出、出〜!香港的建造物模型奴〜〜!!

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▲3階から上が太くなったアンバランスなビルのフォルム。コレ見て「えっ欲しい」ってならない人、いるの?


色とりどりの窓枠、好き勝手な室外機、俺が俺がとニョキニョキ突き出た看板、思い思いの庇……。
アジアの路地を歩いていて、こんなビルに出会ったことがある貴方ならば、こんな模型を見て冷静ではいられないはず。
人の営みがそのままカオスとなって具現化したビルディングを、貴方が神の視点で作り上げる。


今回は以前紹介した香港のミニカーメーカー、TINYの新作は香港の旧市街にあるカオスなビルディングであります。



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▲TINYはこういうヤバい物体を発売している香港のメーカーです。マジですごい。





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▲箱です。意外とコンパクトでびっくり。


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▲オープン・ザ・ボックス。赤い塗料はサイズ比較用。中身はギッチギチに詰まっていて、一度出したら二度としまえません。


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▲モジュール式に一部屋一部屋が存在します。表面はつや消しスプレー吹いてあるっぽい。


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▲ひとつの部屋の大きさはこんなもん。升酒を飲んでる感じです。


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▲角になるビルもモジュール化されていて、屋上は部分塗装。各フロアはカチッと爪でハマるようになっています。ハマらないところもある。設計が雑。


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▲BOX in BOXにはごみごみしたパーツがいっぱい入っていて、ミニチュア好きなら卒倒します。


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▲なかでもわりと大きいパーツは香港のビルあるある、屋上の掘っ立て小屋。


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▲屋根のトタンの色が2種類あるので神の視点ではめ込んでニヤニヤしましょう。


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▲地獄的な量のトタンと窓枠


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▲地獄的な量のトタンと看板


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▲破滅的な量の鉢植えと室外機と窓枠とランナー。


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▲八木アンテナのプラモデル。柵みたいなのは窓の外にむりやり洗濯物を干すための棒です。香港やべー。


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▲そのスジの人ならその場で卒倒するような量の看板ステッカー。カット済み。看板はおそらく写真を撮影して採集したリアルガチの"ホンモノ"


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▲1Fに入る店舗は写真がそのまま印刷されていて、模型というよりも標本に近い。これはもう、リアリティではなくて、リアル。


この模型のすごいところは「カオスなものが分割された状態をパーツで供給し、ユーザーに組み立てさせる」というところにあります。
設計が適当でも、パーツの数がきっちり合ってなくても、公式の完成図がとくにあるわけではないし、そもそも成果物がカオスなのでどうにでもなる。
完成品じゃないし、プラモデルでもないし、ブロック遊びでもない。なんとも宙ぶらりんな仕様で、宙ぶらりんのものをユーザーに作らせる。
そこに妙味があって、香港のビルディング以外にこういう品姿は成立しないんじゃないかとすら思います。

スケールはおそらく1/64あたりを狙っていて、ファインスケールではない(各部の大きさはデフォルメされている)のですが
まあミニカーとかプライザーの人形とかを置いて遊ぶとめちゃくちゃおもしろいのではないでしょうか。
屋上に誘導灯をつければ啓徳空港の伝説的香港カーブを想起させる激ヤバビルディングの情景を作ることもできそうです。


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▲匂い立つような暮らしの"呼吸"が視覚的に伝わってきます。室外機のタイプは3種類。所得や暮らしぶりを想像しながらはめ込みましょう。


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▲看板にシールを貼りたいところですが、ぐっと我慢。これを"作品"に仕上げるなら全体のチリを合わせるために削ったりヤスったりする必要あり。


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▲各部を接着したり、地面を作ったり、電飾をすることにしたのでまだパチ組み状態なのをお許し下さい。


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▲ラウンドしたコーナーに来る窓が最高。一枚一枚を開けたり閉めたり調整して、生活感を出したい。洗濯物をひっかけたり。


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▲屋上も信じられないくらい汚くしたい。ウェザリングとか。日向ぼっこしてる職業不詳のオッサンとかを乗せたい。


さて肝心の組み立てですが、めちゃくちゃに乱暴な仕様になっていて、
とにかく部屋を好きなように組み立ててシールを貼って楽しもう!なのかと思ったら、案外自由度が低い。
各フロアの接続方法がわりと限定されているし、爪でフロア同士がガッチリ噛み合うところと、適当な渋みで合体するだけのところなど
「なるほど設計の都合(スライド金型を使えるかどうか、他の商品に展開するときにセットできるか)に左右されてるな」という印象。

窓枠も塗装が分厚くて、躯体にはめ込むには異常な力技とか破壊工作が必要な部分もあるし、
そもそも「開け放った窓」が超小さい別パーツになっていて、塗膜も厚いしゲート跡は処理されていないしで組み込みがめちゃくちゃ難しい。
結構器用なつもりですが、全体を組み上げるのに2時間以上かかりました……。

しかし、その雰囲気は壮絶。「香港の雑然としたビルの立体物」なんて製品としては存在してなかったわけで、
唯一無二の成果を得るためなら頑張れます。なにより高さ30cmくらいのビルがドーンと出来上がって、こんなに細密なのに
1万円台で収まってしまうのがすごい。日本のメーカーが同じことしたら倍はかかるんじゃなかろうか(クオリティも相応に上がるだろうけど)。
とにかく、見たことのない立体物が手元でガーッと立ち上がっていく様は壮観です。


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▲公式から借りてきた完成画像。右の壁に求人とかゴリゴリ貼ってあるし、窓の下に干す洗濯物のシールも付いているんじゃよ……。


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▲まずは各部の組付けをしっかりとすりあわせて、接着して強度を出しつつ、汚して電飾して看板付けてジオラマとして成立させたい所存。


TINY、毎度供給が不安定なのでいつでも買えるというわけではなさそうですが、本稿執筆時点ではAmazonに在庫があるようなので即ゲット必須かと思われます。
これを無限に買えば九龍城のような巨大構造物を作ることも可能であるところが本当にやばく、
モジュール化されているからみんなで持ち寄って香港ビルディングコンベンションみたいなことも出来てしまう激烈アイテム。
代理店さん、ガバーッと入荷したほうがいいっすよ、ホント。
……ということで、みなさんも香港のビルを作ってニヤニヤしましょう。現場からは以上です。




by kala-pattar | 2017-10-02 22:18 | プラモデル