16番ゲージ/DD51貨物更新色にウェザリングを施す

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もはや完全に『バトルシップ』状態。日本各地から集った老兵DD51が、山陽道の大雨災害による鉄路寸断を受けて山陰の非電化区間を走った9月。
山陽本線が数多くの人の手によって奇跡的に復活したかと思ったら、今度は台風による土砂崩れによって再び寸断……。
DD51の力走は今しばらく続くことになりそうです。中国地方のみなさま、本当に気苦労が絶えないと思いますが頑張ってください。

さて、私も山陰迂回貨物で実物がえっちらおっちらと世のため人のために働いてたのを目の当たりにして
やっぱりそれを模型で手元に置きたいなぁと思ったわけですが、JR貨物更新色で塗装されたDD51は16番だと選択肢が極めて少ない。
大富豪であればムサシノモデルの最高級品をバシッと買えるかもしれませんが、私の財布の限界は天賞堂ダイキャストかKATOの二択。

天賞堂ダイキャストはカンタムサウンドシステム搭載でバリバリ音が出るしヘッドライトはもちろんテールライトやキャブも光るのでかっこいいのですが
そこそこのお値段なのと、実際に山陰で見たあの姿をこの手で再現しようと思うと、やはりどうしても私の度量というものが足りない。



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▲この「いままさに働いている様子」は、オイルやサビの流れた跡によって演出されると思うのです。


そう、ウェザリングがしたいのです。
錆びた鉄粉とホコリを巻き上げた足回り。蝶番に注されたオイル、手すりのサビ、屋根のスス……。
「鉄道模型を汚す」というのは昔から憧れていたんですが、やっぱり値段とか一期一会っぽい感じとかがあって、なかなか手を出せずにいました。

で、天賞堂のウン万もするやつはちょっと汚せないけど(鉄道模型はきれいに保っておけばリセールバリューが高いというのも安心材料のひとつなのです)、
KATOのプラ製品なら自分の心理的にもなんとか「アリ」になってきたことに気づき、ヤフオクを探索……。
なにを隠そう、KATOのDD51 JR貨物更新色は「HO スターターセット DD51貨物列車」という製品にしか入っておらず、
いまんところ全然製造されていないので新品はアホみたいなプレミアが付いており、ヤフオクで探すしかないという状態。
(DD51が注目を浴びているいまこそ再販すべきだと思うんですけど、まあみんなNゲージでやるよな……HOでやらないよな……)

幸いにして新古品がめちゃめちゃリーズナブルなお値段で手に入ったので、DD51とコキだけを抜いてレールとパワーパックは知人に売却しました。
(いしたにさん、新たな沼へのご入場、おめでとうございます。)

さて、KATOのDD51はマニアな人たちがいろいろ指摘している通りかなりレアなサブタイプを立体化しているため、
厳密に言うとここが違う、みたいな話がいっぱい出てきます。今回はそうしたことを無視して、「ウェザリングがしたい」ということに集中。
ディテールアップとか言っても、結局実物と同じにしようと思ったらそもそも論になってしまいます。
(KATO製品は本当に出来がいいと思うので、「ここが違う」みたいなのはぶっちゃけ知らなければ気にならないし、
その人がDD51を通してどんな景色を見たいのか?というところのほうが大事だと思います。実物どおりのものなんて極論すれば手に入らないのですから。)


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▲箱から出した状態。どこからどう見てもDD51です。これでいいのだ。


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▲まるで金網の向こうにタンクがあるように見えるけど、これは一体成型のパーツによる彫刻表現なのです。すっげー。


ネットで鉄道模型のウェザリングについて検索すると、みなさん楽しくなっちゃうのか全体的にものすごく暗くなっている画像が散見されます。
が、やっぱり全体が汚いと色が落ち込んで見えてしまうし、そもそも実物はどこもかしこもススだらけというわけではありません(時と場合によるけどね)。
遠目に見て目立つポイントに絞ってくっきりと汚れを描き、それをフォローするようにウォッシングやエアブラシによるホコリやサビの表現を入れました。


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▲1日半くらいの作業でこんな感じに仕上がりました。そうそう、撮影した857号機のナンバーが入ってたのも嬉しい!!


あと、ラジエターや空気溜め、屋根上のファンなどの彫刻は本当に深くてシャープです。
スミ入れしたくなるのはわかりますが、こういうのはそのままの陰影にしておいたほうが美しく仕上がる気がします。
むしろ凸部のディテールをくっきりさせる方向で影やエッジを描いたほうが結果がコントロールしやすいのはプラモで感じていること。

・全体の小さな凸モールド周囲に丹念に影色(こげ茶色)を描いていく。はみ出たところは下方向に拭き取る。
・足回りはざっくりと大胆に影色でウォッシング。下方向からエアブラシでもこげ茶色を吹き付けて陰影を出す。
・本当に細かい部分で影色を拭き取りすぎたときは極細のマーカーで描く。
・分解して塗装するけど、都度仮組みを繰り返して調子がちぐはぐになっていないか確認する。
・足回りの砂箱とかは実物でもバッと目に飛び込んでくるような印象があったので、グレーのウェザリングマスターで明るい部分を描く。
・ボンネットの上は明るいホコリ色を使って全体の立体感が損なわれないようにする。
・ススはエアブラシで描くけど、本当に黒を使うと重すぎるので、タミヤのNATOブラックを選択。
・ラジエーターグリルだけをマスキングして、上からグラデーションになるようススを吹き付ける。これは本当にめちゃくちゃ効果的。
・とにかく黒を使わない。全体が汚くならないように、もとの色のままのところを残しておく。
・要は、拡散と集中。過ぎたるは及ばざるが如し。

このへんが今回気をつけたところです。
とくに黒いものは黒で塗りたくなるんですが、黒に限りなく近いグレーにとどめておいたほうが経験上良い結果が得られます。


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▲かなりどっしりした雰囲気になったと思います。


こう見ると手すりのチッピングの調子が一定&入れすぎたな(あとで直します)とか、
ワイパーやエアホースをこの大きさで見るとなかなかつらいものがあるな……などの問題があるにはあるのですが、そういうのは気長に手を入れていけばいいかと。
なにより、今回の主眼は「鉄道のウェザリングに挑戦する」ということでしたしね。

ということで、自分が"鉄道模型の汚し"というものと初めて対峙したお話でした。
Nゲージだと難しい(より繊細なコントロールをしないとただ全体が汚くなってしまう)と思うので、
こうした表現を受け入れる大きさがあるのも16番の面白いところだと思います。どうでしょう。




by kala-pattar | 2018-10-04 22:00 | 鉄分 | Comments(0)
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