カラーリングデザインを"組む"快感! ホンダジェットのプラモを全力でおすすめする理由。
2018年 03月 04日
お久しぶりです。ここんところ仕事がヤバいくらい忙しく、プライベートは飲酒か『スプラトゥーン2』に費やされており、
人間というよりもイカ徳利に近い物体と化していたためプラモとは何か忘れそうになっておりました。大変申し訳ございません。
さて、エブロより先日発売されました1/48 ホンダジェットのお時間でございます。
最近HONDAのCMでよく見るアレですね。エンジンが主翼の上についていたりして、すごい。
で、そのすごい飛行機がすごいプラモデルになっているので全員買って今すぐ組め、という話をします。
塗り分けとかがある機体は塗装と接着の手順をウンウン考えないといけないんですが、このホンダジェットのプラモはちょっと違います。
何が違うかというと、ホンダジェットの塗装をそのままパーツ分割によって再現してやろう、ということになっているのです。
ガンプラで言うところの「成型色でイメージ通りのものができます」的な考え方ですね。
しかしガンダムと違って流線型の物体にこんな塗り分けがしてあるんですから、一筋縄ではいかないというのがみなさんにもわかると思います。
プラモって「カタチを再現する」というのが第一義にあって、色は自分で塗れ!頑張れ!というのがスタート地点だったと思うんですね。
でも塗るのめんどくさいしむずかしい。だからガンプラとかはパーツごとに色が違ったりして、なんとなく塗らなくても色再現ができるようになった。
とはいえモビルスーツは工業製品でいろんな形状の機械が組み合わさってますよーというお約束があるので、色分けと形状は呼応しているわけです。
(MGのHi-νガンダムだけはスプリッターパターンをパーツ分割で再現してましたね……懐かしや)
クルマのプラモとかでもボディがなんとなく赤だと嬉しい、とかはありますけど、まあツートンカラーのクルマというのはあんまりありませんので、
缶スプレーでもビーッと吹いておけばもとのボディのパーツが何色だろうがどうでもいいっちゃどうでもいい。
ぶっちゃけこのホンダジェットもフツーの飛行機模型と同じ分割でも問題はなかったはずなのです。
どっこい、このエブロのホンダジェットは形状と色を同時に再現するために構造的には全く意味のない分割を取り入れたわけです。
うねるS字の塗り分けラインと、テロンとした流線型の機体形状の両方を、パーツを組むだけで味わえるようにしなければならない、という意志がそこにあります。
カタチだけ作って「後はよろしく!」ではなく、「カタチはもちろん、指でホンダジェットの塗装を体感せよ!」というプラモなんですよこれは。
どう考えてもこんなパーツがピタッと合うように設計して成形するのは超めんどくさいはずですが、それをやってでも、その体験をユーザーにしてもらいたい。
品姿を知らない人が完成品だけ見たら「へー、ホンダジェットだね」でおしまいなんですが、
作った人だけが、エブロの人(っていうか木谷さん)と無言の対話をするわけです。
「この塗り分けライン、いいよね……(だからパーツ分けといたよ……)」「赤と青、悩むよね……(だから両方入れといたよ……)」って。
イラレで描いた塗装図を説明書にぶっこんでおけばそれで万事オッケー、あとはモデラーの力量に任せるぜ!というプラモがほとんどであるなか、
ホンダジェットの色分けがカッコイイからそれをみんなの共通の体験にしちゃおう、というのがパーツ分割で強制できるっていうの、おもしろくないですか!
これは形状のプラモであると同時に、ホンダのカラーリングデザインのプラモでもある、っちゅうことなんですよね。
思わずタミヤのRC166(これはタンクとカウルだけ塗った)と並べて撮影してしまいましたが、
本田宗一郎氏が夢見た「空を飛ぶ」という事業がこうして叶った今、みなさまもプラモデルでそのカタチや構造を楽しみつつ
色というファクターを、塗るという「作業」ではなく、プロダクトの「仕様」で味わってみてください。
工場から出るときと、ユーザーが組み立てた瞬間と、プラモは二度完成するということに、きっと気づくはずです。
正直、合わせ目も何も気にせず、ガーッと組んでガーッとデカール貼るだけで「うっそ!」っていうほどカッコいい、ホンダ製品がそこに顕現します。
そうそう、赤いパーツは接着しなくてもピタッと吸い付くように固定されて驚きました。ね、組んでみたいでしょ?
by kala-pattar
| 2018-03-04 20:50
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