
ファミコンの画面では一つのマスに線路、ビル、鹿、駅などが等価に描かれるわけですけど、
まあそういうことを模型でも既製品の組み合わせでやれるのじゃないかっつう話です。
ガンダム・センチネルが「解像度の低いアニメのガンダムをガーッと引き伸ばすとスジボリが見えてくる」みたいな話だとすれば、
桃鉄の縮尺をいじらずに、解像度を上げるとどうなるかという実験ですね。

何言ってるんでしょうか。大丈夫でしょうか。

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▲サイコロもドン・キホーテで巨大なものを買いました。


ということで、模型というのはどうしてもジャンルやスケールに縛られがちなのですが、
スケールをシカトすることで何かが表現できたり、結果として「なんだか気持ちのいい齟齬」というのが生まれるんじゃねーかな
という最近の私の思考を結果的に表現できたのではないかなと思いつつ、万事塞翁が馬的ジオラマとしてここに記録しておきたいと思います。





by kala-pattar | 2017-04-16 00:59 | 鉄分