F1のプラモを絶対キレイに仕上げられるたったひとつの方法教えます
2018年 04月 30日

正解は「塗らない」です。
……いや、正直また塗らないとか言ってちょいちょい部分塗装とかしてんねやろお前!真面目にプラモ作れや!という読者もいらっしゃるかもしれませんが
上の写真はタミヤの最新F1モデル、フェラーリSF70Hを接着剤で貼っただけなんです。信じてくれ。頼む。(ホイールだけ我慢できなくてシルバーで塗った)
このプラモ、さすがにF1モデルの新製品を10年以上触ってないのやばくない?ということで筋トレ代わりに組んでみたんですよ。
そしたらですね。もう、おかしいんです。目の前で起きていることの意味が理解できない。

最近のF1、もはやエンジンとか小型化しすぎてるしモーターとか回生システムとかいろいろ人知を超えた感じになってて、
しかも空力デザインが行くとこまで行ってしまってて、逆説的にプラモデルというかガンプラ?みたいな構造になってるんですよ。ホンモノが。
もう見た目の形から構造とか理解するのほぼ無理だし、なるほどここに羽根がついてるからこういうことが起きるのかーとか
こういう装置がここに入ってるからこういうふうに効くのか〜とかを門外漢が理解できる次元じゃないんです。
SFです。ほとんどSF。それが証拠にマシンの名前にSFって入っちゃってる。「すごいフェラーリ」と「サイエンス・フィクション」のダブルミーニング。
で、そういうマシンを世界最高のプラモメーカーであるタミヤがどうやって我々に「わかる」ようにしてくれているかというと、
もう「最新の空力アプローチを理解する」というキャッチコピーで売り出しているとおり、もう外観を追いかけるだけで大満足なモデルになってるんです。
ステアリング? 曲がりません。
エンジン? 入ってません。
実車通りのパーツ分割? そんなことしません。
とにかく、目の前にあるSF70Hというマシンを薄さゼロの魔法のメスでスーッと切り分けて、そのままピューッと縮めたパーツがランナーに並んでいる。
機能とか構造とかが進化しすぎると両者が融合しちゃって、カタチそのものが機能しはじめるっていう感覚があるとすれば、
「機能や構造を知ることができて楽しい」というプラモデルの姿ではもう再現不可能になってしまったこのマシン。
タミヤは「中身とかいいんだよ!とりあえずカタチ組んでみ!いま、F1の空力ってこうなってんだよ!ビビるでしょ!」と
「カタチを追うことに全精力を傾けたプラモデル」として世に問うてきたわけです。

その代わりと言っては何ですが、とにかくパーツとパーツの合わせ、設計成形精度は地球に存在するプラモデルのなかでも最高のものになっておりまして、
パーツを切り離したゲートの痕が0.05mmでも残っていようもんなら、その誤差が集積して全体がガッタガタになるレベル。
キレイに組みたければ徹底的にゲートの痕を平らにするべきです。デザインナイフとか小さいヤスリを駆使して。
で、そういう精度の物体を塗装するとどうなるか。
塗装の厚みぶん合わせ目を削るとか、マスキングしまくるとか、テカテカに研ぎ出すとかの仙人みたいな作業が必要になります。
最初は「折角のタミヤ新製品なんだから缶スプレーでドボーっと塗装しようかな……」とか思ってたんですが、私には無理。寿命が足りない。
途中から「そもそもこのプラスチックの光沢よりキレイな赤、俺に塗れるだろうか……」と日和り始め、とりあえずカタチが見たいので組むことに専念しました。

で、まあパーツ貼るだけなら1日で終わるんすよ。
しげしげとそのボディを眺めながら「うーん、やっぱシェルのマークだけデカール貼ってみようかな」とか思うじゃないですか。
いや、UPSとかレイバンのロゴも貼っちゃおうかな〜とか欲が出てくる……。
気づいたら全部貼ってるわけですよ。組みながらじゃないと貼れないところはとりあえず無視して、手が入るところのデカールは全部貼る。
そしたらですね……、最初の写真のナニができてしまったんですね……。俺、塗料のビンに触らずにここに来てしまったのか、と。
なんとなくジョギングしてたら、フルマラソン完走してたみたいな。階段登ってたら、富士山登頂してたみたいな。

みなさんは塗装が苦手だからな〜とか、キレイに組むの難しそうだな〜という理由でF1モデルを敬遠したことがあるかもしれませんが、
このSF70Hはマジで「組んで、デカール貼ったらなんかめっちゃ満足できるF1マシンの模型が手に入ってしまった」というチートの塊みたいなプラモなので
恐れず買って「げー!いまのF1ってこんなことになってんの!?」とひとしきり驚いた後に「あれ、オレプラモうまい!?」と錯覚してください。
とにかくやべーから。「あ……ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」って友達に言いたくなるから。おじさんとの約束です。
……で、ここで終わるのもアレなのでボーナスステージに突入します。
F1モデルってそのままポーンと置いて撮影しても面白くないし、なんか回りに人がわらわらいるとテンション上がるよな〜と思いまして、
まあ適当なフィギュアが入ってんだろうな〜と思って箱を開けてひとしきり大爆笑しました。これ、最高のプラモです。






Aはタイヤ交換してる人3ポーズ×4+ドライバー。Bは給油マン×3、ジャッキマン×2、ロリポップマン×1、インテークのゴミかき出しマン×2+ドライバーの9名セット。
そう、こっちはポーズが全員違うのです……。Aセットのインダストリアルな感じとは正反対の、フリーダムな戦いがここに。
ドライバー、ひとり余るやんけ……。あとタイヤとホイールもう一台分用意しないとタイヤ交換シーンにならんやんけ……。まあいいか。




そもそもSF70Hが走ってた2017シーズンはタイヤ交換とか給油とか同時にやるのか? 給油口の位置ぜんぜん違うよ?
……っていうかこのピットクルー、2007シーズンの模型化だからSF70Hとマッチしないよ?
というのをすべてさておき、おままごとをするのが楽しいです。
そしてネットにはこれをちゃんと実物どおり赤いスーツにするため塗ってる人がいるんですが、塗ったらマシンが埋もれてしまうだろうが。
グレーのプラスチックのまま、「具象」ではなく、「記号」としてマシンの回りにいるのが面白いんだぜ……。


はい、ということでみなさんもF1とピットクルーを組んで並べて遊ぶと脳汁が無限に出るので接着剤とニッパーだけ持って挑みましょう、という話でした。
GW後半戦、タミヤの最新モデルにビビりまくるの、本当にオススメですので、是非。
by kala-pattar
| 2018-04-30 22:11
| →SPRUE CRAZY