『2001年宇宙の旅』で始まる、プラモってなんだったっけ会議。
2019年 12月 08日
「HAL9000のプラモ、しかも実物大だよ!」って言われたらどうしますか。買うでしょ。
即予約して、やっと届きましたよ。届いたハコ見て思うよね。「マジかよ」って。
このハコの大きさ、どう考えても「開けたら出来てるタイプのプラモ」なんだよな〜。
大抵のものは実物どおりに分解するのが大変なので、設計する人がいろいろ考えて
「作りやすくしよう」とか「ここは実物と違うんだけど、半分に割っておいたので自分で貼ってくださいね」みたいにパーツを形作ります。
が、HAL9000のカタチって「板にレンズとスピーカーが付いているだけ」なんですよね。
プラモ的なエキサイトメント、つまり「ランナーからよくわからないカタチのパーツをむしり取って、合体させると違う形ができる」というのが
このモチーフには通用しない。
板と、スピーカー部分のグリルと、スピーカー。しかも1/1(つまり劇中のやつの実物大)なので、凝縮感も一切ない。
言ってみりゃ、本物のレプリカをプラスチックに置き換えただけ!みたいなことが発生しているのです。
ランナーにパーツが付いてるのが嬉しい。あの整然としながら混沌とした、これからニッパーで切断され、別のものに転生することが約束された"状態"。
それをプラモの本質だと思っている俺は路頭に迷います。
果たしてこれはプラモなのだろうか……。
いや、プラスチックでできたモデルなんだからプラモであることには違いないのですが、
意外性のまったくない、設計マンとの声なき対話のない、ぶっきらぼうなパーツがここにはある……。
1/1のHALのカタチをしたグレーの塊、マジでいらないな!ということに気づきます。
こうなるともう、俺が頑張って塗るしかない。買ったらもう、強制的に塗る行為が決定している、というすごいプラモなわけですね。
塗って、目が光ってくれて、何なら中にスマートスピーカーでも突っ込んで(そばに置いておくのでもいいけど)
「アレクサ、今日の天気を教えて」「はい、東京の天気は晴れ、最高気温は8度です」くらいのやり取りをしないと、成立しない。
あー、そういえばHALの本体はあのデイジーデイジー言ってたコンピューター室そのものであって、これはHALのインターフェイスでしたね。
インターフェイスの模型というのはやっぱり意味がわからないので、赤い目を光らせたこいつと話をしたい。
つくづく、HALとは機能なのだな……と思い至る。アレクサでもSiriでもいいけど、俺はこのプラモと、コミュニケーションを取りたい。
そんなプラモ見たことないよ。なんだよコミュニケーションを取りたくなるプラモって……。
メビウスモデルという会社は『2001年宇宙の旅』関連のプラモデルを積極的にリリースしてきましたが、
実物大HALをプラモにしたら、なんだか見たことのない不思議なプラモになっちゃいましたね、というお話でした。
しかしこれを自作しろと言われたら大変なので(まず50年前のNIKONの魚眼レンズを中古で探すところから始まる……)、
誰でもDIYできる部材が供給された、ということで私はこれを嬉しく思うのでした。……っていうかもう一個買うわこれ。
みなさんもこのプラモとAmazonのEcho Dotでも家に置いて、
このHALに語りかけるふりをしてエアコンを入れてもらったり、しりとりを楽しんだり、アンテナをぶっ壊されたりしませんか。
幸い、サイバーマンデーはまだ続いていますので……。
by kala-pattar
| 2019-12-08 18:55
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