バーク・コレクションに殺されかかる

昨日の朝は眠くて眠くて仕方なかったが寝るのはもったいないと思い直し上野へ。
都美に日本の美 三千年の輝き ニューヨーク・バーク・コレクション展を見に行った。
去年の暮れに、学校の美術史専修室前のカタログラックに刺さっていたチラシ。
そのチラシの表を飾っていたのは曾我蕭白の「石橋図」であった。
「なんですかこれは…」
裏を見れば宗達に若沖に安度に抱一。ぎゃー!
こんなにもときめいてしまっていいのだろうか!
ちう訳で期待満点で会場入り。
縄文土器!
埴輪!
須恵器!
反釉薬原理主義のオレとしてはこの辺で盛り上がってしまう。
しかし全体としてみれば物凄くテンションアゲアゲなものと、結構そうでもないものが混ぜ混ぜで、「概観する」ってコンセプトの難しさを感じた。だからもしこれから行く人がいれば、「ばーっとチェックしてから好きな奴をじっくり見る」というのがいいのかな。物凄く空いてるしね。ありとあらゆるジャンルが116点。全部は挙げられないので気になった奴を。

●「根来黒漆蝶文瓶子」
これは「日本美術応援団」で見た奴だ!サイケだ!まるでANNA SUIだ!
どこら辺がどうアナスイなのかはうまく言えないがかっこええ。

●巻物全般
巻物はやはり面白い。右へ、左へ、縦横に。意識せずとも視線が動く。
コミカルで微笑ましいなんてレベルはとうに超越して、爆笑できる作品多数。

●愚庵「葡萄図」
掛軸。墨で描かれた葡萄の実と蔓。蝉。
その透明感は大人げない!
「すいませんコレくださーい!」と叫びそうになるのをこらえる。

●狩野派全般
やっぱりオレは苦手だ。眠い。

●懐月堂安度「立姿美人図」
ナマ安度!モエスwwwwww
これ、美人画だと思わずに、
「単なる色彩と形状のデザインだ」
と信じて見ると異様に高次元である。すげえ。巧い。すごい。

●俵屋宗達全般
琳派大好き人間のオレ。宗達に光悦に…昇天。
たらし込みの作るグラデーション。
比較的粒子の大きいコバルト(なのか?)が
うわああああっと金色の中ににじんでいくあの雰囲気。
抗い難い魅力を持っている。
夢のようなグリーンも素晴らしい。

●酒井抱一「桜花図屏風」
スマッシュ!
抱一の描く世界は本当に優しい。
そして下1/3程の銀箔がロックンロールすぎてこれまた昇天。

●伊藤若沖「月下白梅図」
ぶわあああああああああああああああああああああああっと咲く梅。
ジンマシンのようである。
近づいて見てみたら…死亡。
確信した。「若沖はナマ。それ以外無意味。」
若沖、間違いなくヤク中だ。あんな絵絶対に書きたくない。
おしべにめしべにおしべにめしべに…。
あそこにイヤらしさを感じちゃダメでしょうか。
それにしても凄い。こんなもん文章で伝えられない。

●伊藤若冲「双鶴図」
どういうセンスがあればあの順序で絵が描けるのだろうか。
墨画の凄いところっていうのは
例えば鶴のように「白い対象」を描く時、「本体はあくまで余白」なんだよね。
そして水彩画みたいにミチミチミチミチ書いていくんじゃなくて
鶴の胸の下にヒュッと生えた羽根を体の外側からヒトハケで描いてしまう。
黒々とした墨で反対側から外に向かってこれまたヒトハケで黒い羽根を。
冗談じゃねえ。
脚なんて狙ってハイライトが入ってるからね。もうガクブルですよ。

●曾我蕭白「許由巣父・伯楽図屏風」
蕭白キタコレ!
衣紋を描いている線が
ズボッしゅしゅしゅしゅ…プハーズボボッッピーーーーー
みたいなテンポなんですよ。絶対わかんねーと思うけど。
悶絶しながら振り返ればそこには

●曾我蕭白「石橋図」
b0029315_1330322.gif正直この企画展のチラシを見るまで知らなかった画なんだけども、これは凄いね。もう説明できないくらい凄い。岩のディティールがですね、「男の子にこれを嫌う人間がいるだろうか」というくらい計算され尽くした、切なくなっちゃうくらいに壮絶なモノなんですよ。イデアですよある種の。ビビビビダダダダゴゴゴゴゴゴゴピキーンピキーンン!って(説明不可能すぎて擬音でしか無理)なってるんですよ。この形、この雰囲気、どこかで見たなーなんだっけなーと思って今朝方どこで見たか思い出したのですが到底ココでは書けないような所だったので書きません。まずもう岩が凄いと。
それからライオンちゃん達ですよ。ニャンニャンいいながら上に向かって昇ってるんですよ。無数に。でも途中で落ちちゃうの。うひゃー!って。しかし痛くはなさそう。落ちても水にバッシャーン!で、またニャアニャア言いながら昇るんですよ。なかなか上の方までたどり着けないのね。で、その表情が一匹一匹可愛くて可愛くて仕方ない。まあこの画ってテーマ的な事を考えるとかなり笑えない(天界へ連なる岩のピナクルに向かって衆生がワーッと昇ってるんだよね。でも途中でウヒャー!って落ちる。脚がすくんじゃう奴、ボー然としてる奴、裏返っちゃってる奴、飄々と昇りきっちゃう奴…)が、まずは見るべきだと。
それにしてもこの画は単に「目で見る」対象としての快感を備えすぎている。バーク氏の私物らしいので大きくなったら買おう。そう思わざるを得ない異常な画でした。だって離れられない!帰りたくない!
追記:150万でこれを買える時代があったとブログ「弐代目・青い日記帳」で知る。
驚愕。ショック。っていうかもう未来永劫手放さないだろうなぁ…。

石橋図だけでも金払う価値あり!
それ以外に興味深いものがあればそれだけ得!
そう思わせる展示でした。

こういうコレクションものって単一作家ものと比べて弱くなりがちだけど
(こないだのプーシキンは反則だな)、
こちらの見方次第でもあるんだなぁ、という事に気づかされました。

必見です。3/5まで上野東京都美術館で開催中。
>>>日本の美 三千年の輝き ニューヨーク・バーク・コレクション展
Commented by rocketeer at 2006-02-22 16:10 x
すげえ…
曾我蕭白って名前どっかでみたぞ…と思い手持ちの図録をめくったら、昨年の「インディアナポリス美術館展」(巡回展/ちょっと仕事でかかわりました)にありました。でもこういうパースペクティブな感じじゃなくて、もっとディテール志向な感じでした。
透視法が確立されて無い時代に、縦の遠近もさることながら、一瞬で見るものを説き伏せる計算しつくされた構図も壮絶ですね…美術オンチなワタシですが、生で見たいと思っちゃいました。
Commented by Tak at 2006-02-22 23:09 x
こんばんは。
TBありがとうございました。
また記事中で拙blog取り上げていただき
感謝感謝です。

若冲と蕭白を最後に持ってこられては
それまでの作品がやっぱり
前フリにしかなりませんよね。
かと言って、前に持ってきたらそれで終りだし。。。

150万なら借金してでも買います!
by kala-pattar | 2006-02-22 13:54 | 美術館・博物館 | Comments(2)
“LWGY”