捨てる画素の話
2022年 01月 10日
外出先で写真を撮るならもっぱらSIGMA fpになって久しい。
最初は45mmのキットレンズだけ装着して不自由さを楽しもうとか言っていたのに、
もっと小さくて何が起こるかわからないレンズが欲しいという贅沢から
FUNLEADERのCAPLENS 18mm f/8.0 FL188Lを買ったりした。
そのうち配信やらリモート会議やらで必要に駆られ、こんどは24mm F3.5 DG DNがやってきた。
この画角の単玉なんてフイルムカメラ時代にちょっと触ったくらいの記憶しかない。
もちろん今のSIGMAなので描写は最高。ただし広角は街角スナップとなると本当につまらない。
つまらないのだが、SIGMA fpには21:9で撮影するモードがある。
これを使うとフレーミングが途端に難しくなり、超横に広い景色とか、超縦長な写真を撮るという謎の筋肉を使うことになる。
Twitterにもちょろっと書いたのだが、昔のオレだったら「撮ったあとからトリミングすべきだ」と思っていたはずだ。
なにせ画素がもったいない。センサーの上と下をごっそり使わないなんて、カメラに失礼なんじゃないか、と。
もしくは「あとから『もうちょっと上だったな』とか思ったら、やり直しが効かないじゃないか」とか……。
しかし、撮ればわかる。最初から21:9でフレーミングしないとこういう絵はバシッと決まらない。
迷いのない画が欲しかったら、最初からそう撮るしか無いのだと。
で、そんなこんながどういうわけか、全てどうでも良くなってしまったのである。
なぜならば、昨年の暮れにとうとう便利ズームに手を出してしまったからである。しかも18-50mm F2.8 DC DNだ。
DC。つまり、APS-C用であるから、フルサイズのSIGMA fpに装着するとクロップされるため、35mm判換算で27-75mm相当の画角で使うことになる。
これは果てしなく小さくて便利なのでLマウントかEマウントの民は絶対に買うべきレンズなのだが、
fpが記録可能な2400万画素のうち、じつに60%を捨てることになる。
さらに手前が24mmスタートじゃなくて27mmスタートなので、大三元と比べると3mm捨てることになる。
……だからなんだ。こんなに小さくて明るくて便利なレンズと移動する以上に快適なことがあるか。
(fp Lを買えばいいじゃないかというささやきもございましょうが、画素数そのものにあんまり興味がなくなったのだ!)
完全にこれは写真との付き合い方が変わった証拠だと思う。
よりシャープに、より巨大な画像を残しておかなければならないという強迫観念はいつしか消えてしまい、
GoogleなりAmazonなりのストレージに思い出が大量に残っているほうが全然重要である。
写真はキレイかそうじゃないかも大事だけど、撮ってあるかどうかのほうがもっと大事だ。
もちろん、SIGMA fpはその構造上動きモノを撮るとかストロボを焚くとかがとても苦手なカメラだ。
そういうときはそのためのカメラがあればいい(D500は正直あと2台くらい備蓄しておきたい)。
スマホで撮影も楽しいものだが、残念ながらiPhoneのカメラはどんどんおせっかいになっているし、
そもそも他社のスマホの画質と圧倒的に差をつけられている。
毎日を撮影するならば、やはり小さくて取り回しがよく、便利でかわいいやつがいい。
SIGMA fpを買ったときに思い描いていた写真との付き合い方が(レンズの生え方は想定外なのだが)ちゃんと実現していて、
それはとてもいいことだなぁと思うのである。
by kala-pattar
| 2022-01-10 18:57
| カメラ