ハセガワ 1/72 X-29を踊り食いした話。

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アメリカでX-29の本物を見てきた。
学研の図鑑でその姿を知り、『エリア88』でキャラクター性を付与され、「この飛行機をかっこいいと思ってはいけない」というよくわからない自意識を育んだ。

果たして見た本物は、どこまでもかっこよかった。そのシルエットが際立つ空中に吊られた展示がまた、恐るべき精度でこの機体の魅力を引き立てていた。



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研ぎ澄まされたその姿をプラモでもういちど眺めたい。
しかし、張り詰めた機体の美を作り出すには、張り詰めた時間が必要だ。
体調が思わしくなくて、仕事と食事で精一杯になってしまう日があったとき、それでもプラモに癒やされたい。


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ランナーに付いたままの胴体にシートを収め、主翼とカナードを貼る。
デカールを貼って、机の上にそっと置く。
そこにいるのは、X-29以外の何物でもない。
見たときの仔細な印象をそこここに認め、記憶を刺激してくれるのに十分な姿。


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合わせ目を消すとか、ツヤツヤの白を注意深く塗る楽しみの反対側に、背徳的な美が潜んでいる。
このまま眺めて、またいつかこのプラモと対峙する日のことを想像する。
その時は、塗るだろうか。着陸脚は出ていたほうがいいだろうか、それともデイトンで見たように、空中で静止した姿がいいだろうか。
それは、その日にならないとわからない。だけど、いつもプラモは黙って、こちらのわがままな願いを聞いてくれるのだ。




by kala-pattar | 2019-10-17 21:51 |  →SPRUE CRAZY