プラモで作るドラえもんの内部構造に、ジョナサン・アイブは涙した。

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みなさんはガンプラの内部フレームを組んでいて「めんどくせえなぁ」と思ったことはありませんか。
俺はある。
だって、このガンダムかっこえー!って言って買ってきて、ホントかウソかわからないフレームをずーっと組んでると
「俺、何がしたかったんだっけ……」ってなったり。いや、構造すっげーな!と驚くことはあっても、毎度毎度だと疲れてしまいますよね。

しかし、「内部構造がおもしれーんスよ!」というコンセプトをババーンと前に押し出したプラモデルがあって
しかもそのモチーフがドラえもんだとしたら……。なんでドラえもんなの……。

対話してみましょう。それを作った人と。ランナーという言葉を通して、セッション開始であります。


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▲ドラえもんの中身を真剣に考えたことはなかったんですが、具体的に見せられると「お、おう……」という気持ちになります。


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▲ドラえもんの顔の内部構造だと思うんですが、かなりエグい複雑なディテールで構成されています。


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▲じつはこの内部構造、公式で描かれたイラストをもとにしているんだそうで。ドラえもんの内部図解とか無限にありそうですけど、ひとつ選んだのでしょう。


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▲いきなり緊張感のあるパーツですが、腕です。無論ワンパーツですから可動部とかありません。肩が一軸でぐりぐり回るだけ。


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▲このへんは高感度音波測定イヤーの内部アレイだそうです。


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▲ドラえもんのランナーです。よく見てくださいね。


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▲こっちはドラミちゃんのランナーです。プラスチックの行き先を切り替えるスイッチという金型の仕組みで形状とか色再現とかを変えています。


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▲ドラえもんのヒゲであり、ズゴックの胸ダクトではありません。


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▲ドラえもんの顔面にはヒゲや口がハマる開口部があり……


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▲裏からカチカチとパーツをハメることによって


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▲こうした風景が現出します……というかすごくないですかこの丸みを帯びたどらえもんらしさ600%みたいな彫刻。ちょっとビビります。


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▲左がドラミ内部構造、右がドラえもん内部構造です。スライド金型を一切使わず、彫刻がギンギンに立っているのでシタデルミニチュア的迫力があります。ヤヴァい。


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▲ドラえもんのガワをかぶせました。中身全く見えません。〜完〜(あと足のパーツの前後を間違えていたことに今気づきました)


我々はなぜ内部構造に盛り上がってしまうのでしょうか。
ガンダムの中身とかドラえもんの中身を図解されると「うおー!」となってしまうあの心の動きはまさにターヘル・アナトミア的機微であり、
知的好奇心と「嘘つけバカ〜」みたいなかわいい大人の心の葛藤をもてあそび、我々は大人になっていくのです。ホントか?
しかしプラモデルは本質的にモナカのような皮を合わせてカタチを作っていく遊びですから、こうして内部メカは見えなくなってしまう。
このジレンマに、ひとつのソリューションが用意されています。


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▲ビバ、クリアーボディ。かつてジョブズはパーソナルコンピュータの中身を美しく設計することを命じ、それを見せるためにスケルトンのガワをかぶせたのでした。


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▲ハロー、ワールド。


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▲クリアーイエローはやや透明度が低いですが、これは樹脂の物性のせいだということにしておきます。


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▲顔面の裏側はこのようにシュールな状態となりますが


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▲ドラえもん、ドラミともに顔面が白いため醜悪なプラモデル的構造を隠すことに成功しています。藤子・F・不二雄先生の偶発的なデザイン的勝利。


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▲ドラミちゃんはリボンの内部が耳になっており、そのセンサー的造形もピンク色で彫刻されています。キッチュさとテクノロジーの衝突。


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▲しかし、無情にも赤いカバーがその内部構造を覆い隠してしまう。ここにクリアーパーツは用意されなかった。中身を知るのは、組んだ者だけ。


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▲おおロミオ、あなたはどうしてロミオなの……とつぶやきながら内部メカと永遠のお別れです(スナップフィットなので、接着剤で貼らなければ3秒後に再会できます)


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▲かくて、内部構造と外的な意匠は同居することが許されたのでありました。あと四次元ポケットが微妙に開閉するのでめちゃくちゃ笑います(足の前後は直した)。


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▲あんなこといいな、できたらいいな……。真の四次元ポケットは、遙かなる静岡の大地にあるのかもしれません。


中身を作りたい。ガワも作りたい。できれば完成後も内部構造を眺めたい。
人類はなんてわがままで贅沢な生き物なのでしょうか。
しかし、ここにそれをすべて許してくれるプラモデルがある。

可動しなくてもいいんです。複雑な金型を使わなくたっていい。
僕らが観たいのは、内部構造と外側のカタチで、それ以上でもそれ以下でもなかったのかもしれません。
こんなに手数少なく、ハードなメカとソフトなボディの両面を形作り、そのマリアージュを楽しめるようにしようという設計は秀逸で、
今後発売されるであろうアレやコレやへのヒントが楽しいのはもちろん、単なるドラえもんの立体物としても抜群に「良い」という感じです。

内部メカはとにかく恐ろしく立体的な彫刻で塗装欲がむくむくと湧いてきますので、
みなさんも買ってきて「え、ドラえもんってこんなにエグい中身なの……」とかブツブツ言いながら組んで、
ソリッドカラーのボディをかぶせるか、クリアーカラーのボディをかぶせるか、3時間くらい悩みましょう。

次回はこのドラえもんと組み合わせることが想定されたさらにヤバいプラモデルを紹介いたします。乞うご期待。




by kala-pattar | 2017-11-15 00:15 |  →SPRUE CRAZY