新しきキットの報せは、古き良きキットへの鎮魂歌。

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おめでとう。ありがとう。
英国の、世界に冠たるプラスチックモデルメーカー、エアフィックスが2019年の新製品を一気に発表してくれました。
そのなかに燦然と輝くは、1/72 ブラックバーン・バッカニア S Mk.2 RNでございます。


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▲New Toolとはすなわち、新金型。ああ、待ち遠しい。


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▲ああ美しい。ああかっこいい。ああ……、ああ……。


漫画『エリア88』でその存在を知り、その姿が収められた本を読み漁り、
古くはマッチボックスのウニョウニョなキットから、エアフィックスの旧1/72スケール、そして同社の1/48スケールも組み、
タミヤのミニジェットシリーズ(1/100スケール)を中古模型店で見つけては買って押入れにしまってきた10年間。

一昨年、コスフォードで実機(の前半分。このエントリの最初の写真)に出会ってなお、
「もしかしたら素直に作れるカッコいいバッカニアのキットは一生お目にかかれないのかもしれない」と思っていたところに
お前がやらずに誰がやる!という超ど真ん中から剛速球のストレートが飛んできたのだから大変だ。
(熱狂的なファンも多かったのか、エアフィックスのオフィシャルサイトは昨晩ずーっとサーバーが落ちていたくらいなのよ。)


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▲こうなりゃもう、組むしかない。何度目だ。


タミヤ ミニジェットシリーズのバッカニアはいくつもいくつもストックしていたんだけど、いまとなっては我が家に残っているのはひとつ。
正直言ってキレイに作ろうとすれば大変な内容ですし、そもそも1/100ですから全体の雰囲気を楽しむモデルなんだよね。
たまに貼っては「うーん、違うな……」と途中でやめたり、多すぎて売ったり(苦笑)していたけれど、そんな優柔不断はもうなしにしよう。

だって、今年最高のバッカニアが手に入るんだから。心の底から好きと言える、最愛の飛行機の新しいプラモが買えるんだから。
そのときに、「タミヤのは、こういうキットだったんだ」と言うために、組むしかない。
プレ値が付いてる?知ったこっちゃない。これはオレが買った、オレのプラモだ。
約束された未来のために、いままでの言い訳を精算するんだ。


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▲この説明書だって、何度読んだだろうね。


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▲1971年の金型。もう50年近くも前のプラモの"出来"を云々するのは野暮です。組んじゃえ。見ちゃおう。


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▲牧歌的でいて、的確なパーツ構成。


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▲普通の飛行機とはちょっと違う、頭からお尻まで上下割り。インテークと胴体の断面形がだんご3兄弟だから、こうするしかないんだよね。


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▲いつか中古屋さんで買ったプラモ。前オーナーは主翼の右上面だけ凸モールドをスジボリに直そうとして、力尽きたんだろう。お疲れさま。


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▲デカールは黄ばみ、人はいつか死ぬ。プラモの旬は、いつだって「今」なんだぜ。さあ、組んじまおう。


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▲合わせ目も何もかも無視して、50年前にはなかった強力な流し込み接着剤で軽率に、全部貼る。


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▲ズドン。できた。浄土は案外近かった。


あまりに嬉しくて、あまりに待ち遠しくて、人生でいちばんのスピードでプラモを作った。
その間、わずか90分。
グレーをエアブラシで吹いて、緑を筆でニョロニョロと描いて、
少しでも力を加えればハラハラと崩れゆくデカールをそっと貼り、上からトップコートでフィニッシュ。なんて楽しいんだろう!
プラモ、楽しい!!!

初めてこのキットを塗装したんだけど、いやはや、バッカニアにしか見えない飛行機が、そこにある。
おそらくもう、このキットを買い直すことはないだろう。でも、オレはもう、タミヤのバッカニアを組んで、塗ったことがある。
エアフィックスの新キットが出たらこれと並べて、紅茶でも飲みながらどんな仕上げにするかうんと悩むのだ。

あなたがいつか決着をつけたいモチーフはなんだろうか。「いつか」はいつ来るのか、考えたことがあるだろうか。
それはもしかしたら、今なのかもしれない。なんつってね。




by kala-pattar | 2019-01-09 01:03 |  →SPRUE CRAZY