南アルプス北岳山行記〜その1

始まりはどこだったのだろう。
今自分のブログを掘り返してみたらその出会いは5/27とある。
大学のキャンパスを歩いていてたまたま知り合ったりなちゃん(ハンドルネームって便利だなぁ)と思い切り話し込んで、「そのうち山に行けたらいいね」なんて軽口をたたいて、それがホントになるなんて正直あんまり思ってなかった。だけど今月2日、突然メールが来て、全ては決まったのだった。
パーティーは4人。俺とりなちゃんとぜーんぜん知らない人が2人。文脈から推察するにネット仲間らしい。掲示板での連絡もそこそこに、コースの詳細もそこそこに、でも画面の向こうから漂ってくるのはプロっぽいオーラ。相当の猛者が来る!そう確信しながらワクワクテカテカと出発を迎えた22日の夜。

南アルプス北岳山行記〜その1_b0029315_2175646.jpg23時54分新宿発ムーンライト信州81号。のっけからりなちゃん来ない。ビールを買って乗ろうと思っていたがこれで来なかったらシャクなので1本しか買わずにじりじりと待つ。53分。発車のアナウンスが響く。さすがに俺も乗り遅れたらシャレにならないので車内に滑り込むと、奴は発車ベルとともに現れた。ジャストオンタイム女め。甲府までの2時間半は未だ見ぬ人と山登りをする事の緊張感と3200メートルに対する恐怖感と適当な準備で来た事への不安感で変なテンションのままビールを飲みつつ過ごす。

甲府に着くとやや涼しく秋を感じさせる。が、すぐに山の気温を想像してぞっとする。駅前にはランクル。「ザ・山男」という出で立ちの益荒男が2人。きっつさんとナベさん(つくづくハンドルネームって便利だなぁ)らしい。挨拶もそこそこに自己紹介をしつつ車(きっつさん曰く、「ランクル」じゃなくて「乱怒狂うザー」らしい)はセブンイレブンへ。大量の握り飯とサンドイッチとビールとその他諸々を買い一路奈良田へ。カメラの話とかでひとしきり会話するも実はめちゃんこいろんな事に緊張していてここでもテンションおかしい。

南アルプス北岳山行記〜その1_b0029315_233825.jpg奈良田の駐車場で一寝入り。5時過ぎに起きた瞬間ゲロ吐いた。酒飲んでないのに吐いたのには驚いた。緊張し過ぎだ、俺。そしてパッキング。俺はおにぎりとラーメンを大量に背負い、炭水化物大臣もしくはおにぎりポーターに任命される。朝飯をムカつく胃に流し込んで、シュラフはどうやら要らなそうなので置いて行く。

乗り合いタクシーでひた走ること数十分。窓の外の景色に唖然。南アルプスに来るのは初だったのだが、一体何故こうも山が大きいのか。谷も尋常じゃなく深い。全てが大きくて緑色で、峻険と言うよりとにかく豪快。あっけにとられて眠気も覚める。

南アルプス北岳山行記〜その1_b0029315_2411349.jpg広河原に着くと嫌でも目に飛び込んでくる巨大な頂上。辺りはまだ薄明るい程度なのに朝日を浴びた岩稜が光っている。あれがそうなの?あれが北岳?冗談じゃない。あんな所まで今日中に行けるもんか!と思わず口に出しながら入山届を書いたら水を積んで出発。緊張はピーク。ザックは重く、気温は低い。

つづく
by kala-pattar | 2005-09-27 02:50 | Mountain