「2個入りプラモ」の愉悦

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フジミの87式自走高射機関砲がすごいという話をネットで読みかじったので買った。
1/72という手のひらサイズの戦車模型(87式自走高射機関砲はその名の通り戦車ではないが、そういうことはオタクに言わせておけば良い)だが
模型屋で値札を見たら2000円台半ばとあり、まあ最近のプラモ価格だとそんなもんなのかなぁと思いつつレジへと向かった。
ハコが異様に重たく、中身もガサガサと音がしないほど詰まっているようだ。

開けてびっくり、なんとこのプラモ、2個入りなのである。
300gのハンバーグ、高いなぁと思ってレストランでオーダーしたら600g出てきたとしよう。
食ってもいいが、腹いっぱいだしそもそもオレは1個のつもりで頼んだのである。確かにハコには2個入りと書いてあるけれども。

ということで、会社で隣の席の人に1両分をあげた。
そしたら「オレも2個入りのプラモを得たので、1個あげる」と言われ、なんかすげえ小さいフネの模型が出現した。
フネと戦車の模型を交換するというよくわからない儀式が、2個入りプラモをたまたま買ったおじさん同士で成立したのである。




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▲フジミさんの完成見本写真。たしかに2両セットだが、買うまで気づかなかった。粗忽者である。



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▲車体はスライド金型を奢った一体成型で、サスペンションも立体感満点。この時点でなんかテンションがすごい上がる。


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▲車体上面。正直肉眼では滑り止めとグリルに貼られたメッシュのモールドの違いがわからない。細かいというレベルを超えた彫刻に驚愕する。


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▲チャームポイントの35mm機関砲は砲口も穴開いてるし微妙なテーパーも1/72というスケールを感じさせない豊かな雰囲気。


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▲小パーツもすこぶるシャープだが、果たして1/72でここまでやる必要あるのだろうか。さっさと塗りたいような気もする。


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▲驚くべきは接着式の履帯。たるみも再現されており、わずか4パーツで一周分となる設計。あやふやになりがちな位置決めも起動輪との嵌合で一撃必殺。


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▲砲塔後部のバスケットは金型で表現不可能なサイド部分のメッシュ表現をきっぱり諦めていて、こういう「潔さ」にこそプラモの真髄があると思う。好きだ。


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▲クリアーパーツも非常に精度高く、カキカキに拡大しても破綻なし。傷なし。


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▲ペリスコープを一体にすることで、似たようなパーツを2度貼る手間を軽減。こういうところも、好きだ。


こりゃ確かにすごい。
フジミの87式自走高射機関砲は、珍しく「全部のランナーに『おっ』と思わせるポイントが散りばめられている」というプラモで、とても嬉しい。
手に入れるだけでもテンションが上がるが、おそらくパラーっと組んで眺めるともっと楽しいだろう。

正直、1/72という小サイズの模型は塗装の塩梅が難しく、実物どおりに塗ればなんだか重たい雰囲気になるし、
かといって空気遠近法を意識するにしても、ただ明度を上げた自衛隊の迷彩カラーを塗ったところであまりリアルな感じにならないと思っている。
このへんは明度だけでなく、色相もうまくシフトさせる必要があるんだよなぁ……と思いながら、自分は未だに答えを見いだせていない。
まあ、好きな色に塗って遊べばそれでいいとは思うので、買った皆さんにそのへんは任せたい。


で、フネの模型というのはこちら。


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▲とんでもなく小さいフネなのが分かるだろうか。


こちらは(ハイクオリティなレジンキットでそのスジの人には知られている)モデリウムというメーカーのインジェクションプラスチックキット第一作、
1/700 海上自衛隊 YT58号 260t型曳船」である。要は、護衛艦を入出港させるときに用いられるタグボートだ。

なぜインジェクションプラスチックキットに挑戦したのかはわからないが、とにかくこれが小さいのに小気味よい。
最近流行りのハイディテールな大型艦船の模型と合わせても遜色のないディテールで、(たとえあなたがジオラマを作らない人であったとしても)
「イージス艦の横に曳船をポンと置くだけでも、なんだか周りの風景が見えてくる」といったディスプレイが期待できる仕上がりとなっている。
そう、戦車の周りにフィギュアを置くと動きが出てくるのと同じように、大きなフネの横にタグボートがあると、それはすなわち港の景色となるのだ。


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▲タグボートは最低でも2隻いないと大きな船をピッタリと接岸させられないので、2個セットなのだろう。手元には1つしかないのだけど。


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▲タイヤや防舷用の巨大なウキも超細かく立体化されている。ラー・カイラムのカタパルトの壁にもタイヤがあった。そう、精密さより、気持ちの問題。


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▲組み立てるとこういうカタチのものになるのだそうである。ピンセットはいいやつを使わないとダメそうだ。



ということで、自衛隊のメカの模型がたまたま偶然同じ時期に2個セットで発売され、
ふたりのおじさんがお互いに買っていたので1個ずつ交換したという椿事が起きたというのがこのエントリの趣旨である。

さすがにランナーだけではいまいち伝わりきらないだろうと思い、87式自走高射機関砲を組み始めたところ、
最初の工程でパーツの成形不良があり、作業が30秒でストップしてしまった。
こういうのは運であり、まあそういう日もある。交換した方は大丈夫だったかな、と思いつつ、今日は酒でも飲んで寝るしかないのだ。
プラモにウキウキし、プラモにフラれ、しかしやっぱり新しいプラモがどうなっているかは気になる。
まあ、「このプラモ、こう作ったよ!」というのもいいですが、みなさんから「このプラモ、こんなふうになってたよ!」という楽しい報告があると嬉しい。
そしたら、同じプラモを買ってきて「ホントだー!」と盛り上がることも増えるだろうし、ね。




by kala-pattar | 2019-01-30 00:04 |  →SPRUE CRAZY | Comments(0)
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