物流の王様、コンテナ船のプラモデルは三途の川を渡る夢を見るか。
2017年 07月 05日
昨年このブログで異常にバズった20世紀最大の発明はどう考えても「コンテナ」だったという話というエントリですが、
そのきっかけとなったのはこの体験でした。
きわめてミニマルな「ただのハコ」が持つ意味、そしてそのディテールやマーキングに完全に惚れてしまったのでした。
惚れたものはプラモデルで作らないと気がすまない人間にとって、上に示した独レベル社の「コロンボエクスプレス」は喉から手が出るほど欲しい模型だったのです。
しかしプラモデルというのは良くて数年に一回再販されるかどうかという物体なので、当時はプレミアが付いてとても手の届く値段ではなく……。
そしてついにこの夏、ドイツレベルから1/700のコロンボエクスプレスが再販されたため、一も二もなく購入ボタンをポチッと押してしまったのです。
コンテナ船というのはとにかくコンテナをひたすら積むためのフネなので、人が乗るところ以外は全部コンテナで埋まる構造になっています。
いろいろな種類の積荷をコンテナという世界統一の規格に押し込むことで、大量かつ迅速に積み下ろしができることにより、世界の物流は一変しました。
人がえっちらおっちら積荷を乗せたり下ろしたりする必要はなくなり、泥棒や雨風の心配もしなくて良い。
様々な色のコンテナを満載して海を行くコンテナ船は、すなわち物流の主であり、人類の経済活動を象徴する存在だと言っても過言ではありません。
で、そのプラモデルは面白いのか、というのが本題であります。
コロンボエクスプレスはハパックロイド社が保有するフネの中でも最大級で、全長334mもあります。戦艦大和より70mくらいデカい。ふざけてんのか。
積載量は8749TEU(20ftコンテナが8749個乗りますという意味)で、同型艦(全部都市の名前が付いている)が合計8隻存在しています。
これを組み上げるだけでも大変なのに、コンテナを塗り分け、積載する作業があるわけです。
一つ一つコンテナを積載したいというモデラー心も無きにしもあらずなのですが、地獄の鬼でもそんなことはさせないでしょう。
賽の河原は一体成型されることで免れたのであります。
「ガントリークレーンの居並ぶ巨大な埠頭に、タグボートで押されながら入港するコロンボ・エクスプレス」をジオラマで作りたいです。マジで。
(そうそう、京都、大阪、チンタオ、コロンボ、ブレーメン、ハノーヴァーの各マーキングがデカールに入っていました。選ぶの悩ましい)
ガントリークレーンはプラ棒とかで根性で作りたいし、他の会社のコンテナのマーキングは自作しなきゃいけないし、
人間の人生は短いのに、コンテナは容赦しませんね。
これが戦艦なら大砲積んでイッヒッヒというところですが、ただのドンガラのフネにハコを積みまくらなきゃいけませんからね。
これはなんというか、フォルムやヒストリーではなく、人間の業である「物欲」とそれを満たすための「仕組み」のプラモデルなわけで、
そこに甘えとかが介在しない、というのがめちゃくちゃに面白いと思ったのでした。
みなさんもガンガンコンテナを積んで、物流していくといいんじゃないでしょうか。ではでは。
by kala-pattar
| 2017-07-05 23:15
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