そうだ、エベレスト見に行こう【その1】

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「からぱた」という名前は、2004年にこのブログを作ったとき(もちろん泥酔していた)に考えたハンドルネームである。
表記的にはKala-pattarとなっているが、これはすなわち、クーンブの傍らにあってエベレストを望む小高い丘の名前から取っている。
ネパール語の音写なのでスペリングには揺れがあり、一般的には「Kala Patthar」(『黒い岩』という意味)と書くのが通例だ。

「からぱた」と名乗って、「Kala Patthar」に登ることはすなわち、夢であり、自分との約束であった。

思えばなにもかもを人のせいにしてきた自分が、自分で決めて、自分で行って、自分で登らなければいけない。
それは果てしなく面倒なことに思われたけど、しかしまあ、行くことにしたのだ。エベレストを見に、からぱたの頂上へ。




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カトマンズの街にひとり降り立ち、フラフラと商店を巡って地図や登山用具や薬を買う。
適当な飯を食って、宿で寝る。
スタートはいつものアジア旅行のようだったが、あくる朝からの移動は完全なアドベンチャーであった。

国内線ターミナルのなかはバックパックを背負った人々でごった返しており、飛行機は噂通り定刻に飛ぶ素振りを見せない。
チケットカウンターでひたすらに粘り強く質問を続け、嫌味を言い、ときに笑顔で職員と談笑し、
空港到着から6時間ほどでようやくタラ航空のルクラ行きに搭乗した。


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フライトは30分ほど。皮のジャケットをこれ以上ないくらいかっこよく着こなした女性パイロットがドルニエ228を巧みに操る。
眼下には腹をこすりそうなほど近くを流れる段々畑と、尾根の上の家々。
コクピットの窓の向こうに小さな滑走路が見えたかと思ったら、機はドスンという音とともにルクラ、テンジン・ヒラリー空港に降り立った。


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標高は2800m。12月ではあるが、緯度の低いネパールにあっては、日本の夏山における1500mくらいの様相と大差ない。
植物や動物の匂い、人々の生活する音の中をかいくぐってエベレスト街道が始まる。


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街道は、人の住む村々を巡って5000m以上の高みへと続いている。
荷を運ぶ人、馬、ヤク。
マニ車があり、家があり、日本の低山の光景をそのまま10倍したようなスケールの景色が延々と広がる。


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歩行1日目。
イムジャ川のほとりを下降し、上昇し、いくつかの橋を渡って、モンジョという村(標高約2800m)に到達した。
携帯の電源は切ってある。風と鳥、川の流れる声を聴きながら歩く一日は爽快で、夕飯のダルバートはひどく美味しかった。
野菜にこんなにも味があって、米にこんなにも甘みがあるものかと心底驚いたのを覚えている。
一人旅の緊張感と、充足感。感覚が研ぎ澄まされて、自分が山の中のひとつの点になっていく。



by kala-pattar | 2018-01-07 18:53 | 行ってきた