架空の人型陸戦兵器を組んでみた。

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世の中には「企業がプラモにしないものを自力でキットにしてしまう」というとんでもない人種がいます。
テレビアニメや映画に登場するもののなかでも企業が莫大な初期投資をしても回収が見込めないマイナーメカや、
自分がどうしてもほしいイラストをもとに立体化したもの、はたまたゼロから自分が妄想した立体物などなど、その対象は多岐にわたりますが
欲しいものの原型を作り、シリコーンゴムと無発泡ウレタンという素材を使って複製し、同じ趣味を持つ者たちと分け合って楽しむ。
一般に、こうした同人活動によって生まれたキットを「ガレージキット」と呼びます。

で、静岡県の株式会社エムアイモルデという金型設計製造会社が母体となってクラウドファンディングをしかけ、
本当に金型を彫ってこうしたクリエイターたちの作品をプラモにしてしまおうというブランド、「キャビコ」が発売したプラモが
この「1/35 IV号人型重機 (RIESEN PANZER IV)」でございます。



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原作となっているのは「KAMPF RISEN MARS 1941 /1945」というインディーズの創作ストーリーであり、
その内容は全部上のリンクから読むことができますので興味がある人は読んでみてください。
ここではあくまで「1/35の人型重機のプラモってなんやねん」というのをランナーから読み取る作業をします。


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エムアイモルデはもともとプラモの金型屋さんではなくて、もっと精度を求められる工業製品の樹脂成形品を手がけてきた会社であり、
大手メーカーのプラモの金型を製作した経験もあるとのこと。
おかげさまでパーツの精度やディテールのシャープさは文句なし。成形において発生する問題もきちんとクリアしていることが手に取ると分かります。
とにもかくにも、ちゃんと組めるプラモで、非常にこまかいモールドを楽しむことができます。いいですね。


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▲ものすごい精度だけど、これから作るものは「知らないメカ」なので緊張します。


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▲じつはそのへんのプラモメーカーでも裸足で逃げ出すほどの高度なパーツ配置ができている。すごい。


ところで、同じスケールの戦車を棚から取り出してきます。
タミヤのII号戦車F/G型は1/35の戦車プラモにおけるヴェルタースオリジナルというか、ミルキーというか、とにかくママの味なのです(当社比)。
同じスケールの物体という設定なのだから、見比べていろいろ考えたいじゃないですか。


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▲脳に良い。


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▲しかしこの成型色は大変に心落ち着くものがあります。


こちらは1971年の金型で、今見るとけっこうダルいし、もっとこまかくパーツ分割された決定版的なのも売ってます。
けど、ハコのイラストからバックグラウンドストーリーから塗装の方法から何から何まで、パッケージにぎゅぎゅーっと凝縮されており、
プラモを組み立てるというのは、単にパーツがそこにあるということだけじゃないのだなぁ……という雰囲気を強く感じさせます。
いや、II号戦車は実物があるんだし、タミヤはプラモメーカーとして老舗じゃん?とかそういう話は関係なくて、
プラモはハコで買い、説明書でニヤニヤし、パーツを眺めてうーむと唸り、そんでもってストレスなく組めることが理想だと思いますです。


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▲1/35スケールの人々も、いいかげん戦争には飽きたんじゃねえの。平和な景色も見たいよ、オレは。


人型重機は大変高精度で、デザインの好き嫌いといったユーザーの嗜好を一旦横においておけば、非常に「良く出来たプラモ」です。
しかし、モチーフが空想メカであるからこそ、(さらにクリエイター氏がけっこう細かくいろいろ考えてるからこそ)
これが地球で運用されたものではないとか、人間と対比するとこれくらいの大きさなのだとか、こういう塗装のやつがフィルムに記録されていたらしいとか、
そういうサブのストーリーをパッケージングしてほしいなぁと思った次第。
なぜなら、それが「1/35」というスケールに対する補助線とか、これから自分がどんな色を塗るかとかを、考える手助けになるはずだから。

「パーツがシャキッとしていればいいプラモ」というのはひとつの真理かもしれませんが、それは買って組むまでわからない。
組んでもらうためには、「こんな面白い世界があるから、それをプラモにしたよ」というプレゼンテーションがとっても大事で
プラモの価値の半分くらいを占めてるんじゃないかなぁと思いつつ、実際にけっこう売れててみんなが組んでいるのを見ると
「意外とそんなことなくて、手を動かしたいだけの人も多いのかもしれないなぁ……」と思ったり、布団の中で目がぐるぐるするくらい考えてしまいます。

みなさんは、なんでプラモを買うんでしょうか。モチーフが好きだから?ただひたすら、塗るのが好きだから?
このへん、自覚的に語られることがとても少ないだけに、こうして日夜プラモのことを考えてるワタシとしては、大変気になるのでした。




Commented by クリスマス水野 at 2019-01-14 23:16 x
モンのキングタイガーを組むのに疲れてた時に人型重機を組んで癒されたのを思い出しました。
1/35っぽいプラモというより、「1/35(あるいは1/48)の文法で作っていいよ」ってお墨付きのあるガンプラ(並みの組みやすさのキット)って感じで、凄く気が楽に作れた記憶があります。
Twitterの方で話されていた「プラモのイミテーション」という言葉でなんとなく作りやすかった理由が分かった気がします。
記号やお約束を知ってるから楽しめるって部分もありますね。

なおモンのキンタは完成せん模様。
Commented by 影狐 at 2019-01-15 04:59 x
人型重機、数ヶ月のモデルグラフィックス(タミヤMM特集)で掲載されていたので買ってしまいました。
個人的には某○鰤的なナニカを感じます。
旧独軍のメカという事で比較対象としてヤミヤのヘッツアーを購入。
勿論、両方作ってません!(キリッ
Commented by カズヘイ at 2019-01-18 17:18 x
タミヤMMとかの合間に、なーんも考えないで、ニッパーでパーツを切り離し、パチパチと組んで、デキタ!って眺めて、なんかのついでにペタペタ塗って、いいカンジの余りパーツを張り付けて、オオ!カッチョイイ!ってできる模型なのかな。と思いました。
ストーリーとか背景とか含めて、愛されるシリーズに育ってくといいですね。
そういう意味では、マシーネン最強説。
by kala-pattar | 2019-01-14 19:21 |  →SPRUE CRAZY | Comments(3)