Paint it silver. 〜銀に塗るべし〜

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こないだアメリカはデイトンにある空軍博物館に行ったんですけど、それがもうすごいのなんのって、
写真を撮るのを諦めるくらい飛行機がビッチビチに展示されていて、天井から吊ってあったり機体同士が折り重なったりしているんですよ。
で、そこで見た飛行機をどうしても作りたくなるんですけど、「空軍の戦闘機」って思ったよりもプラモが少ないんですよね。



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よく考えてみたらアメリカって空母で艦載機飛ばして相手ボコボコにしてますから、
すげえ活躍してる戦闘機って海軍じゃないすか。空軍の戦闘機が出ることになるっていうのはもうマジでやばい状態(ベトナム戦争とか)ですし
冷戦以降は爆撃機飛ばしてハイ終わり〜みたいな感じになることも多いし、とにかくこう、「やる気のある空軍機」というのを大量に目の辺りにして
さあ作るぞと模型屋さんに行っても自衛隊機かレシプロ機かトムキャットかホーネットかって感じなんですよ。


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で、飛行機が何色かという話なんですけど、あれ塗装という名の服を着てない場合は全員銀なんすよね。
最近のステルス戦闘機は変な複合材で出来てるから違うかもしれないですけど、とりあえず飛行機は銀なの。銀。
しかもですね、銀と言ってもつるつるの鏡みたいなんじゃなくて、ガヒガヒのヨレヨレでパネルごとに全部調子が違うし、
なんというかこう、一色のはずなのに周りの色をさまざまな表情で反映するのですごく色気があるというか、迷彩よりも情報量多いというか。
わかりますかね。


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ということで、空軍のギンギラギンの戦闘機を作るぞー!と頭に血が登った状態で模型屋をウロウロウロウロして、
手にとったのがアメリカレベルのF-105D T-STICK IIというやつだったんですね。
これの中身はモノグラムという会社が彫った金型なんすけど、パーツの表情がすごい。
っていうかモノグラム、さすがにアメリカの空軍の戦闘機のプラモ作りまくってて偉い。偉いですよこれは。


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スジボリはヤスリ掛けたら消えちゃうからモデラーに嫌われがちな「凸モールド」だし、なんかこう、浮き出たパネルとかもある。
異常にグラマラスでゴツゴツしているんですが、これがもう今すぐ塗って見たくなるシズル感に溢れとるわけですよ。


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見えなくなるところにも配管とかモールドされちゃったりしていて、サービス精神は旺盛だし、
とにもかくにも味が濃い。味が濃いんだけど、パーツ数はすっげえ少ない。全部で80パーツくらいなんですよ。
1/48のジェット戦闘機というと最近は狂ったように分割してチミチミチミチミ貼らせて塗らせるというものが多いんですけど
まあお客さんが精密なもんほしいっすというのはわからんでもないし、なんかこう、同じ値段でいっぱい遊ぶぞーという話かもしれないけど
なによりオレは飽き性だしいますぐに空軍の戦闘機がギンギラギンになっているのを見たい。


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味が濃くて、パーツ数が少ない。これ、プラモの嬉しい条件のひとつだと思うんですよね。
増槽のパイロンが一体成型とか、それだけでもうやることが2個くらい減った!おっしゃ!ってなりませんか。いちいち貼りたくないし。

いまなら考証もしっかりしててシャキッとした凹モールドで、ババっと組めるけど「おーかっこいいじゃん!」ってなるプラモ作れると思うんですけど
どうもそういうメーカーはあんまりない。飽食の時代だ。おじさんは悲しい。


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で、合わせ目を消すと周りのスジボリが消えてしまうし、それ全部彫り直してるほど俺の人生長くないし、とにかくバーっと貼ります。
で、銀を塗るんですけれどもこれはエアブラシとかでちまちまちまちま塗っているとなんか違うな、と。
ガヒガヒのヨレヨレでパネルごとに全部調子が違うというのを見たければ、筆で銀を塗るんじゃ。


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こんなでかい面積を筆で塗ったら表面がギバギバになってしまうのではないかと思ったんですけど、
表面をギバギバにしたかったことを思い出し、ムラとかカスレとかが発生しても慌てず騒がず、銀をいろんな濃さに調整して
なすりこむように塗っていくとあら不思議、めっちゃカッコいいというか、なんでオレ今まで銀をスプレーしていたんだろう。
こっちのほうがカッコいいじゃないですか。


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で、赤いところがほしいので主翼端と垂直尾翼となんか背中に伸びるコブをオレンジと赤混ぜた色でヌーっとスプレーして、
あとはノーズコーンを黒くしてアンチグレアをガッサガサの緑で塗って、適当なデカールを貼っておしまい。


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「T-STICK II」というのはF-105Dの攻撃能力を向上させるために電子機器を背中に盛ってそれをフェアリングで覆った改造機だということで、
結局30機くらい作って一切出撃することがなかったんですね。じゃあなんか役目を与えてあげましょうということで
演習時にターゲットを曳航する機能を付与したのがこのQF-105という機体。
奇しくもオレンジに塗られた部分がT-STICKの外見的特徴を強調することになり、その独特なスタイリングで現在も米空軍で運用されているのです。

というのは全部ウソで、見たい飛行機を銀色に塗ると楽しいので銀色に塗りました、という話でした。
筆で色を塗るというのはなんかやべえ、身構えちまうぜ……と思うかもしれませんけど、なんといいますか銀を塗ると最高です。
願わくば、組んでる最中にオエーってならないように、味が濃くてパーツ数の少ない……そう、モノグラムのプラモなんかがいいですね。
みなさんも、ぜひ。





by kala-pattar | 2019-09-16 21:01 |  →SPRUE CRAZY | Comments(0)