『2001年宇宙の旅』はいかにして撮影されたのか。

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いやはや、とんでもない本でした。ようやく読了。

平たく言ってしまえば、「すごい映画を撮るにはすごい根性が必要である」ということでありまして、
「とんでもない監督✕お人好しだけど才能のある作家」という表題は2001年宇宙の旅の構成要素においてどれくらいのウエイトがあったのかとか
どんな才能あるスタッフたちがかき集められ、その人達が「誰がいつ思いついたことをどうやって具現化したのか」ということについて
徹底的に研究して書き上げられた600ページ。




そう、キューブリックは「もう見えているビジュアル」をどうにかして具現化したのではなく、
毎日毎日色んな人と話をし、「いま、この瞬間俺の脳みそにはまだ来てないんだけど、とにかくとんでもない映像が撮りたい」という渇望があり、
周りの人々が「これかな?」「こうかな?」と湯水のように才能と努力をキューブリックに捧げるわけです。
おろそしい仕事場だよ。「完璧主義者なのに、ビジョンはまだ見えてない。だからスケジュールとか決めらんない」っていう映画監督。
それに付き合う作家。それに付き合う技術者、役者……。

映画のスジやそこに込められたメッセージとかは一回置いといて、「どうやって撮られたのか?」を克明に知ること。
そうすると、この映画において当たり前だと思っていたシーンが「言われてみればこれは異常な映像だ!」と、もう一度見たときの衝撃が大きくなります。
映画好き、そして無茶苦茶なプロジェクトを完遂するためのヒントが欲しい仕事人は必読です。ぜひ。




by kala-pattar | 2019-03-24 20:19 | Movie&Books