プラモはイギリスで生まれた。だから、俺たちは旅をするのだ。
2017年 12月 03日

近況を報告したっていいじゃない、ということで、またイギリス行ってました。
じつは前回のグッドウッドのときに、「THE TANK MUSEUM」(日本では「ボービントン」と呼び習わされている戦車博物館)にも行ったんですね。
んで、今回はなんといいますか、前回行けなかったところをごっそり回って、体力ばっこり持って行かれました。










ブリティッシュ・エアウェイズの機内放送ではバッキバキのダンスミュージックのロングセットが聴ける、とか。
パブのなかでどう振る舞うとスマートなのか、とか。
それよりなにより、「博物」というものがいかなる歴史と思想のもとに存在し、守られているのか、とか。
つまるところ、プラモデルはそれそのものが存在しているわけじゃないし、その奥にあるモチーフとのみ関わり合っているわけではなくて。
衣食住があり、それが文化になり、川が流れて海になって、人が行き来することで何かを伝えたいと思う気持ちみたいなもんがあり、
そういうのが凝縮された結果として無機質な文様を描くランナーに、バラバラになったアイディアや情念が固定されているわけでございます。
何を言ってるかよくわからん、という人はこの本を読んで下さい。
プラモデルとそのモチーフの関係は、偽物(似せ物)/本物という対比に収まるものではありません。
イギリスの博物(歴史を俯瞰し、整理し、そこに存在する技術や思想の系譜を可視化し、保存することで未来の人々のために役立てること)に対する姿勢は
ある意味でもっともプラモデルという嗜好と相性の良いものなのかもしれません。
タミヤはなぜ、戦車のプラモを作ったのか? エアフィックスはなぜ、飛行機のプラモを作ったのか?
そこには、単なる「本物への憧れ」を超えた、ひたむきで純粋な「博物という物の考え方との交感」があると思うのです。
それを理解しなくてもプラモデルは作れますが、それを知ることでプラモデルは100倍おもしろくなる。
そう信じるホビージャパンの若き編集者が必死こいて作った熱い(そして厚い)一冊。
ワタクシも作例(本エントリトップの写真がその途中写真です)やコラムなどで応援しつつ、前回のイギリス行で得られた諸々を注入させてもらいました。
荒削りで「濃縮果汁還元せず」みたいな口当たりの強烈な本ではございますが、ぜひともみなさまご一読ください。
プラモデルを作るために、どこかに行く。そんな本末転倒で圧倒的に正しいモチベーションをドライブしてくれるはずです。
是非に。

by kala-pattar
| 2017-12-03 01:39
| Movie&Books