英国で地球最強のヒストリックカーレースを観てきた話/その3
2017年 09月 18日
グッドウッド・リバイバル・ミーティングの様子をレースから離れた視点でいろいろ綴ろうと思います。
つれづれになると思いますが、何がこのイベントを構成しているのかについて、たぶん見えてくるはず。
まずは、レースと並んで非常に重要なのがグッドウッド・サーキットの内部にあるチチェスター・グッドウッド空港の存在です。
もとは英国空軍の緊急着陸用滑走路であり、定期の航空便が飛んでいるわけではない「飛行場」で、草原に3本の滑走路が設定されています。
サーキットはこの飛行場を囲むようにぐるりと設けられており、会期中はトンネルを通ってコース内側に入ることができるようになっています。
この一角で開催されているのがFREDDIE MARCH SPIRIT OF AVIATIONという催しで、今年で10年目を迎えました。
毎年テーマが決められており、その仕上がり具合や意義に応じてマーチ卿から賞が与えられているみたい。
今年は1931〜1961年に製造されたヴィンテージエアクラフト(軍民混合)が展示され
もちろんこれらも徹底的にレストアされ、磨き上げられ、実際にこの地まで自力で飛行してきたものばかり。
生きたヴィンテージエアクラフトの展示というのは日本にいたら現状まず見ることはできません。貴重な体験です。
▲D-17Sスタッガーウイング。複葉機ですが、セオリーとは反対に上の翼が下の翼より後退したポジションにあるのが特徴です。
▲ベルトーチカがアウドムラに乗艦するときに乗ってきた飛行機です(ガノタしかわからん)。赤いのもいましたね。超きれいに磨き上げられています。
▲2015年のウィナー、ブリストル・ブレニムMk.Iです。ダンケルクで一瞬出てくるアレそのもの。飛ぶのは世界にも1機しかないんだって。イギリス人にも大人気でした。
▲しかし双発機って写真撮りづらいですね。かっこいい角度に入るとエンジンで顔とか尾翼とか隠れるし……。
▲P-40B。ギンギラギンのベアメタルで毎朝このおじさんが丹念に磨き上げていました。なんか飛ぶやつはめちゃくちゃ貴重らしいっす。
▲スピットファイアMk.Iですね。これはもう言葉もありません。日本人にとっての零戦と同様、イギリス人の心の拠り所みたいな雰囲気出てました。
▲マーリンエンジンの展示もありました。これ見てるだけで時間が飛ぶように過ぎ去っていく……。
▲ビーフサンド屋さんの鼻ピアス女子めっちゃかわいかった……。ビーフサンドは全然おいしくなくて超ビビった。イギリス、メシがすごい(みなまで言わない)。
▲古いものが溢れかえっていると、コスプレなのかガチなのかわからなくなってきます。このおじさんは本当にバイク乗りなのだろうか……聞くに聞けないし(笑)
▲サーキット外側には超巨大なテント村が形成されていて、ファッションからオモチャまであらゆるものが買えます。このアーティストの作品は超かっこよかった。
▲会場内アッシュバンの屋台が無限にあって眼福。あとすごいのは本当に誰にカメラ向けても絶対に笑顔でポーズ取ってくれます。余裕が感じられる。
▲サーキット外周に点在するスタンドやメーン会場との移動には巨大トラクターに引かれて移動します。ファーガソンのシェアがすごい(これはニューホランド製)。
▲仮設店舗も往時の佇まいで、あらゆる業種がリバイバルしています。施工費なんぼかかってるんだ。床屋も数件あります。俺も切ってもらいました。
▲どこからどこまでコンパニオンで、どこからどこまでがお客さんなのかが不明瞭なのがすごい。年代を揃えるという簡単なルールで世界観を構築できるという事実。
▲復活TVRの新型、グリフィスのアンベールもありました。現行車もバリバリのモーターショーはクラシックな外観の屋内で開催され、全体の世界観を壊さないよう配慮されています。
▲コンパニオンのおねいさん。TVR復活してよかったね……。
▲マシンの周りにもたくさんの女性がいて、メカニックやエントラント、ドライバーたちと話す姿もたくさん見られました。この人は関係者っぽいけど。
▲アグスタに見入って微動だにしない女性。旦那に仕方なく連れてこられたけど、アタシ退屈してます!みたいなオバサンを本当に見かけなくて、素敵だと思いました。
▲素敵な女性二人。めちゃくちゃ感動したんですが、このイベントに来る人は年齢や体型に気後れせず、着たい服を着ているので全員超かっこいい。
▲こういう服着てても痛くないおかあさん超最高。でもこの服で浮かない空間というのもズルい。卵が先か、鶏が先か。
▲12秒おきに美男美女が目に飛び込んでくるので、カメラのデータを毎晩ホテルでHDDに移し替えるのが大変でした。
▲ツイードジャケット一辺倒ではなく、レザースタイルの男子も結構います。
▲夢かよ
▲「LADIES!」と声をかけたら「あらーLADYですって♡」とキメてくれたご婦人方。横にいた息子らしき男子は「勘弁してくれよwww」と頭かかえてました。
▲バッキバキに美人な女子が抱えていた6×7。フィルムカメラ率高いんだよな〜。
▲バキバキ美女の相方のバキバキ美女(美女は美女と歩く)が持っていたNizoのスーパー8。まさかいまコレで撮ってないでしょ?って聞いたら「そうね」って。
▲雨が降っても慌てず騒がず、飛行機の翼の下で雨宿り。エナメルの真っ白なブーツが泥だらけでも、これがグッドウッドやと言わんばかりに、みんな平気な顔して歩いてます。
▲この4人組、自然体ですが着こなし素晴らしくて最高ですね。(右から2人目が普段着すぎだけど)
▲アイスクリーム屋のおねえさん。毎日アイス食いたい。
▲イギリスギャグなのかなこれは。
▲『THE BIG』の世界そのままみたいな移動遊園地や映画館やレストランも構築されまくっており、とにかく3日で全部撮影するの無理です。
単なるクラシックカーのイベントではなく、ファッションや食事や音楽やお酒を楽しむ総合エンタテイメントとしての側面がなんとなく伝わったでしょうか。
中にはレースそっちのけで「テーマパーク」として楽しんでいる人もいますし、ダンスホールから一日中出てこない人もいます。
しかし、喫煙率超高いのにタバコの吸殻は落ちてないし、ゴミも全然落ちてないし、待機列でぐちゃぐちゃすることもないし、酔っ払って暴れる人も見かけません。
お客さんのマナーがどうこう、という話ではなくて「俺もこの世界の一部だもんね」という意識がめっちゃあるというのを実感しました。
そもそも、来場者数十万人のなかに場違いな格好やふるまいをしてくる人が本当にいない……。
ゴミ拾いや列整理のスタッフは本当に少なくて、最小限の人数がものすごくテキパキ働いているのもあると思うんですが、
ルールを守りましょう!マナーを守りましょう!イベントの円滑な運営にご協力ください!ここには入らないでください!とうるさく言わんでも
これだけ美しい光景をみんなで構築できているのは驚嘆すべきことでした。
かっこよくあろう、かっこよいイベントに俺も参加しよう、というみんなの当事者意識、見習いたいもんです。
(その4に続く)
by kala-pattar
| 2017-09-18 12:17
| 行ってきた