カーモデルの超ビギナーが初音ミクのGTマシンを2日で作れる魔法のような方法を教えます
2018年 12月 24日
はい、土日の2日で作りました。
単色のハコ車なら過去に3回くらい作ったことある(しかも超適当)というワタシですが、
今回はいきなりフルラッピングのGTマシンが完成してしまいました。正直自分でも超驚いているので
その顛末が役に立つっぽいと思い、皆さんにシェアしていく所存であります。
(隅から隅まできっちり作業したい真面目なカーモデラーの人、裏側まで作らないと気がすまない人などは、ここで戻るボタンを押すことを推奨いたします)
■2日でできる理由その1
タミヤのキットがすごい。
タミヤのAMG GT3は昨年秋に発売されたんですが、もうなんというかとても親切。
カーモデルの面倒なところ、難しいところをどうすればクリアできるかをちゃんと考えて設計されているんだな。
すごいところを箇条書きにすると
・カッコいい。(ありがとうメルセデス)
・精度が高いので合わせ目消したりヤスリ掛けたり調整したりしなくてもなんとなく完成する
・窓のマスキングシート(カット済み)が入っているので、バーンと貼ってブーって吹けば窓が実物どおりになる
・エンジンとか入ってない。マッハで完成する
・クリアーパーツとかメッキパーツといった接着しづらいパーツにきちんとのりしろがある。なんならスナップフィット的なところもある。
ほかにもいろいろあるけど、「早く完成する」というのは「え、ここどうすんの……」と悩むところとか
「おい、失敗したんだが……(リカバリーめんどくせえ)」みたいなのをどれだけ少なくするかということでありまして
とにかく慎重に作業すれば、絶対に終わる。迷子にならない。タミヤ、すごいなあ。
■2日でできる理由その2
グッドスマイルレーシングのデカールがやばい。
発売前のサンプルをたまたまいただき、「気が向いたら作ってみなよー!」とカーモデル界の大先輩に言われたので
「うーん、こんなもん作れる気しないけど、せっかくもらったんだから作ってみっか」と思ったんですね。
で、貼って仰天。マジでこのデカールすごい。本当にすごい。どうすごいかは追って書くので、まず買ってから読むべき。
さあ、作ってみよう。文中に出現するAmazonリンクは「実際に今回俺が使ったツール」なので、実践的広告であります。
ギューっと貼ると接着剤で溶けたプラスチックが盛り上がってパネルラインを埋めたりゲルみたいなのがはみ出てきたりして死ぬので、
とにかく「力をかけないように、組み合わさったパーツにチュっと接着剤を流して、そのまま静観する」というのが超大事。タミヤのキットだからできる。
で、そのままパーティングラインとか合わせ目とかなんにも気にせず、白いサーフェイサーを吹く。
乾燥時間がもったいないので、俺はガイアノーツのサーフェイサー エヴォ ホワイトをなんとツールクリーナーで割って吹いている。
何でもかんでもツールクリーナーで割ると(臭いし弊害があるかもしれないけど)とにかく速く乾燥するので俺はそうしている。
乾燥を待っている時間は、シャシー側を組む。説明書のとおりにバンバン組む。
なんか色塗れとかデカール貼れとか途中に出てくるけど、黒いパーツに黒を塗るとかは来世でやればいいし、
なにより完成したら車内とか裏側とかほとんど見えないのでシカトします。みなさんもシカトパワーを鍛えましょう。
シャシー周りはセミグロスブラックの缶スプレーだけでなんとかなると思っております。(細部はちょっとだけ塗ったけど、完成したらやっぱ見えない)
カーモデルって外形がキモだし、俺のクルマだってどこが何色か覚えてないので、ボディ(完成後に外側に出ているところ)以外は
全部セミグロスブラックでも正直バレません。セミグロスブラック、ばんざい。
サフが乾燥したことにして、上からGSIクレオスのGXクールホワイトを垂れる寸前までバンバン吹きます。
GXクールホワイトは隠蔽力がめちゃくちゃ高いので重宝します。エアブラシ持ってない人は缶スプレーの白吹きましょう。
乾くのめっちゃ遅いしコントロールむずかしいしすぐ垂れるし超難しいですが、5回くらいに分けてちょっとずつ吹けばまあなんとかなるんじゃないかな。
少なくともツヤあり白いボディはエアブラシでGXクールホワイト吹くのがいちばん時短になります。
……なんなら白ボディ売ってくれればいいのにね>タミヤさん!
乾燥ですが、浴室乾燥機能があるなら風呂場にぶっこんで浴室乾燥かけましょう。
風呂はホコリが飛んでないし、もりもり暖かくなって非常に使いやすいので山善の食器乾燥機とか買わなくても風呂場で模型は乾く。最強。
缶スプレーぶっこむと爆発するから気をつけようね。
どうしても細くて曲線みたいなところをきれいに塗り分けなきゃいけないときは、諦めてマスキングしましょう。
AIZUプロジェクトの細切りマスキングを曲線になじませて貼るか、太いマスキングテープをモールドの上にギチギチに貼ってから
新品のデザインナイフで息を止めてシャーッと切るとなんとかなります。「諦めて作業する」というのが超大事。チートができないときのおまじないだ。
ちなみにこのグッスマのマシンは塗り分けラインの殆どがデカールでどうにかなるので真面目に塗り分けなくてもどうにかなります。
で、肝心のデカールです。
まずグッドスマイルレーシングのデカールの何がすごいって、破れない。
パーツの上でぐちゃぐちゃになっても折れ曲がってもシワになっても、とにかくビチャビチャに濡らした筆を用意して
「よーし、いい子だ……」とスーパーハカーみたいなささやき声を出しながらネチネチネチネチと伸ばしていくと、どうにかなります。
さらに、位置決めすると二度と動きません。信じられないくらい動かない。
あまりに動かないのでスライドさせてパーツに置く位置を間違えるととんでもなく固着するので、
慌てず騒がず、とにかく位置をビシーッと決めて(例えばパネルラインとかパーツのフチとかで合わせる)そこから
綿棒とかキムワイプでネチネチネチネチ水を抜いていけば、なんとかなります。
マークセッターやマークフィット(デカールを柔らかくしたり、糊を復活させる薬剤)との相性も悪くないので、
下のモールドにガシガシ追従させたいときはお好みの薬剤をぶっかけてバシバシ伸ばしていきましょう。
あまりに鋭角なところを回り込みたいときとかは、ドライヤーを用意します。
熱風を5秒当てるとどんなに無理ゲーでも絶対にでろーんと回り込んでビターっとくっつき、無敵になります。
5秒以上当てるとパーツが溶けるので気をつけましょう。
俺はデカールを貼るのがけっこう好き(うまいとは言ってない)です。
で、デカールの達人というのはいったいどういう人なのかというと、結果的に「諦めない人」だと思うんですよね。
割れたり欠けたりしても慌てない。割れただけなら割れたデカール同士を正確にもう一度突き合わせれば割れは見えなくなります。
欠けて吹っ飛んだら適当に筆塗りでタッチアップしましょう。
(今回はNAZCAのフレイムレッドとガンダムマーカーの黒でだいたいタッチアップしました。色味がドンピシャでマジ最高なのでぜひ。)
失敗しても死ぬわけじゃないので「自分が納得できる程度にあとで直す」というのが重要で、
"ノーミスで全クリする人"とかはスーパーマンだし、自分はスーパーマンになれない。お前はスーパーマンじゃない、凡人モデラーなのだ。
そういうことを自覚しながら進めると、「あ、失敗した。まあいいや」みたいな感じで気楽になります。
あとは「デカールのここの部分が繋がってると位置合わせしづらい」というときにカッターで切断して
1パーツを2パーツにするなどの「ミスを低減させるテク」というのもありますが、
今回のグッスマデカールは「とにかくグニャグニャしていながら頑丈」というすごい物体なので、だいたいどうにかなります。
ほとんどのシワやヨレはマークフィットを塗りたくってからクラブに遊びに行って、朝返ってきたらピタッと直ってました。
二日目はひたすら細かいデカールを貼ったり、サイドミラーとかドアノブとかライトの類をどうにかしていきます。
クルマの模型はクルマの形が見えてからだいたいそこまでと同じくらいの時間が完成までに必要だと思います。
ちなみにグッスマのデカールは白ボディに全要素を貼るか、赤だけをマスキングして自分で塗装してからそれ以外の要素を上に乗せていくか
どちらの作業手順にも対応できるよう2パターンの版が1枚の中に用意されているので、腕に自身のある人はそっちも試してみると良いかも。
ノーズのフィンとかは赤く塗装してからロゴだけ入れるほうが楽だなーとか、そういうのはじっくり観ているとなんとなくわかってくると思います。
(今回は意地で全部デカールだけで完成させました。)
で、今回実験したのは「ボディのデカールが全部貼れたところで半ツヤコートする」という暴挙です。
レースマシンってそもそもそんなにツルツルテカテカじゃないし、こういうラッピングマシンというのはステッカーが貼ってありますので
クリアーのツヤじゃなくてもいいんじゃないかな〜というのが理由なんですが、
半分以上は「ツヤありのクリアーを吹いて研ぎ出すとかめんどいしむずかしそうだし無理」ということであります。
結果的に
「半ツヤなのでハイライトが真っ白にならず、模様がちゃんと見える」
「クリアーが硬化するときに収縮しながらデカールを引っ張るのでなんとなくビヨビヨしていたデカールがバシッとなる」
「べつにこれでも全然カッコいい気がする」
ということで、実験は成功だと思います。
カーモデル、とくにGTマシンのようなラッピングばりばりのモチーフというのは素人には手出し無用のめちゃムズ案件だと思っていたのですが、
キットが良い、デカールが良いというふたつの要素が揃うと、ぶっつけ本番でもまあまあできるということが判明しました。
デカールって、手塗りでは絶対に再現できないことを貼るだけで見せられてしまう、最高のディテールアップだと思います。
とくにこんなド派手なマシンなら、ハッタリ200%でみんながビックリしてくれるはず。
失敗しても、くよくよしない。なんとかなるさの精神で、みなさんもやってみませんか? 初めてでも、ここまで出来るっすよ。
ぜひぜひ。
by kala-pattar
| 2018-12-24 00:13
| プラモデル