上海発、インディーズプラモメーカーの飛行機模型に痺れた話
2019年 08月 22日

一体成型でフレームとイスとフロアがドスーンと出てきて、この時点で買いなんですよねこれ。めっちゃかっこいい。スライド金型は最高。
いや、デフォルメされたミリタリー系プラモというのは一大ジャンル化していてあんまり食指が伸びなかったんですが、問題はこれを作ってるメーカー。
メーカー?というか、これ、2人組のインディーズレーベルから発売されているんですよ。

上海WFで出会ったこの二人。SUYATAというコンビ名で左がNewtonくん、右がFichterくんと名乗っています。
彼らはプラモのみならず、トイやポップアート、デザインといった分野で活動しているらしく、まあこんな感じでおしゃれにまとまっているのがすごい。
で、「え、キミたちこれ設計して金型彫って普通に売ってるわけ?」という感じなんですが、実際そうなんだから困る。
なんというか、人間やる気があれば何でもできるということが伝わってきてアツいですね。アツい。

中国は日本の立体おもちゃの歴史でいうところのガレージキットカルチャーをすっ飛ばしていきなりマスプロダクトを個人レベルでガシガシ作る。
金と勢いがあるんだなーということがよく伝わってきます。
(ガレージキットとマスプロとの境目がないというか、マスプロの手法でガレージキットスピリッツを体現しちゃっているところがすごいんだよね、これ。)




パーツはそのへんのメーカーと遜色ないというかむしろシャープなんじゃないかという感じで、
肌色の成型色というのもまた「作る気が起きる色」なんですよね。これがどどめ色だったりするといきなりポップではなくなってしまう。
「プラモというプロダクトがキッチュなので、キッチュであることが製品価値である」とわかっていることが国境を越えて共鳴してしまったので
ワタクシはSUYATAのお二人とアツい握手を交わし、このフォッカーDr.1のデフォルメプラモを買ったのでした。

上を見れば分かる通り、彼らの提示する塗装例がまた奮っていて、なんというかこんなふうに模型を仕上げたらさぞかし楽しいだろうなオイという感じでしたので
ワタクシも彼らの想いと共鳴すべく楽しく作ることにしました。しかしパーツの精度が高く、合いもなかなか。少し心得があればカタチにできるよ。


「グラフィティ用のスプレーでプラモを塗る」というのは前からやってみたかったのですが、
単色ベタ塗りのPOPなカラーでガーンと押し出しのある造形ってプラモだとなかなかないのです。
が、このフォッカーDr.1はバチコンハマってくれる。
Montanaの94の甘くてヤバい匂いと相まって、ストリート感覚をプラモに注入する倒錯的な愉悦がここにはあるのです。
最後にポスカで好きなフレーズを入れて、尾翼は適当に手描きで……。


ググっても出てこないSUYATAの二人。WeChatやってる人なら見つけられるかもね。
ということで、こういう人達がいて、こういうプラモがあって、なんだか自由に作れるということを自分でも確認して、
とっても安心したというか、心強い気持ちになりました、というお話でした。
みなさんもなんかこう、「こういうプラモを手にしたらなんか心が豊かになったなぁ」という話を書いてくれると嬉しいし読みたいです。
ではまた。
by kala-pattar
| 2019-08-22 22:00
| →SPRUE CRAZY