筆塗り派必見!水性塗料が爆発的に楽しくなる激便利ツールを徹底比較してみた

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はい、ここのところSNSで流行っているシタデルカラーやファレホといったプラモデル用の水性塗料ですが、
筆が水で洗えるし塗料が水で薄められるので実質水道から無限にシンナーが出てくるようなもので、臭くないし気軽だし最高ですね。
隠蔽力低いとか乾燥遅いとかは昔の話で、一度使うと(とくに細部塗装では)「なんで今まで使わなかったんじゃ」と思ってしまう高性能ぶり。

んで、これを塗るのに「水が出てくる筆ペンがいいぞ」というウワサがTwitterなどで散見されましたため、
ほんまかいなと思いヨドバシカメラに走りました。


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▲バカなので売っていたもの全部買ってきました。模型用の良い筆買うより全然安い。


現在サクッと買える「水が出てくる筆ペン」はぺんてる、くれたけ、ステッドラーの3社から発売されています。
ぺんてるは「アクアッシュ/みず筆」、くれたけは「フィス/水筆ぺん」、ステッドラーは「water brush」という名前です。
基本的には水彩画を描くときにいちいち筆洗を用意するのがめんどくさい(アウトドアでサクッとスケッチするときなど)人のために
軸(水入れ)が取り外し式になった筆ペンで、軸をぐいっと押すと穂先に水がじわ~っと染み出してくるという構造です。
言ってしまえば筆ペンが解体可能になっただけなのですが、これが模型用水性塗料を塗るときに非常にイイカンジです。
「軸から永久に溶剤が出てくるので筆の中の塗料が全然乾燥しないため、一定のコンディションで長い時間塗っていられる」とでも例えたらわかりやすいでしょうか。
じつは筆塗りってすごく難しいのが「塗っている最中に筆に含ませた塗料の乾燥が進んでしまい、コンディションが変化する」というところなのです。


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▲左からくれたけ、ステッドラー、ぺんてるです。二本ずつあるのは大と中それぞれ買ってきたからです。


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▲実験台になるのは『ウォーハンマー40,000』よりダークインペリアムに入っているスペースマリーン達です。


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▲モールドがはちゃめちゃにすごいので塗るのが楽しくてしょうがないです。買いましょう。


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▲分割がすごすぎて、左のが右のになります。信じられません。


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▲本題からそれますが、まじすごい。


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▲こういうのが1体10分くらいでサクサク組み上がるので


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▲あとは延々とネチネチ塗りましょう。


さて、塗る前にしげしげと各筆の特徴を眺めていて判明したのですが、
おそらくステッドラーのものはくれたけのOEMだと思われます。穂先の構造が完全に同じで、軸の形状のみが違います。
毛のコシも多分同じだと思いますが、このへんは軸のデザインとか握りやすさで選んでみてはどうでしょうか。

やっぱ筆ペンの特許持ってるのはくれたけVSぺんてるという感じですね。
くれたけのWikipediaとかを読み始めるとめちゃくちゃ時間が経つので暇で暇でしょうがない人は調べてみてください。

ということで、ステッドラーとくれたけは同一の物体として扱うことにします。


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▲ステッドラー(たぶんくれたけと同じ)でシタデルカラーを塗ります。サーフェイサーもシタデルブランドの黒を使いました。


くれたけはノーマルの筆ペンもそうなんですが、わりと毛の一本一本が細くてコシがない印象です。
含んだインクの吐出量も一定というよりは筆のどこまでを対象に当てるかみたいなところで結構変動するので、
文字を書くという意味での筆に慣れている人はコシのなさや吐出量の変化を巧みに利用して筆文字をいかにも筆らしく書けるという評価なのではないでしょうか。
シロート的にはクニャクニャしていてコントロールが難しいっすね。

しかし、コシがないので大面積をゾシゾシ塗装するには非常にイイカンジです。
あとボディ(軸)が硬く、力加減がリニアに効くので穂先へ水を含ませる量はコントロールしやすいと感じました。
ふだんどうしても濃い目の塗料をいそいそと塗ってしまう人も、「ちょっと水を含ませ気味にした状態が続く筆」があると
薄く平滑な塗膜を作りやすくなるんじゃないでしょうか。


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▲コシのなさを活かして筆を平たく潰し、一気に大きな面積を塗るのがくれたけ/ステッドラーだとやりやすい。


そして何より水が出てくる筆のヤバイところが、筆洗を用意しなくて済む、というところです。
ティッシュ(ホントはキムワイプかキッチンペーパーが望ましい)を用意しておけば、そこに吸わせて穂先の水分量をコントロールできますし、
なんと軸をウジウジと押しながら水を吐出させつつ紙で穂先を拭うと塗料が綺麗サッパリ流れ出て次の色が塗れてしまうのです。
これ、もしかしたら塗料の濃さのコントロールより感動モノかも。


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▲こんな具合にティッシュの上で「穂先の内部から水で洗浄する」という最高なことができてしまいます。


所詮水を含んだティッシュなのでリビングで塗装してそのままゴミ箱にティッシュ捨てても臭くないし、
筆洗がわりに使っているマグカップを誤飲したりぶっ倒したりする危険性がないです。最高。
これはくれたけもぺんてるも同様なので、皆さん試して感動してみてください。

さて、ぺんてるの水筆ですが、こちらは毛の材質が独特で、一本一本の加工が非常に均質で、弾力と筆のまとまりがくれたけとは段違いです。
そのぶん狙ったところにカキーンと線が引ける感じで、筆の味というよりは「うまい字」をそれなりに書きたいという
シロートさんにも「お、なんか書きやすいなぁ」という印象をつけることに成功しているといえるでしょう。

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▲こちらがぺんてるの水ふで。同じように塗っていますが、細部塗装向きの非常にコントローラブルな印象を受けます。


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▲くれたけ/ステッドラーだと穂先がキンと尖らず写真のような雰囲気になり、細部塗装は腕に左右されるかな、という印象。


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▲ぺんてるの穂先、非常にまとまりが良いのでこういう細部塗装もけっこうラクチンです。


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▲上がぺんてる、下がくれたけ/ステッドラー。軸と穂先の接続部の構造が違います。


じつはぺんてるにも弱点があって、ぺんてるのは軸がくれたけよりもやわらかく、流量制限の穴もくれたけと構造が違うため、水の吐出量コントロールがちょっと難しい。
(これがインキならガンガン出て書き味良いのでしょうが、我々は水性塗料に少しずつ水を含ませるということがしたい……)
平たく言うと一回エイと軸を押すと結構な量の水分が穂先に回り、塗料が薄くなりすぎるきらいがあります。
穂先の保水力も非常に高いため、一旦水を出しすぎてヌレヌレの穂先になると、紙に吸わせない限り永久にヌレヌレです。まあそのへんは慣れだと思います。


■まとめ
個人的にはくれたけの大筆でガンガン大面積を塗って、ぺんてるの小筆でディテール塗装がフィットするかなぁ、という印象を受けました。
当然シタデルブランドなどで売られている天然毛のめちゃくちゃ良い筆はまとまりや伸び、塗料の含みも抜群に良いので(これも感動するよ)いいのですが
300〜400円くらいで「洗うのが楽/塗料がなかなか乾燥しない/キャップ外せば手軽に塗り始められる」という環境がゲットできるのはヤバイと思います。
各社とも小筆を店頭で手に入れることができなかったため、今回は全部「中筆」でのリポートとなりましたが、こんど小筆も試してみますね。


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▲使用後、軸を押しながらティッシュで数回拭っただけの筆。根本に塗料が残らないのでけっこう長持ちしそうです。


ということで、水性塗料に水筆(ウォーターブラシ)、めちゃくちゃ相性よろしいです。
正直これだけで全部やれ!と言われたら微細な線とかは厳しい面もありますが、ベースカラーやレイヤーカラーをさっさと塗り分けるという用途なら抜群の選択肢かと。
なにより蛇口があればそこが超快適塗装空間になってしまうというのがうれしいです。

ということで、皆さんお試しあれ。




by kala-pattar | 2017-08-27 23:29 | プラモデル