突如バラ撒かれた「リアルロボット」の素体をキミはもう組んだか。
2019年 12月 28日

ホビージャパンの最新号買いましたか。買っていないなら今すぐ買いましょう。
なぜなら上の写真の右端にいる人型のメカのプラモが付録になっていて、それがめっぽうおもしろいからです。
ランナー1枚、組み立ては秒速。可動箇所も多くてグリグリ動きます。
で、これはいったい何やねんという人のためにアニメがある。見ましょう。
このOBSOLETEというタイトルはYouTubeでやっている短編アニメ。導入は以下のとおり。
奇才・虚淵玄と新進気鋭のCGアニメーションスタジオ・武右ェ門が挑む、2.5mリアルロボットアニメーション「OBSOLETE(オブソリート)」
2014年、突如現れた異星人は、人類に対して「交易」を要求。彼らが石灰岩の対価として地球にもたらしたのは、意識制御型汎用ロボット「エグゾフレーム」だった。
戦闘機よりも戦車よりも銃よりも安価で、誰でも簡単に乗りこなすことができる「エグゾフレーム」は、またたくまに拡散し、世界を変えていく――。
石灰石というどこにでもある資源と交換に異星人が超簡単に取り扱えるロボットを地球にバンバン売りつけてきたら
地球はどんなふうに変貌するでしょうね、というのをオムニバス形式で描いております。おもしろいので見ましょう。
おまけに戻りますが、ランナーは1枚でポリパーツなし。




スケールは1/35。戦争モチーフの代名詞であるこの縮尺は「ミリタリーテイストを盛り上げるため」のチョイスだと思いますが、
劇中でも戦争のディテール描写がすごい。
火器類の描写や効果音が思わず「ん〜〜〜〜〜」と声を出してしまいたくなるほど良いし、
人間がロボを改造して運用する都合上、ハッチを閉める動作とかタイラップの使い方とかがいちいちフェティッシュに、執拗に描かれます。
これを見てると「嘘をつくなら大胆に、リアリティを載せるなら丁寧に」といいますか、
このコントラストがキツければキツイほどSFって人を引き込むチカラが強くなるんじゃないかな、と思いますね。
組んだら手のひらサイズのフレームが出現するわけですが、これはあくまで素体。
劇中では謎の素材で出来ている所に人間がパーツを追加して、いろんな任務(平和利用から軍事利用まで……)に使っています。
重機屋さんの株価がみるみる下落したり、舐めプしていたアメリカ陸軍が肝をつぶすシーンなどがあり、
さらにそのへんのセリフが自己言及的で、
「いま"リアルロボットアニメ"を作るってどういう意味があるの? どうすれば成立すると思う?」ということを考えているのがわかります。
"リアルロボット"というのはロボがリアルなんじゃなくて、
リアルと思われるナウい世界情勢とか戦争の様相にとんでもないものを放り込んで
見ている側に「むむぅ、これはリアルっぽい」と思わせれば勝ちだということを思い出します。

さて、このプラモですがホビージャパンを買うと否応なく手に入ってしまう。1320円で分厚い本を買ったと思ったら異星人のロボの素体が付いてきた。
この状況がすでにアニメ本編とオーバーラップしておりますよね。
そんでもって、ユーザーはこれを組み立てて「ほほ〜」と思うもよし、
これにアーマーを付けて銃器をもたせて戦地に赴かせるもよし、鋤や鍬といったアタッチメントをくっつけて農耕に供するもよし、
とにかく「1/35のオッサンや女の子の横に立たせて、何かしらの使役をさせると机の上の様相が一変する」という遊びができるわけです。
これ、アニメの中で描かれる世界と全く同じというか、狙ったんだかどうだか知りませんが、すげーよく出来ていないですか。
ユーザー(=人類)がなんだかわからんけど便利や〜とプラモをカスタマイズする構図もさることながら、
1/35スケールなので素材やライバルとなる戦車はゴロゴロしているし、組み合わせる人間のプラモもたくさん売られています。
トミーテックの軽トラの荷台に載せてスイカを取りに行くのもいいかもしれない。
ということで、手に入れた人が「俺だったらこれをこうカスタマイズしちゃうもんね」とやってみたのを私も見てみたいです。
年末の遊びとして、映像もプラモもなかなか良いですので、みなさんもぜひ。
by kala-pattar
| 2019-12-28 18:47
| →SPRUE CRAZY