貨物列車は何を運んでいるのかを読んで、ひとしきり考えた。

貨物列車は何を運んでいるのかを読んで、ひとしきり考えた。_b0029315_00011152.jpg
▲山陰迂回貨物、9081レを撮影する幸運に恵まれたのでした。


続く台風やら地震やらで忘れそうになるが、平成30年7月豪雨も凄まじい爪痕を西日本に残している。
山陽本線の途絶を受けて、JR貨物では現在1日1往復のペースで山陰本線を使った迂回運転をし、東西の物資輸送に寄与しようと頑張っている。
その輸送量は通常時の1パーセントと言われていて、完全に「ないよりはマシ」という感じなのだが、
この運転は「レールが繋がっている限り、災害時でも鉄道は輸送の手段として有効である」というアピールにもなっているのではないだろうか。
ある種の意地であり、広告的な側面も持ち合わせながら、しかしその荷物は必ず誰かのためになっているはずだ。


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災害が発生し、電車や電気機関車が走れなくなっても、ディーゼル機関車を使えば通常と異なるルートを使って貨物を運ぶことができる。
先日、この事実についてとても平易に描いた「はしれ ディーゼルきかんしゃデーデ」という絵本を手に入れた。

東日本大震災によって太平洋側の線路は寸断され、停電によって東北方面への鉄道輸送が大ダメージを負うなか、
遠く山口から回送されたDD51が磐越西線(新潟〜郡山間)の石油輸送任務に就く、という実話を絵本に仕立てたものである。
妙な擬人化もなく、淡々と展開する絵本なのだが、これがとにかくエモーショナルで、心の深いところに刺さるものがあった。
(実話のリンクはここにまとめられているので必読。>https://joyfuton.hatenablog.com/entry/2018/07/25/161221


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今回も、電気機関車が本来牽引すべき貨物を、老体に鞭打って運ぶのはディーゼル機関車のDD51であった。
ノスタルジックであることや、それが珍奇なものであるかどうかは置いといて、ただストレートに「がんばれ」と心の中で念じた。
貨物列車に生かされている実感は少ないけれど、レールは命をつないでいる。そういう実感を得られたことで、
いま貨物列車にどっぷりハマっている自分が少しだけ肯定されたような気がするし、彼らにエールを送り続けたいと思うようにもなった。


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で、問題はこのJR貨物のカラーを纏ったDD51の模型がほしいんですけど、最適解がないことだったり(結局そういう話になるのか)。
アオシマ製のDD51プラモを組んでるけどパーツが多すぎて進捗がナメクジみたいで全然ブログに書けないとか、まあなんというか即物的な話に帰結するのが
自分の悪い癖ではあるんだけど、まあ物欲屋さんなのでしかたないよね、と自分に言い聞かせながら山陰迂回貨物フィーバーを眺めた9月。
山陽本線は驚異的なスピードで復旧完了するようで、9月いっぱいでこの運用も終了する旨が告知された。


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線路が続く限り、鉄道は走る。なんて素敵なことだろう。
そりゃ災害が起きないに越したことはないのだけど、何かの備えとして戦える古老の機関車たちがいつまでも元気でいてくれるとありがたいなあと思いつつ、
皆さんにも件の絵本を読んでもらえるよう、ここにリコメンドする次第なのである。



by kala-pattar | 2018-09-21 00:43 | 鉄分