黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話

黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_19525331.jpg

いきなりですが、727コスメティクスの野立て看板を買うと机の上が東海道新幹線の車窓になるので今すぐ買いましょう。
さて、ハセガワの新製品、1/35スケール ヤンマーのトラクターを組みました。よくできてますね。
正直言って、プラモ大好き毎日もりもり組んでいる私でも途中で発狂しそうになるプラモでした。塗ってないのに。
そう、塗ってないのに。



黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_19563560.jpg
▲赤


黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_19563760.jpg
▲黒


黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_19563505.jpg
▲濃いグレー


黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_19563643.jpg
▲薄いグレー


黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_19563655.jpg
▲金


黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_19563677.jpg
▲メッキ


黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_19563785.jpg
▲透明

黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_20041973.jpg
▲ゴムタイヤ。どうですかこのマルチカラーぶり。ガンプラよりすごいよこれ。


色分けがしつこいくらいにされており、さらに実機のわりと繊細なデザインをそのまま1/35に縮小しているため、
やたら繊細なプラモになっています。もちろん「再現力」はお墨付き。すばらしいです。

が、どうも途中までスナップフィット(接着剤不要モデル)を意図して設計されていたのではないかと思うほど各部の嵌合がタイト。
しかもオプションパーツを展開したいのか、後部にあるにょきにょきした複雑なアーム類は動きそうな指示がされている。
しかしそれらがどう動くのか、なんのために動くのか、まったくわからない。

人間、何を意図しているのかわからない作業をさせられているとものすごいフラストレーションが溜まります。
それが「あっと驚く結果」につながればいいんだけど、そうじゃなかったときの「で、結局これはなにをさせられていたんですかね……」という感情は
とてもネガティブな思い出になってしまう。繊細なものを繊細に腑分けして、そのままパーツに落とし込むと、とても繊細な作業が要求されます。


黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_20054637.jpg
▲トラクターというユニークなメカを手頃に楽しもうかなーと思ったら延々と繊細な作業の連続で、しかも大ボリューム。


また、そもそもここまで色が分かれているのは「塗らなくていいすよ。塗ってもいいけど」というメッセージだと思うんですけど
それで「おっ、作ってみようかな」と思うライトユーザー(と、メーカーが規定している人々)は
俺が見事に失敗した超細かいデカール貼り(窓枠がホント半端ない)とか、全部で30点近くにも及ぶクリアーパーツの切り出し〜貼り付けとか
おそらく手が出せない作業だと思うんですよね。
このプラモ、本当にノーミスで組める人はおそらく地球上のプラモなんでも組めると思います。それくらい、難しい。
(でもAmazonのクルマ模型売上げランキングでは現在1位。ほんとにみんな作ってる?ほんとに??)

少なくとも、透明な窓にフレームやドアノブやワイパーを接着させるなら、何を使うと失敗しないのか、どういう手順であればスムーズに作業できるのか。
そういうことが説明書に書かれていないと失敗が発生し、トラウマになり、プラモなんか二度と作るかー!というひとが爆誕します。
ストップ、プラモ嫌い。だから、プラモには愛が必要なんだぜ……。


黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_20040984.jpg
▲赤いパーツは塗ったほうが透けなくなるのでそれだけは塗ろうとしました。


赤いパーツ、実機がややメタリックなレッドなのでしょう。
説明書では「赤+ごく少量の金」という指示なので、言われるがままに混ぜて塗ったところ、見事に金の粒子が表面に浮かんできてツヤあり/なしのまだら模様に。
本当に完成見本は「赤+ごく少量の金」で塗ってあるんでしょうか……。それとも、俺の調合や吹き付け方が悪いんでしょうか……。

とにもかくにも、「これはこんな人に組んでもらいたいな〜」というのが見えないプラモで、組むだけでもものすごく大変でした。
部分によって難度の設定が激しく上下するので「気を抜いて作っていいものなのか、真剣勝負で挑まなければいけないのか迷う」という。
普段ハセガワの飛行機モデルはいっぱい作っているし、(自ずと手順が脳内にあるので)それなりに出来てしまう自分でもあるだけに
「ジャンルが違うとここまで勝手が違うものか……」「色分けされてるけど、だったらデカールじゃなくてシールでよくない?」とか考えちゃいます。

で、いちばん驚いたのがこれ。


黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_20142744.jpg
▲ホイールの右にある物体。


黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_20144432.jpg
▲組むと奈良時代にワープします。


黄金に輝くオッサンのプラモと赤いトラクターの話_b0029315_20145942.jpg
▲金色のおじさん(燃える男)の赤いトラクター。


徹底的な色分けで実感たっぷりに再現されたトラクターの最終工程で、黄金のおじさんが出現するわけですよ。
トラクターで「お〜」と思ってたら、最後に人間が、金色で登場するということ。フィギュアですよ。模型で本能的に注目されちゃう部位ですよ。

「じゃあ何色だったら良かったんだ?」と聞かれたら答えに窮してしまうわけですけども……ライトグレーならまだ「そういうもの」として認知できるかも。
少なくとも、金色のおじさんが座っているのは、居心地が悪いなぁと思うし、「塗らないと可愛そうかなぁ」と思ったりもします。
(これがAIKAちゃんとかだと、「おっ、そういうやつか?」と身構えたりしますが、なにぶんおじさんですからね……。)

塗るか、塗らぬか、見なかったことにするか。けっこう究極の選択がユーザーを待ち受けているという、なかなかにハードコアなプラモの話でした。

皆さんにも、「色分けされていること」「こまかく再現されていること」それぞれに嬉しさがあるとおもいますが、
このプラモを組んでどんな気持ちになるのかなぁというのが大変気になりますので、もし手に入れた人はぜひともご意見をお寄せください。
小林旭でした。




by kala-pattar | 2018-12-09 23:00 |  →SPRUE CRAZY