カラーリングデザインを"組む"快感! ホンダジェットのプラモを全力でおすすめする理由。

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▲プライベートジェットの室内がこのサイズで再現されてるプラモ見たことないよ俺は(ランナーに付いたまま組んでるのは趣味だからです)。


お久しぶりです。ここんところ仕事がヤバいくらい忙しく、プライベートは飲酒か『スプラトゥーン2』に費やされており、
人間というよりもイカ徳利に近い物体と化していたためプラモとは何か忘れそうになっておりました。大変申し訳ございません。

さて、エブロより先日発売されました1/48 ホンダジェットのお時間でございます。
最近HONDAのCMでよく見るアレですね。エンジンが主翼の上についていたりして、すごい。
で、そのすごい飛行機がすごいプラモデルになっているので全員買って今すぐ組め、という話をします。



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▲コクピットとかドア一体型のタラップとか自重変形しているタイヤが見えます。シャキッとしていて、普通の飛行機プラモとして優秀な印象ですね。


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▲主翼下面のリベットラインとかボーテックスジェネレーターとか動翼の何某などが見えております。さすがエブロさんという感じで、小奇麗です。


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▲主翼、水平尾翼ともに左右の接合部が互い違いに組み合わさって角度と剛性をびしっと決める構造。ウイングレットを保護するためランナーが盛り上がっているのが最高。


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▲垂直尾翼は胴体と別パーツ。ノリシロ大きく取られているので大変組みやすいです。放電索は雑に扱うと折れます。俺は折った。


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▲窓のクリアーパーツも超きれい。小さい燈火類を貼るのがめちゃくちゃ難しいので、そこだけはどうにかしてほしかったっす。シールとか。


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▲特徴的なパイロンの立体形状はプラモを組まないと絶対に理解できない。めっちゃナルホド感があって凄いので組むべし。


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▲エンジンナセルや主翼前縁、つまりベアメタルのリーディングエッジ部はメッキパーツが用意されています。塗り分けなくていいし輝きが違いますね。超嬉しい。


さて、普通のプラモデルというのは胴体が左右に分かれているのでそれを貼り合わせ、主翼と尾翼をくっつければだいたい完成します。
塗り分けとかがある機体は塗装と接着の手順をウンウン考えないといけないんですが、このホンダジェットのプラモはちょっと違います。
何が違うかというと、ホンダジェットの塗装をそのままパーツ分割によって再現してやろう、ということになっているのです。
ガンプラで言うところの「成型色でイメージ通りのものができます」的な考え方ですね。
しかしガンダムと違って流線型の物体にこんな塗り分けがしてあるんですから、一筋縄ではいかないというのがみなさんにもわかると思います。

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▲ホンダジェット(実機)。機首上面にS字の塗り分けラインが入っていて、これマスキングして塗装しろと言われたら頭抱えると思います。


プラモって「カタチを再現する」というのが第一義にあって、色は自分で塗れ!頑張れ!というのがスタート地点だったと思うんですね。
でも塗るのめんどくさいしむずかしい。だからガンプラとかはパーツごとに色が違ったりして、なんとなく塗らなくても色再現ができるようになった。
とはいえモビルスーツは工業製品でいろんな形状の機械が組み合わさってますよーというお約束があるので、色分けと形状は呼応しているわけです。
(MGのHi-νガンダムだけはスプリッターパターンをパーツ分割で再現してましたね……懐かしや)

クルマのプラモとかでもボディがなんとなく赤だと嬉しい、とかはありますけど、まあツートンカラーのクルマというのはあんまりありませんので、
缶スプレーでもビーッと吹いておけばもとのボディのパーツが何色だろうがどうでもいいっちゃどうでもいい。
ぶっちゃけこのホンダジェットもフツーの飛行機模型と同じ分割でも問題はなかったはずなのです。


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▲で、胴体のパーツを腹側から望んだところです。機体前方の上方がズバッと切り取られているのがわかりますでしょうか。


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▲で、胴体上面のパーツです。これ、赤と青が両方入ってるんですよ箱に。「塗らなくてもいいよ」っていう声が聴こえる!!


どっこい、このエブロのホンダジェットは形状と色を同時に再現するために構造的には全く意味のない分割を取り入れたわけです。
うねるS字の塗り分けラインと、テロンとした流線型の機体形状の両方を、パーツを組むだけで味わえるようにしなければならない、という意志がそこにあります。
カタチだけ作って「後はよろしく!」ではなく、「カタチはもちろん、指でホンダジェットの塗装を体感せよ!」というプラモなんですよこれは。
どう考えてもこんなパーツがピタッと合うように設計して成形するのは超めんどくさいはずですが、それをやってでも、その体験をユーザーにしてもらいたい。

品姿を知らない人が完成品だけ見たら「へー、ホンダジェットだね」でおしまいなんですが、
作った人だけが、エブロの人(っていうか木谷さん)と無言の対話をするわけです。
「この塗り分けライン、いいよね……(だからパーツ分けといたよ……)」「赤と青、悩むよね……(だから両方入れといたよ……)」って。

イラレで描いた塗装図を説明書にぶっこんでおけばそれで万事オッケー、あとはモデラーの力量に任せるぜ!というプラモがほとんどであるなか、
ホンダジェットの色分けがカッコイイからそれをみんなの共通の体験にしちゃおう、というのがパーツ分割で強制できるっていうの、おもしろくないですか!
これは形状のプラモであると同時に、ホンダのカラーリングデザインのプラモでもある、っちゅうことなんですよね。

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▲めっちゃくちゃ発色良くて密着性も高いシルク印刷の高品質なデカールは、赤と青どちらでもオッケーな仕様。


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▲バババーっとパーツを貼って、一切塗装せずにこのデザインが手に入る。作品ではなく、製品の時点でコレが実現していることの嬉しさよ!!


思わずタミヤのRC166(これはタンクとカウルだけ塗った)と並べて撮影してしまいましたが、
本田宗一郎氏が夢見た「空を飛ぶ」という事業がこうして叶った今、みなさまもプラモデルでそのカタチや構造を楽しみつつ
色というファクターを、塗るという「作業」ではなく、プロダクトの「仕様」で味わってみてください。

工場から出るときと、ユーザーが組み立てた瞬間と、プラモは二度完成するということに、きっと気づくはずです。
正直、合わせ目も何も気にせず、ガーッと組んでガーッとデカール貼るだけで「うっそ!」っていうほどカッコいい、ホンダ製品がそこに顕現します。
そうそう、赤いパーツは接着しなくてもピタッと吸い付くように固定されて驚きました。ね、組んでみたいでしょ?




by kala-pattar | 2018-03-04 20:50 |  →SPRUE CRAZY